先週土曜日に奥多摩の小高い山を歩きながら、山仲間と雑談を楽しみました。軽い山歩きの楽しみは歩きながらの雑談ですね。コロナで仲間と雑談する機会が減っていたので久しぶりの雑談は楽しかったですね。
そんな中ある女性が今転職中ですとと話してくれました。今の仕事でキャリアを伸ばすことができそうでないので新しい会社に移るという話です。
私はこの話を聞いて素晴らしいことだと思いました。大袈裟な物言いをすると今の日本には閉塞感が漂っています。その閉塞感のかなりの部分は、「今の仕事は面白くないけれど転職するのもリスクが高そうだし、嫌々ながら頑張っている」という人が多いことから来ると私は考えています。
これはアメリカの話ですが、パンデミックの後、転職を考える正社員が46%に達しているという調査結果があったそうです。自分自身や家族・友人が感染危機に晒される中、命の重要性や生きていく意味を考えたところ、今の仕事は自分に相応しくないと考える人が増えたということです。
グローバル化やIT化、AI化が進む中仕事の質が変わり、今の職場やポジションで自分を活かせないと感じる人が増えているのでしょう。またリモートワークはワークバランスを見直すきっかけを与えてくれたでしょう。
そんな時スパッと転職できるのがアメリカの強みでしょう。企業側も本当に残ってほしい人には色々なインセンティブを与えます。これによって個人も企業も活性化していくのです。
この転職によるキャリア形成に理論的なサポートを提供しているのが、クランボルツ博士の「計画された偶然性理論」だと私は考えています。
クランボルツ博士の研究によるとキャリア形成の8割は偶然決まります。ですから博士は仕事に行き詰った時、そこで頑張るということだけでなく、新しいチャンスを求めて外に飛び出すことも考えてみなさいと示唆するのです。
ただしチャンスは自然に来るものではありません。自ら好奇心や冒険心を持ってチャンスを出会う機会を増やす人が幸運をつかむ可能性があるのです。
クランボルツ博士はそのためには5つの行動特性を伸ばすことが重要だと言いました。
「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」です。
私は転職の話を聞きながら、この行動特性のことを考えていました。
登る山やルートの困難さによって山登りで身につく行動特性には違いがあると思いますが、「持続性」や「好奇心」が高まることは間違いありません。少しハードなルートに挑戦すれば「冒険心」が高まります。また天候の急変など想定外のことが起きた場合は柔軟性が求められますし、困難な事態でも落ち込まない楽観性もサバイバルに必要な特性です。
山登りは5つの行動特性を伸ばすことで人生の地平線を広げるでしょう。
それは職業人生を卒業して、趣味やボランティア活動が主な活動分野となったシニア世代にも通じる話です。好奇心や冒険心があれば、色々な人と気軽な付き合いができて世界が広がり、自分の人生が豊かになることは間違いないでしょう。