コロナ相場にも翳りが見え始めるこの頃、ふと手にした「ショーペンハウアーの言葉」(宝島社)をパラパラ眺めていると投資の世界の深奥に触れる言葉が目に付いた。
箴言のタイトルは「喜びすぎず嘆きすぎず」で、内容はざっとこんなところだ。
・・・人生には不意にさまざまなことが起きる。・・しかし、どんなことが起きても、異常に喜んだり、あまりにも悲嘆してなげやりになったりしないほうがいい。何事もすぐに、あるいはじきに変化するからだ。・・・人の判断はとかく誤りやすい。特にその場での判断は誤りやすい。そのことをよく知っておいた方がいい。
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直感という言葉がある。
「相場の過熱感を直感的に感じたので思い切って手持ち株を売却した」などという。
直感は当たることもあるし当たらないこともある。
ただ我々は直感が当たったことはよく覚えているが、案外直感が外れたことは忘れているのではないだろうか?
だから直感は当たると感じている人が多いのであろう。
私は直感に従って動くということは、自分がやりたいことをやる時のExcuseだ、と考えている。つまり経験則や期待値の計算から見ると不合理かもしれない何かを強引にやる時に自分と周囲の人を丸め込む決め台詞のようなものだと考えている。
直感が当たり続けるということはない。投資判断を含めて人の判断は間違いが伴うと考えておいた方が良い。
しかし「この株を何時買う」とか「売る」とかという個別の投資判断には間違いがあっても、大きな方向として世界の優良企業に投資する株式投資という行動には間違いはないはずだ。
投資の深奥は経済学の本ではなく、哲学書に書いてあることが多い。