金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米中貿易問題、決着は来年10月?~CSISの予想から

2019年08月26日 | 投資

交渉の行方が見えなくなっている米中貿易問題についてCSIS戦略国際問題研究所のウイリアム・ラインシュ氏が、興味深い意見を述べていた。

ラインシュ氏は「トランプ大統領が2020年11月行われる大統領選挙で勝つためには、選挙前に貿易問題で中国と合意に達する必要がある。ただしここ数カ月間の間に合意に達すると大統領選挙前に米国民が米中貿易協定が米国にとって良いかどうかを詳細に検討する時間を与える。それは選挙戦術上得策ではない。大統領選挙前に協定の中身の良し悪しを検討する時間を与えない方が良いだろう。だとすると決着時期は選挙直前の10月位かな?」と述べていた。

なおラインシュ氏は米中双方とも、自ら交渉を壊したと思われたくないので、押したり引いたりしながら交渉は続いていくだろうと述べていた。

米中貿易交渉の着地点を大統領選挙戦術のみから探るのは単純化し過ぎているような気がするが、ボトムラインとして「遅くとも来年10月頃までにはディールはまとまる」と考える一つの根拠にはなる話だ。

一方貿易交渉の長期化が世界経済の減速を鮮明化させ、その影響が米国に及び米国で景気減速が鮮明化する可能性がある。株価を人気のバロメーターと考えているトランプ大統領としてはそれも避けたいところだ。

ただし株価の上昇も上昇時期が選挙時点から離れすぎているとインパクトが弱い。投票者が大統領の力量を強く感じるには、いつ頃ラリーが起きるのが良いか?などということも選挙参謀連中は考えているかもしれない。これは根拠のない個人的かんぐりに過ぎないが。

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トランプ大統領は米国企業を中国から強制退去することができる?

2019年08月26日 | 相続

先週金曜日に623ポイント(2%)下落したNYダウ。日曜日(米国時間)のNYダウ先物も200ポイント以上下落している。

金曜日米国政府は、中国からの輸入品2,500憶ドル相当について10月1日より関税を30%(25%から)に引き上げ、3,000憶ドル分について15%(当初予定は10%)に引き上げると発表した。これは中国が750憶ドルの米国からの輸入品に追加関税を課すと発表したことに対する報復措置である。

またトランプ大統領は「中国に生産拠点を持つ米国企業に中国以外に拠点を移すことを考えるべきだ」と述べていた。

昨日(日曜日)トランプ大統領は「自分が望めば、米中貿易摩擦を国家非常事態と宣言することが可能だ」と述べた。

国家非常事態が宣言されるとIEEPA(国際緊急経済権限法)により、大統領は企業を相手国(この場合中国)から退去することを命じる権限を有すると解釈される(反対意見もあるようだが)ので、米中間が益々エスカレートする可能性が高まったという見方が広がった。

これが日曜日のNYダウ先物続落の背景だろう。なおトランプが実際に国家非常事態を宣言するのか?交渉を有利に進めるためのブラフなのかは分からない。ただし脅しの積りが実際の紛争になるということはしばしばあるところでこの先見通しは立たないというのが正しい判断かもしれない。

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