WSJにOlder investors have a lot of money in stocksという記事がでていた。
アメリカの退職者は金融資産に占める株式比率が専門家の推奨する資産配分比率より高いという記事だ。
記事によるとフィデリティの2千万人の顧客をベースにした調査によると、60歳から67歳の確定拠出年金の投資家の約4割は67%以上を株式投資に振り向けていた。
個人の資産配分に関する伝統的な知恵は、歳を取るのに合わせて株式投資比率を下げるというもので、フィデリティは退職者や退職が近い人については株式投資比率を57%以下にすることを薦めているので4割の人はこのガイドラインを越えている訳だ。
アメリカの退職年齢の人たち、つまりベビーブーマーが株式投資に強気な理由は2000年以降の何回かの相場急落が比較的短期に回復され、その後順調に株価が伸びたという成功体験に基づいている。
だが過去の成功体験がいつまでも繰り返されるかどうかは分からない。
記事は「理想的な資産配分比率を越える株式投資は思い切って売ってしまいなさい」と薦め、少なくとも年に1回か2回リバランスしなさいと薦めている。
この記事をどれ位のアメリカ人退職者が真剣に読み、推奨するところを実践するかは分からないが、もしかなりの人が実践すれば大きな売り圧力になるだろう。
だが私はその懸念は少ないと考えている。人は中々個人的な体験から抜け出せないからだ。株式投資で成功した体験を持つアメリカ人退職者は株式投資に傾斜し、株式投資で失敗した日本人退職者は銀行預金に資金を死蔵する。
正解は一つではない。株価の下落局面にどれ位耐えることができるか?にかかっているからだ。また持っているポートフォリオの復元力にもよる。復元力の高い米国株をコアにした株式投資で2年程度の相場低迷を乗り切る自信があれば大幅に株式投資を減らす必要はないと思う。もちろんこの時期ある程度キャッシュポジションを高めることは必要だが。