金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

あたるご祈祷

2006年01月11日 | うんちく・小ネタ

受験シーズンが近い。受験シーズンになると私の親父のところにも合格祈願のご祈祷をお願いにくる人が増える。親父は僧侶でありご祈祷や運勢占いをやっている。運勢を占うこととご祈祷の間にはある種の論理的矛盾を感じない訳ではない~つまり運命を確定的なものとするならばご祈祷によって変えることは出来ないはず~が、親父の祈祷は良く当たるとそこそこ評判が良い様だ。

そこである日親父がご祈祷依頼者と話をしているのを隣の部屋からそっと聞いてみた。すると親父は依頼者にこう言っている。「仏様にあなたの息子さんにとって一番良い大学に入れますよう拝んでおきます」

なるほどこれなら当たる確率は相当高い。例え第一志望の学校に入れなくてもそれは仏様が一番良いと考えた学校ではない訳だから。又仮にどこの大学に入れなくてもそれもまた仏様のはからいなのだから。

親父の説明は詭弁の様な気もするが、人生なんてものはそんなものかもしれない。無理をして実力以上の学校に入ったところで苦労だらけで長続きしない可能性が高いだろう。人生万事塞翁が馬という言葉もある。そんなことであればわざわざお坊さんに拝んで頂かなくても良いようなものだが、やはり急場で頼りたくなるのは仏様、神様の様だ。

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エコノミスト誌、大幅ドル安を警告

2006年01月10日 | 金融

1月5日にエコノミスト誌は大幅ドル安を警告する記事を発表した。実はエコノミスト誌は以前から米国の大きな経常赤字からドルの下落リスクを示唆していた。特に昨年の今頃もドル安を警告していたのだが、昨年は米国と欧州・日本の金利差が米国の経常赤字よりも注目されたためドル高で終わった。この限りではエコノミスト誌の予想は外れたのだが今回の警告は当たりそうな気がする。ドルのロングポジションを取る向きは見直す必要がありそうだ。以下ポイントを紹介する。

  • ビル・ゲーツ、ウオーレン・バフェットそして多くのウオール・ストリート街の経済学者にとって2005年にドルは最も意地の悪い驚きを与えた。世界で最も豊かな二人の男と金融市場の予測者達は米国の巨大な経常赤字がドルの下落が起きると昨年予測した。(エコノミスト誌は自分の予想が外れたことを正当化しているとも取れる)
  • 彼等は総て間違っていた。米国の経常赤字は8千億ドルへ向けて拡大したもののドルは上昇した。ドルは多通貨貿易加重平均ベースで4年振りに上昇(上昇幅は3.5%)し、ユーロに対しては14%高の1.18ドル/ユーロとなった。円に対しても同様である。
  • 今年のドルの見通しについて大方の予測は年の後半に緩やかに下落するというものだ。それはドルの昨年の上昇が米国と欧州・日本の金利差拡大に起因すると大部分のアナリストが見ているからだ。この金利差は年後半に若干縮まる前に向う2,3ヶ月は拡大すると予測されている。
  • 米国連銀は2005年に短期金利を8回引き上げて4.25%にした。反対に日本はゼロ金利政策を持続し、欧州中央銀行は12月に一度だけ金利を引き上げ2.25%にした。しかし米国の金利引き上げが頭打ちになり、欧州と(恐らく)日本が金利を上げるとドルは弱くなるだろう。最近ロイターが市場予測をまとめたところではドルは今年末には1ユーロ1.25ドル、1ドル108円というのがコンセンサスである。
  • 2006年初めの数日をベースに判断するとこれらの予測は希望に満ちすぎているかもしれない。ドルは過去2年間で2日間の最大の下落を見た。この下落の一つの理由は投資家がどれだけ早く金利差の拡大が止まるかということに神経質になっていることがあげられる。経済理論によれば金利差の拡大は一時的に為替レートを強くするものである。時間の経過とともに国際的な金利差は金利の高い通貨の下落で相殺される。
  • 金融市場も又金利の影響力に取り付かれ過ぎてきているのかもしれない。歴史的に見れば為替レートの短期的な動きを予測する上で金利差が他のものより特段役立つことはない。
  • そしてドルについての懸念材料は沢山ある。2005年にドルを支えた一つの明らかな理由は一回限りの米国企業の海外利益の国内送金に対する税制優遇措置である。しかしこれはもう終わった。
  • 原油の輸出者は多くの人々が予想するよりははるかに移り気で不安定であることが明らかになるかもしれない。2005年には原油価格が高騰したので産油国は対外準備が拡大し、その大きな部分がドル資産になった。このことから幾人かのアナリスト達は原油輸出国はドルの持続的なサポーターであると結論付けた。しかし他方原油輸出者も他のものと同様米国の金利上昇に魅力を感じていたという見方もある。最近の国際決済銀行の研究によればOPECメンバーの外貨預金の組み合せはより金利差に敏感になっていることを示唆している。
  • 中国はもう一つの不確実性の原因である。中国は2005年7月に僅かに為替レートを変更しただけだが、今年は市場が予測するよりも大きな元の変動を容認するかもしれない。今週中国は元がより早く強くなることを可能にするスポット取引を行なうマーケッティングシステムを導入した。
  • しかし最大の影は依然として大きくかつ拡大する米国の経常赤字である。これを削減するためにはドルがもっと安くなることが必要である。ゴールドマン・ザックスのオニール氏のモデルによれば、金利差からすれば現在より10%ドル高の1ユーロ1.10ドルになるべきだが、経常赤字懸念からドルが既にディスカウントされていると彼は言う。本当のリスクは金利差が消えて経常赤字に関する懸念が舞台の真ん中に出ることだ。その結果ドルは急激に下落する可能性がある。

