金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

カルパース、昨年度の運用成績は6.7%

2019年07月12日 | 投資

カルパースCalpers(カリフォルニア州職員退職年金基金)は、米国最大の年金基金であり、積極的な運用姿勢で知られている。

そのカルパースの昨年度(6月30日が年度末)のリターンは6.7%で、目標ターゲットの7%を若干下回った。

他の国の年金基金の運用利回りが高かろうと低かろうと我々には関係ない話とも思われるが、「資産運用の限界」を理解しておく上で役に立つ話だと私は思う。

今日本では「老後資金2千万円必要」論議から、金融機関の中にはおっとり刀で資産運用を勧めるところもでているという話だ。

だが運用でどれ位資産を増やすことができるのだろうか?

カルパースと日本の一個人の比較で考えてみよう。

まず日本と米国では金利水準が違う。日本の10年国債の利回りはマイナス0.145%だが、米国の10年国債は2.14%。国債を買って黙って寝ているだけで日米に2%以上の運用利回り差があある。

次に株式市場のパフォーマンスが違う。日本株は昨年10月に高値を付けた後、2.2万円以下でウロウロしているが、ダウは新高値を更新している。

次に運用手段の多様さが違う。カルパースはプライベートエクイティや不動産など多様な資産運用を行っている。

次にナレッジが違い、手数料も違う。運用のプロを集めているカルパースは、巨額の運用資産を武器に極めて低い運用報酬で運用を行っている。

以上のように考えるとカルパースが7%を運用目標とするのであれば、我々は2%程度を運用目標の上限とするべきだろうと思う。

2%で資産運用するとどのようなことになるのか?

仮に必要老後資金を2千万円として、それを40年間で貯めるとすると無利息運用の場合は年間50万円の積立が必要だ。

だが年2%で運用する場合は年間積立額は33万円強の積立で2千万円の資産を作ることができる計算だ(あくまで計算上の話だが)。

つまり年間17万円程度自由に使うことができるお金が増える勘定だ。

だが2%はあくまで上限目標。因みにカルパースの過去5年の平均リターンは5.8%で10年のリターンは9.1%。また過去20年間では5.8%だった。

このようにみると我々が2%を目標とするのは高過ぎるかもしれない。そこで目標利回りを1%として、年間積立額を計算すると41万円となる。仮に1%の運用でも自由に使えるお金は年9万円増える。

資産運用を侮るべきではない。もちろん過信もいけないが。

 

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ヘルスケア株上昇でダウ初めての27,000ドル超え

2019年07月12日 | 投資

昨日(7月11日)米国ダウはヘルスケア株の上昇で227ドル(0.85%)上昇し、27,088ドルで引け、高値を更新した。

トランプ政権が薬価抑制のため目論んでいたリベート(割戻金)の廃止を断念したことでユナイテッドヘルスケアなどヘルスケア関連銘柄ダウを押し上げた。

日本ではダウを米国株の代表的な指標銘柄とみる人が多いので、ダウの新高値更新は耳目を集める。

しかしダウの構成銘柄はわずか30であり、特定の業界や企業の株価がダウの動きに大きな影響を与える。

株式市場全体の動きを表す点ではS&P500指数の方が上だが、ダウの関心は高いと思う。特に日本では。

そのダウのパフォーマンスだが、今年の成績は16%アップでS&P500の20%弱の上昇には今のところ少し見劣りする。これはボーイング等が重しになっているからだろう。

それはさておき、昨日労働省が発表した6月消費者物価指数は、食料・エネルギーを除くコアインフレが5月比0.3%上昇。これは2018年1月以降で最大の上昇となった。なお前年同月比では2.1%の上昇。

食料・エネルギーを含む消費者物価全体の指数は5月比0.1%、前年比1.6%の伸びだった。

6月の物価上昇率が事前予想を上回ったことで、長期債の利回りは上昇。ただしエコノミストの多くは、6月の物価上昇率は一時的なもので、インフレ率は連銀ターゲット以下の水準で推移するとみているようだ。

S&P500は0.23%の上昇と小幅な動き。6月の消費者物価はあまり大きな材料にはならなかったのだろう。

 

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