昨日(7月10日)行われた参院選は自民党が改選前議席を上回る議席を獲得し、改憲勢力は参院の3分の2を超えた。
国政選挙で18-19歳が初めて投票した今回の参院選では、18-19歳の投票先(比例代表)は自民党が4割でトップ、民進党は2割弱、公明党は1割強だった(出口調査による)。
年代別で自民党の投票率が一番高かったのは20代の43.2%で30代の40.9%、10代の40.0%が続く。
一方民進党への投票割合が一番高かったのは70代で23.2%。60代21.4%、50代20.0%がこれに続いた(以上日経新聞)
簡単にいうと相対的に若い世代の自民党支持が高く、年齢が高くなるにつれ民進党の支持者が増えるという構図だ。
今回の参院選の争点になったのは、アベノミクスの成果だ。アベノミクスとは簡単にいうと「デフレを脱却し物価上昇率を2%に持ち上げ、経済成長率も2%を目指す」というものだ。
物価と経済成長率は目標にはるかに届かないものの、失業率や有効求人倍率は安倍政権発足時に較べて改善した。つまり賃金が上昇に転じる条件の一部は整いつつあるということだ。米国のエコノミストによると、賃金の上昇率が年3%を超えるようになってから、物価上昇率は2%上昇し始めるという。
この理論に従うと日本ではまだ実質賃金指数が低下しているので、物価上昇の賃金面での条件は整っていないことになる。
物価の安定的上昇は国民経済の成長エンジンの一つだが、年金以外に収入源のない高齢者にとっては生活実感としてはマイナス以外のなにものでもない(長期的なプラス面は実感できないので)。
従って若者がアベノミクスを支持し、高齢者になるほどアベノミクスに懐疑的な人が増えるのは当然といえる。
ところで今でも自民党を保守と呼び、民進党等野党側を革新と呼ぶのかどうかは知らないが、政策面を見る限り憲法改正問題を含めて自民党が改革的であり、民進党や共産党などが保守的である。
保守政党の支持基盤は世界的には中高年層で革新勢力の支持基盤は若年層なのだろうが、この点も日本の潮流は世界的な傾向と全く逆のものだろう。
今回の選挙結果を見て改めてそう感じた次第だ。