山高ければ谷深しという。本来下落するべきドルが金利高や突発的要因で高くなっていたとすればそれらのツッパリ棒がなくなった時反動で急激なドル安がくることは大いにありうる。いずれにせよ為替は事実ではなく心理で動く面が多い。今市場が何に注目しているか?ということが問題なのだ。エコノミスト誌の記事が話題を提供してドル安が進む可能性もあるかもしれない。

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冬の京都の短い旅~広角レンズで遊ぶ

2006年01月09日 | まち歩き

3連休の2日で京都の実家をとんぼ返りをした。昨年末少し体調が良くなかった親父のことが気になっていたがほぼ問題はないようで良かった。そんなことなので今回はワイフと次女の3人の短い旅ながらちょっとお寺巡りをしてみた。

雪の激しく降る関が原を新幹線は徐行運転したものの予定より数分の遅れで京都に到着。午後3時頃バスで八坂に向かうが五条坂付近で渋滞、コーヒーを飲んだ後八坂神社から智恩院へ向かう。智恩院の拝観は4時締め切りで締め切りに間に合わず。山門の写真を撮って三条通りに向かう。東山の空を圧する智恩院の山門は圧倒的な迫力だ。

Chioin

八坂神社はもの凄く混んでいたが智恩院から青蓮院前を通り平安神宮に向かう道は空いている。

青蓮院前のクスノキは枝を四方に張り実に立派だ。

Kusunoki

翌日の朝はまず百万遍近くの満月本店に車でワイフと娘が勤務先へのお土産にする阿闍梨餅を買いに行く。

Ajyari

阿闍梨餅は1ケ100円で中々美味しく手頃なお土産である。満月本店は午前9時から開いており観光等の行動する上で便利である。

店の内外は清掃が行き届き盆栽や苔球が飾られまことに清々しい。

さて阿闍梨を買った後修学院の曼殊院に向かう。30年近い歳月を生まれ育った京都岩倉で過ごしたが極近くの曼殊院にはついぞ行ったことがなかった。全くの灯台下暗しである。さて曼殊院は北山通りから少し北の山あいに登るだけに雪が残っていった。

Manshuin

曼殊院は非常に古いお寺だ。同寺のパンフレットによれば草創は天台宗開祖の伝教大師。紆余曲折あるが現在の地に移ったのが1656年(明暦2年)である。写真の庭園は小堀遠州好みの枯山水である。薄っすらの積もった数日前の雪が綺麗である。しかしこの雪の清冽な美しさを写真にするのは私の腕では困難だった。露出を色々変えて撮影を試みるが枯山水の砂地を薄っすらと覆う雪のはかなさを写し取ることは出来なかった様だ。写真も奥深いものである。

