金融そして時々山

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最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

高齢者は賃貸住宅住まいが良い?

2013年09月13日 | 社会・経済

私が事務局を務めている日本相続学会では毎月のようにセミナーを行ってきたが今月のテーマは「高齢者と賃貸住宅」。講師は弁護士の吉田修平先生だ。

レジュメが届いたのでさわりを紹介すると・・・・・

「高齢者が賃貸住宅に入居するのは次のようなメリットがある」

(1)所有権住宅(つまり持ち家・マンション)に比べると取得コストがはるかに低廉

(2)家族構成の転換期なのでライフスタイルに合った住宅の選択が容易

(3)持ち家のような値下がりリスクがない

(4)自己所有の住宅で発生する修理・立替コストが発生しない

(5)(分けることが難しい)不動産を遺産として残すと相続争いが起きる可能性がある

詳しい話は当日聞くとして興味深い考え方だと思った。このようなことを考えたことがなかった訳ではないが、次のような点から抵抗が私にはあった。

(1)今程度の広さの家に住もうと思うと私の住んでいる地域でも家賃は月15万円程度。値上がりなしとして20年間で3,600万円。これは今自宅を売却する価格よりは高そうだ。持ち家に住み続けると修繕コストが発生するのでそれを加味しないといけないが、一方長生きリスクもある。賃貸がペイオフ(採算がとれる)するかどうか疑問だ。

(2)死んだ時借家から出棺するのは少し寂しい。男が半生かけて築いた小さいとはいえ、自宅から最後の旅立ちをしないのは寂しいことではないか?

(3)自分の家なら好きな様にレイアウト替えたり、騒いだりできる(といっても近所迷惑にならない程度)が、借家とくにアパート暮らしとなると隣や上下の部屋に気を使う。

(4)妻や二人の娘に形のあるものを残してやりたい。

だが少し突っ込んで考えてみると「私の抵抗感」はほとんど問題のないことなのかもしれない。

まず(4)についていうと妻も娘たちもこの家に住み続けるつもりはない(娘たちは都心で暮らしている)ので、多少の資産は不動産で残されるより分割可能な現金か有価証券で残して欲しいと思っているに違いない。

(2)についていうと、死ぬ時に妙な見栄をはることはない。どこから旅立とうが行く先は同じ(極楽か地獄かは別として)である。

(1)と(3)はライフスタイルの考え方の問題。今の家でも実は広すぎて使っていないスペースが多い。使っていないところに不要なもの(将来使うアテもない岩登りの道具とか)をおいているから整理整頓が進まない。小ざっぱりと小さくても効率的な住まいを探すことはできるだろう。

そうすれば家賃水準も見直せるのではないか?また所有権住宅から賃貸に移る時にはマイカーも手放そう。読まなくなった本はばっさりとブックオフに持って行こう。

キリストは「金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴を通るより難しい」と教えた。我々庶民には天国の門をくぐれないほどの財産はないが、色々雑多な所有物はやはり天国に向かうには邪魔になりそうだ。

というようなことを考えながら来週のセミナーを楽しみにしている。

相続対策として「地主さんに賃貸住宅を建てなさい」というセミナーは多いが「賃貸住宅に住みなさい」というセミナーは寡聞にして見たことがないが面白いと思う。

ご興味のある方は学会のHPをのぞいてください。http://www.souzoku-gakkai.jp/

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1 コメント

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ライフサイクルに応じて適当な広さや立地の住いに... (noutori)
2013-09-16 13:51:52
ライフサイクルに応じて適当な広さや立地の住いに住むというのは良いですね。ただ引っかかるのは60も半ばを過ぎるとなかなか貸し手さんがいないのかもしれないという懸念。
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