本を書くテーマが決まり、スタイルも決まればいよいよ執筆準備に入ります。ここで注意しておきたいことは「大部分の本はパレートの法則に従っている」という現象です。パレートは20世紀前半に活躍したイタリアの経済学者で80:20の法則を提唱しました。これは成果の80%は全体の20%から生み出されているというもので、多くの本の場合は重要なことは2割の部分に書かれているということを意味します。逆にいうと8割の部分は話を分かりやすくするための例示だとか著名な人の意見が紹介されている訳です。
もちろんこれは本の性質により異なります。例えば紀行記のようなものであれば密度はもっと濃いでしょう。でも全体のボリュームを出すためにには時々膨張剤を入れている本も多いと思います。
寄り道話やちょっとした脱線が本を親しみやすいものにして、結果として著者の言いたいことが読者に伝わりやすくなると思います。ときには自説に対抗する意見も紹介しながら話を展開していくことも必要でしょう。
そのためには日頃から心に残る言葉などを書き留めておくことが大切だと思います。
もっとも書き留めるといっても、スマートフォンが手元にある現代では、パッと写真を撮って保存しておくの簡単です。
私はスマートフォンのマイクロソフトレンズという無料アプリを使って本のページなどを撮影し、OneNoteに保存するという方法を取っています。
写真は今度書く本の中の「教養力」の説明にショーペンハウアーの言葉を引用するために該当部分をレンズ⇒OneNoteで取り込んだものです。
私は教養の一つの力は他者理解力だと考えていますが、単にそう説明するより最初に哲学的人生論を論じたショーペンハウアーの言葉を使って補強するのが良いと考えました。でもこれはある意味膨張剤のようなものです。
ちなみに本の構想を練りながら私は「紙の本の『レンズ』撮り込み」「Webのクリップ」「新聞記事(電子版)の記事検索」「PDFのダウンロード」などを使って本の章別に資料を集積するようにしています。
そしてそれらの資料を眺めながら、骨組みの部分と補強材や化粧材の組み合わせを考えています。