Mannshuinn2_1

ところで私達の足は冷えに冷えた木の廊下から冷気をモロに伝える。頭の芯まで凍りそうな冬の京都のお寺だ。その凛と張り詰めた空気が良いと私は思うがワイフと娘は早々に退散したそうだった。ところで庭園の写真を楽しむには広角レンズが良い。私はオリンパスの11-22mm2.8-3.5を使っているが中々の描写力だと思っている。それでもなお写しきれない雪の庭園は奥深いテーマの様だ。

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望遠レンズで遊ぶ

2006年01月08日 | 写真

先日神田のカメラのキムラでオリンパス・ズイコー・デジタルED50-200mmf2.8-3.5を79,800円(消費税込み)で特売していたのでつい買ってしまった。この望遠レンズ(定価125,000円)の価格コムで見た最安値が9万円を少し切ったところなのでまずお買い得だったといえる。キムラさんも良い仕事をしている。もっとも僕は望遠レンズについてはシグマの55-200mm5-5.6というレンズを持っているのでカバレッジからいうと重複する訳だ。ただし2つのレンズでは解像力が違う。やはり値段の差はあるのだ。とはいえシグマのレンズは軽くて小さいというメリットがあるので、簡単な登山のお供には向いている。

さてその望遠レンズで野鳥の写真でも撮ろうと思い、近くの三法時池に日曜日の朝車で出かけた。目当てはカワセミなのだが残念なことに不在だったので、タシギの写真を撮ってみた。

Tashigi

タシギという鳥は名前のとおり田んぼの切り株を保護色としているだけに景色の中から鮮やかに切り取ることは難しい。この写真は200mm(銀塩カメラ換算400mm)一杯で撮っているのでこれ以上大きな大きく撮ろうと思うとテレコンバータが必要だ。

もい一枚の写真はキンクロハジロの写真だ。

Kinnkurohajiro 金色の目が恐そうに写っている。カルガモが水草を食べるのに対してキンクロハジロはカニなどを食べるというから顔も恐いのかもしれない。

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邦銀大手の行方

2006年01月06日 | 金融

最近エコノミスト誌が邦銀の行方について「問題はどこから顧客を持ってくるかだ」The question for Japan's megabanks is where new custom will come fromタイトルで記事を書いた。特段新しい話題ではないが、大手邦銀幹部の中にはエコノミスト誌の読者もいるだろうから多少影響を与えるかもしれない。エコノミスト誌の英語は概して難しいがこの手の邦人読者を意識したような記事の英語は割と簡単なのだ。エコノミスト誌は使い分けをしているのだろうか?

