金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

プロも失敗したライブドア株

2006年01月24日 | 株式

昨日山仲間と飲んだ後駅から自宅まで週末の雪が残る道を歩いて帰る時、冴えた月が出ていた。

月凍てて飴のごとくに雪光る

となんとなく俳句のようなものが頭に浮かぶ。さて家に帰り着くとテレビはライブドアの堀江社長逮捕一色である。「ライブドアで浮かれた個人投資家は随分損をするだろうが、プロはアンマリ手を出していないのだろうな」などと思って寝る。

ところが今朝ウオール・ストリート・ジャーナルを読んでみると日米のプロというべき大手投信会社も結構ライブドアを買っていたという記事が出ていた。何故プロも買っていたか?という背景も分かって面白い記事だからポイントを紹介しよう。それにしても資金運用とは難しいものである。やはり「分からない会社は買わない」というウオーレン・バフェット流の頑固な哲学を貫くべきなのだろう。

  • 先週この野心的なインターネット新興企業に査察が入り株価が下落するまで、ライブドアは日本の個人投資家の最愛の人だった。そしてまた数十億ドルの資産を運用する日米の大手投信会社もライブドア株を好んでいた。
  • 野村アセット、フェデリティを含む大手投信会社はライブドアへの大きな投資のため運用資産の時価が急激に減少した。影響は特にフェデリティにおいて顕著だった。先週フェデリティは日米で販売している小型株ファンドで12月末にライブドアの発行株の6.88%を保有していたと発表した。このファンドは総額20億ドルでライブドアは7番目に残高の多い銘柄だった。
  • 幾つかのトップクラスの投信会社がライブドア株に投資していたことは世界中から日本株に資金が流れ込んでいたことを強調している。基本的には個人投資家の資金を受託した多くの株式投信は今やトヨタのような確固とした企業だけではなく、ライブドアのような小さくてより基盤の弱い会社の株も追い求めている。昨年外人投資家は日本株に新記録となる12.62兆円を注ぎ込んだ。
  • アナリストによればライブドアは大きな受託資産を持つ中小型株投信が探す数少ない銘柄の一つだという。それは日本の個人投資家の間で人気が高く流動性が高いので投信のファンドマネージャーが目立たずに売買できるからである。更に度重なる株式分割で株式の流動性が増加していた。
  • モーニングスターのチーフオペレーティングオフィサー・アサクラ氏は「小型株ファンドマネージャーは流動性の問題から他の選択肢がない」「今回はそれが逆作用した」と言う。
  • この出来事は保守的で銀行預金を好んでいた日本の投資家が漸く示し始めた株式投資に対する関心を湿らせる可能性がある。
  • なおフェデリティのライブドアに投資している投信は1月18日に純資産価値が5%以上下落した(日経平均は2.9%下落)。フェデリティ日本小型株ファンドは昨年62%の資産価値増であったがこの日7.1%下落した。

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このことから今後の投資判断に幾つかの材料が得られる。

  • 大手投信に今後個人投資家に人気の高い銘柄を追うという運用姿勢に対する反省が入るだろう。
  • ということは小型株より大型株が重視されるかもしれない。ここしばらくは東証1部銘柄でファンダメンタルがしっかりしている株を買う方が良いかもしれない。派手な見かけ美人ではなく少々器量が悪くても根性のしっかりした人を選ぶ時だろう。

昨夜の月のように冴えた頭で投資戦略を立ててみたいものだ。

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しっぽが犬を振る~私と写真の関係

2006年01月22日 | うんちく・小ネタ

普通犬がしっぽを振るのであるが、目的と手段が逆転したり主客が転倒している状態をしっぽが犬を振ると言うことがあるらしい。自分について考えてみると私の写真趣味などがこのしっぽ犬(しっぽが犬を振るの省略形)に該当する。私が写真に力を入れだしたのは元気に山を登っている間に良い山の写真を撮りたいと考えたからだ。遠くの雪山などになるとまた登るということはありそうでもうないのかもしれない。つまり一期一会ということを考え始めた。だから印象を写真に留めたいと思い、50歳を過ぎてからは山の写真に力を入れだした訳である。ところが山の写真を撮る目的で始めた写真が次第に自己増殖して花や鳥、町の風景等の写真までフィールドが広がりつつある。つまり写真というしっぽが犬=僕を振り回そうとしているのである。

ところでデジタル一眼レフの時代になってカメラはオリンパス(E300)にした。理由はトータルの機材が軽いということ。カメラ本体も軽いし交換レンズも小振りに作られている。これはオリンパスがデジタル専用レンズを開発していることなどによる。

Photoeq_2 写真は私のオリンパス一眼レフと交換レンズや三脚・一脚などである。無論この程度の装備は本格的な写真マニアから見れば取るに足りない程のものであるが、私にとっては私を振り回す結構なしっぽなのである。つまりマクロレンズがあるから季節には花の細密な写真を撮りに行くことになり、望遠レンズ(及びテレコンバーター)があるのでコハクチョウが近くにくれば撮影に行こうとする訳である。これがしっぽ犬なのだ。

ところでしっぽ犬は悪いことなのか?ということを考えてみよう。実は人間大概何かに振り回されている。それは仕事であったり、子供であったり、恋人であったり、趣味であったりと様々なのだが。振り回されるから人は頑張るのである。もし振り回すしっぽが何もないとしたらそれは随分淋しいことではないか?

