交渉の行方が見えなくなっている米中貿易問題についてCSIS戦略国際問題研究所のウイリアム・ラインシュ氏が、興味深い意見を述べていた。
ラインシュ氏は「トランプ大統領が2020年11月行われる大統領選挙で勝つためには、選挙前に貿易問題で中国と合意に達する必要がある。ただしここ数カ月間の間に合意に達すると大統領選挙前に米国民が米中貿易協定が米国にとって良いかどうかを詳細に検討する時間を与える。それは選挙戦術上得策ではない。大統領選挙前に協定の中身の良し悪しを検討する時間を与えない方が良いだろう。だとすると決着時期は選挙直前の10月位かな?」と述べていた。
なおラインシュ氏は米中双方とも、自ら交渉を壊したと思われたくないので、押したり引いたりしながら交渉は続いていくだろうと述べていた。
米中貿易交渉の着地点を大統領選挙戦術のみから探るのは単純化し過ぎているような気がするが、ボトムラインとして「遅くとも来年10月頃までにはディールはまとまる」と考える一つの根拠にはなる話だ。
一方貿易交渉の長期化が世界経済の減速を鮮明化させ、その影響が米国に及び米国で景気減速が鮮明化する可能性がある。株価を人気のバロメーターと考えているトランプ大統領としてはそれも避けたいところだ。
ただし株価の上昇も上昇時期が選挙時点から離れすぎているとインパクトが弱い。投票者が大統領の力量を強く感じるには、いつ頃ラリーが起きるのが良いか?などということも選挙参謀連中は考えているかもしれない。これは根拠のない個人的かんぐりに過ぎないが。