ポイントを紹介した上でコメントを加えよう。

  • 1月4日に資産規模1.6兆ドルという世界最大の銀行三菱東京UFJがオープンした。同行を含む3代メガバンクは金融危機時代の産物である。
  • ピーク時(1986年)にトップクラスの邦銀の時価総額はTOPIXの4分の1以上を占めたが、どん底の2003年4月にはその時価総額割合はたった2.7%になった。しかしその後銀行株価は16倍になった。銀行株は日本株を5年振りの高値に持ち上げたエンジンだった。
  • 今や邦銀は1997-8年のアジア金融危機で急速に撤退して以来始めて海外活動の拡大すら考えている。今週三菱東京は中国銀行に3億ドルの投資を考えていると言われた。多くのアナリストや投資家はメガバンクは単に角を曲がっただけではなく、彼等の前には明るい道が開けているという確信を示している。これは正しいのか?
  • 確かに銀行は長い過去に較べてはるかに健全である。2002年3月不良債権比率が8.4%だった時、政府は2005年3月までに不良債権比率を半減させる目標を立てたが、銀行は目標を達成し昨年9月には同比率は2.4%に低下している。
  • これらは政府の援助があってこそ達成できたものだが、今邦銀は劣後債務の返済を始めている。みずほは今年中に6千億円の公的資金を返済すると予想されているし、三菱UFJ、三井住友も各々8200億円、1兆1千億円の公的資金を1,2年の内に返済すると予想されている。
  • しかし邦銀の利益と公的資金返済能力は景気回復による貸倒引当金の戻入れにより大きく拡大している。そこで邦銀の健康状態にぐずつく懸念がある。
  • 一つは過度な情報技術システムである。もう一つは銀行による不動産ファンドに対するノン・リコースローンの規模である。しかし金融庁の遠藤 英俊室長は「銀行はついに過去の問題を押しやることができ、将来の戦略を立てる曲がり角にきた」という
  • 戦略?気まずい質問だ。利益の大きな部分が貸倒引当金戻入から来ていることからすれば収益性は国際標準の較べて極めて低い。企業与信市場は滅茶苦茶だ。貸出の収益性は日銀がゼロ金利政策を放棄した時~恐らく来年だが~改善すると推測される。それは預金金利の上昇より貸出金利の上昇の方が早くその差を銀行が享受しうると思われるからだ。
  • しかしほとんど総ての人が将来企業がもっと借入で資金を賄うことを予想している。それ故3大メガバンクは中小企業向け貸出に注目している。特に三井住友は年商10億円以下の企業に焦点を当てている。同行は担保を求めず産業別ポートフォリオ運営を行なっている。同行は5千万円以内のローンについて3日で答を出すことを約束している。このタイプのローンは急成長しているが、その大きな部分は規模の小さい地銀の商売を奪ったものである。しかし世界的な債券ファンドマネージャーPIMCOの尾関アナリストは中小企業融資は競争により利鞘が縮小するので必ずしも自動的な収益増強策にはならないという。
  • 望みは単に金利収入だけではなく手数料収入を増やすリテイルバンキングを修復することにある。単調な支店はゆっくりながらコンサルティングセンターとして化粧直しをされている。また新しい金融商品~例えば三井住友が世銀債を販売している様に~の販売の成功例もある。
  • しかしリテイルビジネスの確固たる基盤がはっきりすることは難しいだろう。まず始めに日本の人口は減少しはじめている。人口動態は銀行に味方しない。住宅ローン貸付は増えている。しかしこれは公的機関からの借入の民間シフトで一度限りのことである。
  • 過去数年間支店網を削減をしてきたことはその時点でのコスト削減に貢献したが、新しい収益源の種まきと刈り取りと言う点ではマイナスに作用している。ゴールドマン・ザックスのアトキンソン氏は3大メガバンクの中でリテイルビジネスでもっとも訴求力のないみずほは、個人客一人当たり年間20分しか時間をかけることができないと計算する。これは複雑だが収益性の高い金融商品を販売するには実行不可能な短い時間である。
  • 大手銀行は困難を脱したものの、今貧弱な収益性と生産性に悩まされようとしている。従って彼等は厄介な情報システムの合理化やアウトソースあるいは人員削減で経費削減することを求める投資家の圧力を受けつつある。しかしそれには時間がかかる。差し当たり彼等は海外に収益源を求めようとしている。しかし国内に強固な基盤なくして海外に出ることは賢明ではないこもしれない。

エコノミスト誌のいうところをもう少し具体策に落とし込んで考え見よう。

まずシステム問題だ。邦銀と米銀のシステム負担の大きさは次の点で大きく異なると私は見る。一つは普通預金通帳の有無でもう一つは電信送金の有無である。この2つの相違はATMの機能の差にも出てくる。電信送金や自動振替は決済機能に深く組み込まれているので米国型(小切手送付型)に向かう訳にはいかない。しかし普通預金の無通帳化にはもっと積極的に取り組んでも良いのではないかと考える。更には提供する商品の数を出来るだけ絞ることだ。店頭にあふれる金融商品の中には顧客のためにも銀行のためにもならないものが多すぎる。これらは規制時代の遺物である。これらを整理することなくしてシステム負荷は減らない。

次はオペレーションのシンプル化だ。公共料金の支払など銀行に行くよりコンビニで行なう方がはるかに早い。銀行がもしオペレーションを簡素化できないのであれば、銀行店舗の中にコンビニを入れ公共料金の支払などはコンビニでやって貰う位の発想の転換がないとだめだろう。

そうして銀行は投資信託等の複雑な金融商品の販売に力を入れる。これが銀行のビジネスモデルだろう。

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