昨年米国株の主要指標は3年連続の上昇となった。S&P500は約27%上昇した。そのS&P500の今年の上昇見込みについて、WSJはゴールドマンザックス、ウエルスファーゴ、クレディスイスなどは6%から11%の上昇を見込んでいると報じていた。
企業収益は昨年のようなペースで伸びないだろうが、なお増収基調にあるというのが大方のアナリストの見方のようだ。
株価に上昇余地があるという理由は昨年後半にかけてPERが低下し、特に金融、エネルギー、素材、ヘルスケアなどが割安になっていることがあげられる。
インフレが進む中で10年債の利回りが現在の1.5%レベルから上昇することは間違いないが、多くのアナリストは2%を超えて大きく上昇することはないとみている。
ということは株は債券に較べてなお魅力的な投資対象と考える投資家が多いということだろう。
色気を出して割安の金融、エネルギーなどを仕込む人もいるだろう。それぞれの相場観次第なのであれこれいう必要はないが、昨年の勝者は実はインデックスだったということは頭に入れておいてよいだろう。
米国株のアノマリーからいうと1月のパフォーマンスは歴史的に良好だ。今年についても1月の下旬のFOMCでは政策金利の引き上げ決定は行われないというのが大方の予想だから今月は比較的順調に滑り出しそうだと私は考えている。問題は3月以降に連銀が政策金利引き上げを決定する中で株式市場がどう動くかという点だ。
一つの波乱要因はオミクロンだが感染力は強いが症状は従来型のコロナより軽いという見方が広がれば、予想よりもマイナス影響は小さいかもしれない。
もう一つの波乱要因は、労働市場から退出している労働力がどれ位戻ってくるか?という点だ。彼等が積極的に職探しをしない理由の主なものは「当面食べていくだけのたくわえがある」「共稼ぎカップルの一方が働いていると食べていくことができる」「失業給付等の分厚い政府支援がある」だがそれぞれ限界に近付いているので労働参加率が改善する可能性は高いだろう。
コロナ感染が収束し、労働参加率が以前のレベルに戻りノーマライゼーションが起きるというのが株価に一番プラスの状態だと思うのだが、そこまで予想するのは楽観的過ぎるだろうか?