金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【イディオム】Job openings 求人数増でも賃金は上がらず

2014年09月11日 | 社会・経済

Job openingsとは「求人数」のことである。CNBCにUS job openings near 13-year highという記事が出ていた。米国の求人数は過去13年の最高レベルに近いということだ。

米国では過去1年間に約250万人が新規に雇用され、失業率はほぼ正常状態の6.1%まで低下している。歴史的なトレンドを見れば、失業率がこのレベルまで低下してくると、インフレ調整後の賃金は3.6%上昇することになるが、実際のインフレ調整後の賃金は2009年の水準とほとんど変わっていない。

その理由についてはエコノミスト達の間で見解が分かれている。失業率では計算外になっている人(求職をしていない人)が、労働市場の改善により、雇用市場に戻ってくるので、労働需給がタイトになるのに時間がかかる。賃金の上昇は失業率の低下より遅れる。だがやがては賃金上昇につながるという意見がある。

一方企業は正社員をパートタイマーに置き換えているし、企業はより少ない労働力でより多くのアウトプットを得られる新技術に開発に力を入れているので、全般的な賃金上昇は望めないという意見がある。

業種別に見ると過去1年で時間当たり賃金の上昇率が高かったのは、データプロセッシングや放送・出版などで4.6%の伸びを示した。一方教育・ヘルスケアでは上昇率は1.3%に留まった。

労働人口が増え続けている米国と減少に転じている日本を単純に同じように考えてよいかどうか疑問は残るが、景気が上向いてきても簡単に賃金は上昇しないと考えておいた方が良さそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乖離が広がる総務省CPIと東大物価指数

2014年09月10日 | 社会・経済

昨日WSJは総務省が毎月発表する物価指数と東大日次物価指数の乖離が拡大していることを記事にしていた。

Cpi

総務省が発表している7月の物価上昇率は4月の消費税引き上げ効果を除外すると前年同月比+1.3%だった。 上記グラフが示すとおり、物価上昇率は頭打ちの感が強くなっているが、それでも14か月連続の上昇をキープした。

一方東大が開発した日次物価指数を見ると5月から物価の下落が始まり、二つの物価指数の乖離が目立ってきた。

東大日次物価指数は、その名前のとおりスーパーマーケットのPOSシステムを使い、約300の店舗の日々の商品価格を原データとして使用している。だから時間限定の安売り販売価格もデータに反映される。一方月次ベースの総務省物価指数にはそのような価格の一時的な変化は反映されない。

また東大日次物価指数がカバーする商品は総務省物価指数の2割に過ぎないということも、二つの指数に差がでる要因の一つなのだろう。

WSJは東大物価指数を開発した渡辺努教授の「東大物価指数は経済状態の先行的な指標」「小売業者は時間限定の安売りセールの後、そのまま値段を下げてしまうことが多い。なぜなら値段を元の売値に戻すと顧客が戻ってこないからだ」という言葉を紹介していた。

二つの物価指数の相関関係を見ると、東大日次物価指数の動きは総務省物価指数に3か月ほど先行した動きを取っている。渡辺教授は「CPIは近い将来下落することに自信を持っている」と述べている。

もし二つの物価指数の過去の関係が持続するとすれば、早晩CPIの下落が顕著になり、消費税再引き上げの可否を巡る議論が活発化しそうだ。そして日銀は追加的緩和に踏み出すことになる。それは理屈の上では円安要因だが、問題はそれをどこまで今の市場が織り込んでいるかということである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TVで懐かしい「高妻山」を観た

2014年09月09日 | 

時々NHKBSの「日本百名山」を観る。昨日は「高妻山」だった。高妻山はここ数年の間に登った山の中では印象深い山である。最初に登ったのは2012年の5月末、この時は9合目付近の残雪の傾斜がきつくて断念した。http://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20120529

二回目は同じ年の9月に再挑戦し頂上に立った。

http://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20120916

短期間に同じ山に二回挑戦することは少ないから印象に残っているのだ。

印象に残るといえば、体力を消耗する点でも高妻山は上位に入る。あまり登山経験のない人と話をすると、3千メートル級の山に行くというと「大変ですね」という反応があるが、2千メートル級(高妻山は2,353m)に行くというとそのような反応が返ってくることは希だ。

だが私は本当は3千メートル級の山よりも、2千メートル級の山の中に手強い山が幾つかあると考えている。理由は簡単だ。2千メートル級の山は、高妻山もそうだが、山麓から日帰り登山をするケースが多く(途中に山小屋やキャンプ場がない)、一日の歩行時間が長いからだ。また登り降りの大変さは標高の問題ではなく、登り口から頂上までの高度差(詳しくいうと累積高度差)である。富士山のようにコニーデ型の山は登りは登り一辺倒なので高度差=累積高度差なのだが、高妻山のように頂上に至るまでいくつもピークを登り降りする山では累積高度差が大きいから、体力の消耗は大きいのだ。

