昨日(10月3日)も米国株は大幅に上昇した。株価を押し上げた材料としては、同日発表された米国供給管理協会の製造業総合指数が50.9と2年4カ月ぶりの低水準になったことがあげられる。景気の減速がインフレを緩和し、連銀が金融引き締め策を緩めるという予想が働いたためだ。
まさに経済的に悪いニュースは株価には良いニュースという状況だ。
WSJはこの株価急反発のニュースのサブタイトルに、Move is an about-face from Fridayと書いていた。「動きは金曜日からの回れ右」という意味。
ところで英語はaboutやfaceのように誰でも知っている簡単な言葉が組み合わさった場合、急に知らない意味になることがある。About-faceは元々は軍隊用語で「回れ右」。Aboutは一般的に「おおよそ」という意味で使われるが、「向きを変えて 」とか「ぐるりと回って」という意味で使われる場合がある。この場合がそれだ。
さて株価が本当に回れ右して、ここから上昇に転じるか?というと首をひねる人が多いだろう。確かに先月は売られ過ぎたという気もするが、相場を取り巻いている不確実性が減ったようには思えない。
株価上昇を期待する理由の一つには、米国の中間選挙の後には株価が上昇することが多いというアノマリーもあるようだ。
またこのまま負け戦(いくさ)で年末を迎えたくないというファンドマネージャー達の思いもあるだろう。
負け戦というと、ウクライナ軍が南部ヘルソン州で2つの集落を解放したなどウクライナの反撃が成功していることを伝えるニュースが増えている。つまりロシアの負け戦が続いている訳だ。ロシア軍は兵站基地だったリマンでウクライナ軍に包囲されることを避けるため、東側に撤退したと報じられている。
About-faceをした訳だ。ウクライナ軍の部分的な勝利が戦局にどれほど影響を与えるかは不明だが自由主義陣営にとってプラス材料であることは間違いない。またせこいことをいえば株価にもプラス材料だろう。