先週比較的堅調だった決算発表を受けて好調だった米国株。今週はアップルなどIT大手の決算発表があるので、企業業績が株価動向に大きな影響を与えることは間違いない。
先週の株高のもう一つの背景は、WSJに連銀は12月のFOMCで政策金利の引き上げ幅を小さくするのではないかという観測記事が流れたことにある。物価統計データからは、まだインフレ鈍化の予兆が明確に読み取れない中なぜこのような見方ができるのか?と多少疑問に思っていたが、今日WSJのHigher interest rates can take a long time to bring down inflationという記事を見て一つの回答を得た。
どういうことか?というと中央銀行が政策金利を引き上げても、それが実経済に影響を与えるには時間がかかるということだ。例えば政策金利を引き上げたとしても、市中銀行が貸出先の金利を直ぐ引き上げる訳ではない。金利は契約で決まっているので、改定時期が来ないと引き上げることができない。また市中金利が上昇し、資産価値が低下してきても、企業は直ぐに減産に踏み切ったり、職員をレイオフすることはできない。先行きの様子をみたり、準備する期間が必要だからだ。だから政策金利の引き上げが、景気の減速や賃金上昇率の鈍化を通じて、インフレ抑制に効いてくるには時間がかかるのだ。
たとえば1979年に当時のボルカー連銀議長は政策金利を20%近くまで引き上げた。その結果直ぐにリセッションは起きたが、インフレの鎮静化には3年を要した。
WSJは「現在では中央銀行は、その行動を市場参加者にフォワード・ガイダンスを使って事前に伝えるため、ボルカー時代より金融政策の効果の遅れは短くなっている」と述べている。
別の見方をすると、インフレの鎮静化が誰の目にも明らかになるまで政策金利の引き上げを続けると行き過ぎになり、過度の景気後退を起こす可能性があるということだ。
このような議論が起きてくるということは、市場関係者の中に政策金利はインフレを鎮静させるのに必要な水準まで迅速に引き上げられてきたという見方が増えていることを意味するのかもしれない。
もしこの見方が正しければ、株式相場の底入れ時期はそう遠くなさそうだと思う。かなり楽観的かもしれないが。