カメラに振り回され花の写真を撮るから花のことが知りたくなる。一つの花を知ればまた次の花を知りたくなる。そう、振り回されて良いのだ。人間なんて主体性云々などといったって所詮は色々なつながりや好奇心にぶら下がって生きている。でもたった一本のしっぽでは心もとない。そのしっぽが切れた時犬も元気がなくなってしまうだろう。

だから大切なことは立派なしっぽを何本か持つことじゃないか?なんてことを言いながら私は自分の写真趣味を上手くワイフに納得させるロジックを研究しているところである。

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雪の平林寺

2006年01月22日 | まち歩き

雪の降った翌日が休日だと忙しい。雪景色を写真にとるため出かけることが多いからだ。今日(1月22日)は新座の平林寺に向かう。雪で道路が空いているので自宅かあ20分程で平林寺に到着。正門前の駐車場に車を止めるとおばさんが直ぐ料金徴収に飛んでくる。駐車料金5百円也。これが高いか安いか絶対水準は別にして平林寺の拝観料が3百円なのに駐車料金が5百円というのは少し本末転倒な感じがしないでもない。

さて平林寺には写真愛好家が既に10名程度来ていて雪景色にカメラを向けている。私もまず山門の写真から。

Sannmonn

平林寺は臨済宗妙心寺派の古刹。お寺の案内を丸写しすると「今から約6百年前大田備中守により埼玉県岩槻市に創建。その後徳川時代に川越城主松平伊豆守信綱公がこの場所に移し今日の平林寺になった」とのこと。以前にも来たことがあるが雪の日に来るのは初めてだ。

Niwa1_2  この写真は広角ズームレンズ(11-22mm)の広角側(11mm)を使って撮った。ホワイトバランスを曇天(6000k)にしたがこの方が雪の質感が出たと思う。

お寺の裏にまわると納屋がある。この納屋は好事家によりよく写真に撮られている。

Koya2_1

この写真は望遠ズームで撮影(焦点距離35mm換算100mm)。露出を+1補正する。

お寺の表に戻ると鐘楼の横に黄色い小さな実をつけた喬木があった。名前は分からないので調べることにしてとりあえず写真を披露。

Kiiroimi

山門を出たところで日の光を浴びた雪を抱く楓の葉に出会った。出来るだけ綺麗な葉を捜して望遠レンズでボカシを効かせてみた。

Yukikareha

1月半ばだというのにけなげにも赤い色を保っている楓と雪がマッチして美しい。

総門に至る道に竹林があり日の光を横から浴びて輝いていた。

Soumonnmichi ここ平林寺の一帯は樹木が多く武蔵野のおもかげを良く残している。今日は車で来たので野火止用水沿いの道を歩かないが、本当は淡雪を踏みながら野火止用水を歩くともっと良かったのだろう。こうして僕の雪の朝の短い旅は終わった。

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雪の善福寺池

2006年01月22日 | まち歩き

今日(1月21日)は夜来の雪が降り続いていた。雪の休日は忙しい。写真を撮りに出かけるためだ。今日はまず善福寺池に向かうことにする。ワイフによればコハクチョウが来ているという記事が新聞に出ていたとか。朝食後X-trailを飛ばし善福寺池に向かう。車の中で「これじゃーまるでしっぽ犬だな」などと思う。しっぽ犬というのは別の記事で話をするけれど要は犬がしっぽを振るのではなく、しっぽが犬を振っている状態。つまり僕の場合は写真というかカメラに振り回されているということなのだ。そんなことを考えている内に善福寺池に到着。

Zennpukuji_2 まずしんしんと降り続ける雪の善福寺池を写真におさめる。

鳥はオナガガモ、ユリカモメが見えるがコハクチョウはいないようだ。

雌のオナガガモの背中に雪が積もっている。

Onagamesu_3

続いてユリカモメを撮る。

Yurikamome_3

こうしている間も雪は降り続けカメラを握る手も凍ててきた。この凍てた清冽な雰囲気をなんとか写真にしたいものだ思って撮ったのが下の写真だ。同じアングルで明るさ、ホワイトバランスを変えて何枚か写真を撮り一番気に入ったものを選択した。笹に積もった雪の軽さが伝わるだろうか?