NHKの番組を観ていると、ガイドの人は淡々と頂上に立っていたが、登山記録を見ると高妻山の最後の300mの急登には閉口したという人が多いことが分る。

「山高きゆえに貴からず」という言葉があるが、登山者向けには「山高きゆえに困難とは限らず」という言葉があっても良いと私は思っている。

私自身は深田久弥が選んだ日本百名山愛好者(百名山登頂を目指す人)ではないが、もし中高年でこれから百名山制覇を目指す!という人がいれば、高妻山のように体力を要する山はできるだけ若いうちに登っておいた方が良いと私は思っている。

★   ★   ★

 

最近出版した電子本

 

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム】The july is still out 円安の是非

2014年09月09日 | 英語

昨日(9月8日)ニューヨーク市場で円ドル為替は106円を超えた。チャートを見ると105.50円から50銭強の上昇はあっという間だった。たまたま106円の手前に置いていたドル売りリーブオーダーはヒットした。このレベルでは多少もみ合いがあるだろうが、今では年末までには110円という予想も現実感が高まっている。

目先の急速な円安は先週の日銀黒田総裁の円安歓迎的な発言と昨日内閣府が発表した4-6月GDP改定値が-7.1%に下方修正されたことによるものだろう。

この急速な円安が日本経済にプラスに作用するか、マイナスに働くかという点について、政治家は判断に迷っている。

WSJのBOJ Kuroda comments sparks debate over weak Yenという記事の中に、Among policy makers, the jury is still outという一文があった。Jury(陪審員)はまだ(法廷の)外で協議をしてしている、という意味で「問題の結論はまだでていない」というイディオムだ。

WSJから黒田発言に対するコメントを求められた甘利経済再生担当相は「円安については賛否両論、誰も円安にメリットがあるかないか全体的な判断はできない」と答えている。

全般的には日本企業の生産拠点の海外移転が進んでいるので、円安が輸出増に必ずしもつながらず、むしろ原材料等の輸入コスト増が、ボトムラインを圧迫する可能性が高いからだ。

今回の円安が企業利益にプラスに働くかどうかは、国内生産比率にかかわる。たとえばキャノンは国内生産比率が高いので、1円の円安はグループ全体では31億円の増益になるそうだ。一方海外生産比率の高いソニーでは、1円の円安は30億円の減益になると予想されている。

消費者の立場からは円安はマイナスが多い。消費者の立場でマイナスの影響を緩和する対策はドル建て資産を増やすことだろうか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残念、シニア大楽と講演の日程合わず

2014年09月07日 | うんちく・小ネタ

最近ちょっと残念なことがあった。それはシニア大楽が企画した講演と予定が合わなかったことだ。シニア大楽http://www.senior-daigaku.jp/ というのは、実社会で経験を積んだシニア層を自治体等が主催するセミナーに講師として派遣することを目的に設立されたNPO法人である。私は半年ほど前にシニア大楽に講師登録をしていた。講演テーマは「登山・トレッキング」「資産運用」「相続」だったと記憶しているが、登録以降声がかからないので、他に有力なスピーカーがいるのかしら?と半ばあきらめ殆ど忘れていた。

ところが数日前、シニア大楽の実質的な設立者であるF副理事長から電話があり、登山の話をして欲しいという。そこで日程をうかがうと11月5日とのこと。ところが11月初旬は恒例のネパールの小学校建設NPO法人活動とその後のトレッキングに重なるので私は日本にいないのである。「残念」「また来年でも」ということになった。

私に期待されたシニア大楽での講演はボランティアであり、講師料は誠に僅少なものである。しかし何名かのシニアの方々の前で「登山の話」をする機会が先延ばしになったことについて私は少し残念に思っている。

何故残念に思うか?というと、不特定多数の人の前で何かを話すということは、とても大事なことだ、と私は考えているからである。仕事や趣味、あるいはボランティア活動を通じて、人の前で話をする機会はあったし、今もある。だが意外に少ないのは「何か良く分からないけれど、話が面白れば聞いてやろう」という人の前で話をする機会である。

テーマや目的がはっきりしているスピーチでは聴衆の方は話が面白くなくても一応聞いてくれるから、話し手のペースで話をすることができる。しかし「何か面白いとこはないか」的な聴衆の方の心に届く話をするのは、難しいと私は考えているし、その経験も少ない。故にちょっとやってみたかった「講演」なのである。

これから我々が経験するのは、自分とバックグラウンドや興味のあり方がまったく違う人たちとのコミュニケーションの進め方ではないか?と私は考える時がある。それは、地域社会と上手く調和する知恵であり、そして正直なところ私の苦手分野であるのだが。

シニア大楽のF副理事長の話は一度だけ聞いたことがある。話のディテールは忘れたが、最初の3分程度で聴衆の方を引き付けなさい、という部分は印象に残っている。そしてそれにはユーモアのセンスが必要です、とF副理事長は仰っていた。だがこのユーモアというか小話的なところが中々難しい。

これはちょっとした雪山や沢を登るより難問ではないか?などと私は考えている。そして機会があれば、知らない人の前で「山登りの楽しさ」や特に「中高年にとっての登山の意味」などということを話すことで、自らを見つめる機会を得たいと私は考えているのである。

★   ★   ★

 

最近出版した電子本

 

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする