昨日山仲間と飲んだ後駅から自宅まで週末の雪が残る道を歩いて帰る時、冴えた月が出ていた。
月凍てて飴のごとくに雪光る
となんとなく俳句のようなものが頭に浮かぶ。さて家に帰り着くとテレビはライブドアの堀江社長逮捕一色である。「ライブドアで浮かれた個人投資家は随分損をするだろうが、プロはアンマリ手を出していないのだろうな」などと思って寝る。
ところが今朝ウオール・ストリート・ジャーナルを読んでみると日米のプロというべき大手投信会社も結構ライブドアを買っていたという記事が出ていた。何故プロも買っていたか?という背景も分かって面白い記事だからポイントを紹介しよう。それにしても資金運用とは難しいものである。やはり「分からない会社は買わない」というウオーレン・バフェット流の頑固な哲学を貫くべきなのだろう。
- 先週この野心的なインターネット新興企業に査察が入り株価が下落するまで、ライブドアは日本の個人投資家の最愛の人だった。そしてまた数十億ドルの資産を運用する日米の大手投信会社もライブドア株を好んでいた。
- 野村アセット、フェデリティを含む大手投信会社はライブドアへの大きな投資のため運用資産の時価が急激に減少した。影響は特にフェデリティにおいて顕著だった。先週フェデリティは日米で販売している小型株ファンドで12月末にライブドアの発行株の6.88%を保有していたと発表した。このファンドは総額20億ドルでライブドアは7番目に残高の多い銘柄だった。
- 幾つかのトップクラスの投信会社がライブドア株に投資していたことは世界中から日本株に資金が流れ込んでいたことを強調している。基本的には個人投資家の資金を受託した多くの株式投信は今やトヨタのような確固とした企業だけではなく、ライブドアのような小さくてより基盤の弱い会社の株も追い求めている。昨年外人投資家は日本株に新記録となる12.62兆円を注ぎ込んだ。
- アナリストによればライブドアは大きな受託資産を持つ中小型株投信が探す数少ない銘柄の一つだという。それは日本の個人投資家の間で人気が高く流動性が高いので投信のファンドマネージャーが目立たずに売買できるからである。更に度重なる株式分割で株式の流動性が増加していた。
- モーニングスターのチーフオペレーティングオフィサー・アサクラ氏は「小型株ファンドマネージャーは流動性の問題から他の選択肢がない」「今回はそれが逆作用した」と言う。
- この出来事は保守的で銀行預金を好んでいた日本の投資家が漸く示し始めた株式投資に対する関心を湿らせる可能性がある。
- なおフェデリティのライブドアに投資している投信は1月18日に純資産価値が5%以上下落した(日経平均は2.9%下落)。フェデリティ日本小型株ファンドは昨年62%の資産価値増であったがこの日7.1%下落した。
コメント
このことから今後の投資判断に幾つかの材料が得られる。
- 大手投信に今後個人投資家に人気の高い銘柄を追うという運用姿勢に対する反省が入るだろう。
- ということは小型株より大型株が重視されるかもしれない。ここしばらくは東証1部銘柄でファンダメンタルがしっかりしている株を買う方が良いかもしれない。派手な見かけ美人ではなく少々器量が悪くても根性のしっかりした人を選ぶ時だろう。
昨夜の月のように冴えた頭で投資戦略を立ててみたいものだ。