Zennpukuji2

さて何とかしてコハクチョウを見たくなり狭山湖まで行ってみることにした。狭山湖までは車で30分。郊外に向かう車は少ないので割に簡単に到着。

Magamo_1 ところが狭山湖にもコハクチョウはいない。しかたなく堤防に並んで寒さを耐えているマガモを写真に撮る。

ところで今日の雪は狭山湖の方が善福寺池より少ない。低気圧が太平洋側に着たので南の方が雪が多いということなのだろう。最後に狭山湖で椿を撮る。雪を被った椿はけなげに美しい。Tubaki2_1

それにしても雪の休日の朝は本当に忙しい。

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ライブドア・東証取引短縮が教えてくれること

2006年01月19日 | 株式

1月17、18日とライブドア家宅捜査騒ぎと東証取引短縮問題で日本株は大きく下げた。今朝(19日)方は出来高は小さいものの日経平均は一時3百円程上げている。まあライブドア問題は一企業の個別問題で日本株全体への影響は軽微という投資家の判断が強いのだろう。それはそれとして一連の問題は色々なことを示唆してくれる。奇しくもこの問題が顕在化する少し前に私はブログ「金融リテラシィ」「日本の投資家がドルを支える」で投機のリスクを論じたところだった。従ってここであらためてファンダメンタルズを度外視した投機的取引の危険性を繰り返すことはやめる。ただし大手新聞の中にも投資家と投機家の区別も付かない様なコメントがあるのは残念だ。大手新聞の問題と言えば東証のシステム問題についてどうしてもっと海外の事情を踏まえた事実を報道しないのか?という強い疑問にかられる。日経新聞は「欧米並みの(システム)水準が求められているのは取引システムだけではない」といっているのが、欧米の取引システムをちゃんと理解して記事を書いているのか?もし理解していないのであればとんでもない怠慢であり、知った上で言及しないのであれば読者に対する背信であろう。

海外紙例えばウオール・ストリート・ジャーナルは東証の状況について以下の様に報じている。

  • 東証は90年代の経済スランプの時期にコンピュータシステムのアップグレードの手抜きを行なった。そして近年投資家が回復しつつある日本市場への関心を再び高め取引高が増加していることに対し対応が悪かった。
  • 昨日東証は328万件の約定を処理し、売買代金は3兆97百億円だった。ここ数ヶ月の平均的な一日の約定件数は3百万件である。
  • 昨日東証は850万件の発注を受けたが、今年末までには受注能力を14百万件に増強しようと望んでいる。東証幹部によれば「例え1百万件の受注能力アップでもできるだけ早くやりたい」「しかしどこまで能力をアップすれば十分なのか分からない」ということだ。
  • 東証が取引時間を短縮して発注増に対応したのは初めてのことではない。1988年の株式ブームの時にも東証は後場の取引時間を30分短縮したことがある。これは12日間続いた。
  • アナリスト達によればニューヨーク証券取引所とロンドン証券取引所はシステムを監視する高い地位の役員を任命しているので技術的問題を起こす可能性がより少ないということだ。これに対して東証はチーフ・テクノロジー・オフィサーを未だ任命していない。もっとも東証は以前から将来任命するとは言っているが。
  • 加えてロンドン証券取引所は2001年7月の上場以来システムを3度アップグレードしている。ロンドン証券取引所は1年以内に導入するシステムで許容量を66%増強すると言っている。一方ニューヨーク証券取引所は取引の14%だけがコンピュータ経由であり大部分は人手で対応している
  • ネット証券協会によれば、東京の株取引の約17%はオンライン取引であるが、このオンライン取引のため問題が発生していると思われる。小額取引がコンピュータの許容量を食っているということだ。ネット証券協会によればオンライン顧客の数は昨年の間に2倍の220万人になった。より顕著なことは昨年12月のオンライン取引高は1.09兆円になったがこれは一昨年同月の3倍である。Eトレード証券の佐藤役員によれば東証はこの様なオンライン取引の急速な増加を予想できず、能力増強を図らなかったということだ。

以下は私のコメントである。

  • 物事には即時的・短期的対応と長期的対応がある。昨日東証が取引時間を短縮したり今後取引ボリュームに合わせて売買時間を短縮するというのは危機管理の短期的対応としては正しい。仮に取引時間を短縮せず約定した取引の執行ができないような事態を招くとそれこそ大変である。マスコミはこの点をもっときちんとのべるべきではないか?なお東証は長期的には処理能力をアップせねばならず、それを具体化させるマイルストーン(工程表)を市場参加者に示す必要がある。
  • 日経新聞は「世界の信用を失って良いのか」と大きな見出しで記事を書き、東証を譴責しているがこれは水に落ちた犬を叩いているだけで建設的な提案はどこにもない。例えばニューヨーク証券取引所は大半をマニュアル対応しているのにどうして大量処理が可能なのか?などといった突っ込んだ議論をするべきだろう。マスコミや監督官庁は建設的な示唆を行なう必要がある。
  • 東証の問題は日本の株式取引が東証に集中している点にもある。米国ではニューヨーク証券取引所とアメリカン証券取引所双方で上場されている銘柄が多く懸かる事態のリスク分散になっているということを仄聞したことがあるが日本でもこのような対応が必要。日本でシステムというとコンピュータシステムを意味することが多いがもっと広義なシステムつまり証券取引の枠組みの見直しが必要なのではないか?
  • いずれにしろ株取引や金融に関心のあるものは単に日本のマスコミの表面的な情報に頼ることなく色々なチャネルで情報を収集しリテラシィ~教養~を深める必要がある。リテラシィとは行動の指針となるもので、ちゃんとした金融リテラシシィがあると市場の多少の混乱時にも動揺が少なくて済むというものである。
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