WSJに「長期的には米ドルは下落傾向をたどるだろう」という記事がでていた。
原題はIs President Trump finally getting a weaker Dollar?である。
ポイントは次のとおりだ。
- トランプ大統領は数年にわたり、繰り返し強いドルを非難してきたが、ドルはじり高傾向だった。
- トランプ大統領は強いドルは他の経済圏に対して、競争上米国を不利な立場に置くと言い続けている。また大統領は自国通貨の弱含みを容認している国を非難している。
- だが現在アナリストたちはドルは緩やかにそして確実に下落するだろうと話している。
- 16通貨バスケットに対するドル指数The WSJ Dollar Indexは直近の高値から1.1%下落した。これはドル高に賭ける投資家が今年の最低レベルに達したことによる。もっとも先週金曜日の強い雇用統計を受けてドルは反発しているが。
- 最近米財務省は為替操作モニター対象国にイタリア・アイルランド・マレーシア・シンガポール・ベトナムを加えた。既に対象になっている国は中国・ドイツ・韓国・日本である。
- スタンダード・チャータード銀行のアナリストは過去3回の共和党大統領の元でドルは下落した、これは財政緩和策がドル安を招いたことによるとレポートで報じている。「我々はトランプ大統領が就任した時より彼が退任する時の方がドルは安くなっているという見方に固執している」と同行のストラテジストは述べている。
金利先物市場によると今月末のFOMCで、政策金利が0.25%引き下げられる予想する人は94%。0.5%の引き下げを予想する人は6%だった。前月は4割の人が0.5%の引き下げを予想していたが。政策金利引き下げペースの鈍化がドル安傾向に一時ブレーキをかける可能性はある。
しかしこれからしばらくの間ドルが緩やかな下落を始めるという見方はおそらく正しいだろう。
ただしそのことは長期的に見て米国を主な株式投資の対象とするという方針に何ら影響を与えるものではない。米国株のキャピタルゲインはドルの下落を補って余りあるからだ。