金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「上品に寒門なし」~中国の受験熱は千五百年年変わらず

2022年01月19日 | ニュース
 テレビのニュース解説番組で、中国の習近平政権が昨年打ち出した学習塾禁止について取り上げていた。番組によると中国では、平均すれば子どもの教育に親の年収の半分が持っていかれるということだ。これは平均の話なので都市部に住む裕福な家庭の子どもは塾に通い、厳しい受験競争を経て有名校に進み、大企業や党幹部の道を歩き始めることができるが、農村部の子弟がその道を歩くことは極めて困難なことを意味する。
 私はふと「上品に寒門なく下品に勢族なし」という言葉を思い出した。これは南北朝時代の南朝で実施された九品中正という官吏登用試験制度が人材登用面では機能せず、豪族の子弟のみが上品(高級官僚)になり寒門(貧しい家柄)のものは高級官僚になれないことを揶揄した言葉である。
 九品中正制度は隋唐の時代に科挙の制度に代わり、その次の宋の時代になると皇帝自らが最終試験を行うなど試験は滅茶苦茶に難しくなる。では能力があれば誰でも合格するかというとそうではない。本を買うにも先生の指導を受けるにも受験勉強を続けるにもお金がかかる。やはりお金持ちの子弟でないと科挙に合格して高級官僚の道を歩むことはできないのだ。
 現代の中国では大学進学率が5割を超えているという。しかし大学を卒業しても就職できる学生は3割程度らしい。最大の理由は大卒レベルを必要とするポジションがそんなに多くないことだ。習近平政権の狙いは学習塾を禁止して、「誰でも猛勉強」の社会から「普通の子は職業学校に進む」ような社会に変えることなのだろう。
 だがその試みがうまくいくかどうかは分からない。なぜなら南北朝の頃から中国は官吏登用試験の合格を目指す社会になっているからだ。
 テレビでは有名大学に合格した青年を村をあげて祝福している映像を流していた。
 中国はエリート官僚が幅を利かしてきた社会で、官僚を含めてエリートになるために猛烈に勉強し、苛烈な受験戦争を勝ち抜くことを原動力として動いてきた社会だ。「上品に寒門なく下品に勢族なし」は今も通用するルールなのだろうから国民の意識は簡単には変わらないのではないだろうか?と私は考えている。
 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マーケットは今年4,5回の政策金利引き上げを予想

2022年01月19日 | 投資
 連休明けの昨日(1月17日)米国株は大きく売り込まれた。S&P500は1.8%,ダウは1.5%、ハイテクが多いナスダックは2.6%下落した。ナスダックはコレクション入りの崖っぷちまで値を下げている。
 株価下落の要因は、インフレ抑制のため連銀が従来予想を超えるペースで政策金利を引き上げるのではないか?という予想が投資家の間に広がったことだ。
 10年債利回りは先週金曜日の1.771%から1.866%に急上昇した。
 WSJはGMEグループが「金利先物を見ると金曜日は今年3,4回の金利引き上げを予想する人が多かったが昨日は4,5回の引き上げを予想する人が増えた」と述べたと報じていた。
 昨日の他の大きなニュースとしては、マイクロソフトによるゲーム会社アクティビジョン・ブリザードの買収発表だった。買収金額は買収先の手持ちキャッシュを相殺したネットベースで687億ドル。セクハラなど人事問題を抱え株価が3割以上下落していた大手ゲーム会社にパンデミックやアバターの躍進でオンラインゲーム市場拡大を見据えたマイクロソフトが買いに出た訳だ。
 ディールの行方は最終的には公正取引員会の承認にかかっている。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする