金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

安定性は多様性が担保してくれる

2022年01月29日 | うんちく・小ネタ
 セレンディピティという言葉があります。これは「何かを調べていて別のものを発見すること」を意味します。
 「都市と野生の思考」(鷲田清一・山極寿一著 インターナショナル新書)を読んでいて、山際さん(第26代京都大学総長)の次の言葉に出会いました。
「安定性は多様性が担保してくれる」
 この言葉は「好き勝手なことをする場が大学である意味ジャングルのようなところだ」「陸上で生物の多様性が最も高い場所がジャングルであるように大学も多様な研究を自由に行える場であるべきでしょう」「多様性を維持することがジャングルの安定性につながる」という文脈で使われています。
ここで山際さんが言いたかったことは、大学というジャングルを維持するために資金と世論の支えという資源が必要だということでした。
 それはそれとして私は「安定性は多様性を担保してくれる」という言葉をもっと広い意味で理解したいと考えています。これは一種のセレンディピティでしょうが。
 まずポートフォリオの考え方です。投資対象を世界の色々な国の色々な業種に広げるという多様化で安定性が生まれます。
 次に人の付き合いです。色々な業種で色々な経験をした人と交わることでものの見方に広がりができて偏りがすくなくなります。
 また職業能力も特定分野に偏っているより複数分野に跨っている方が安定性が高いことはパンデミックで明らかになったと思います。
 もっと大袈裟な話をすると中国型の国家主導型の経済発展モデルと英米型の自由主義型経済発展モデルのいずれが最終的に安定的なのか?という議論にもつなげることができるかもしれません。
 結論だけいうと私は自由主義型経済発展モデルの方が個人や企業という経済主体に多様性があるので最終的には安定すると考えていますが、それが実証されるにはもう少し時間が必要かもしれません。
このフレーズをこなれた日本語にして「多様性が安定性を生む」とすれば、心ある企業経営者にも刺さるでしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アップル好決算で株安に一旦歯止めだが・・

2022年01月29日 | 投資
 昨日(1月28日)の米国株式市場は、好決算で株価が7%上昇したアップルを始めこのところ値を下げていたハイテク銘柄が反発し、ダウは1.7%、S&P500は2.4%、ナスダックは3.1%上昇した。これで3週間連続の株価下落基調に一旦歯止めがかかる形になった。
 経済統計では連銀が注目しているコア個人消費支出指数の発表があり、12月は対前年比4.9%となった。これは1983年9月以降で最も高い指数だった。
 また企業が従業員に支払う給与・福利厚生費は、昨年比4%上昇と労働省が発表した。これは2001年以降で最も高い水準で労働需給のひっ迫が人件費を押し上げていることを示している。ただし季節調整後の第4四半期の人件費の伸びは1%とその前の四半期の1.2%より鈍化していることに着目してWSJは労働コスト上昇の緩和の兆しが見えると報じていた。
 久しぶりに反発した株式市場だが底値を確認したというには早過ぎるかもしれない。
 CNBCのジム・クレイマーは底を確認するには売り手がもっと売り疲れる必要があると述べている。また彼は金曜日は空売りで週を越すのに不安を感じる人がいるので買戻しにより株価が上昇する傾向があると述べていた。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする