金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

保守が「革新」で革新が「保守」?

2016年07月11日 | ライフプランニングファイル

昨日(7月10日)行われた参院選は自民党が改選前議席を上回る議席を獲得し、改憲勢力は参院の3分の2を超えた。

国政選挙で18-19歳が初めて投票した今回の参院選では、18-19歳の投票先(比例代表)は自民党が4割でトップ、民進党は2割弱、公明党は1割強だった(出口調査による)。

年代別で自民党の投票率が一番高かったのは20代の43.2%で30代の40.9%、10代の40.0%が続く。

一方民進党への投票割合が一番高かったのは70代で23.2%。60代21.4%、50代20.0%がこれに続いた(以上日経新聞)

簡単にいうと相対的に若い世代の自民党支持が高く、年齢が高くなるにつれ民進党の支持者が増えるという構図だ。

今回の参院選の争点になったのは、アベノミクスの成果だ。アベノミクスとは簡単にいうと「デフレを脱却し物価上昇率を2%に持ち上げ、経済成長率も2%を目指す」というものだ。

物価と経済成長率は目標にはるかに届かないものの、失業率や有効求人倍率は安倍政権発足時に較べて改善した。つまり賃金が上昇に転じる条件の一部は整いつつあるということだ。米国のエコノミストによると、賃金の上昇率が年3%を超えるようになってから、物価上昇率は2%上昇し始めるという。

この理論に従うと日本ではまだ実質賃金指数が低下しているので、物価上昇の賃金面での条件は整っていないことになる。

物価の安定的上昇は国民経済の成長エンジンの一つだが、年金以外に収入源のない高齢者にとっては生活実感としてはマイナス以外のなにものでもない(長期的なプラス面は実感できないので)。

従って若者がアベノミクスを支持し、高齢者になるほどアベノミクスに懐疑的な人が増えるのは当然といえる。

ところで今でも自民党を保守と呼び、民進党等野党側を革新と呼ぶのかどうかは知らないが、政策面を見る限り憲法改正問題を含めて自民党が改革的であり、民進党や共産党などが保守的である。

保守政党の支持基盤は世界的には中高年層で革新勢力の支持基盤は若年層なのだろうが、この点も日本の潮流は世界的な傾向と全く逆のものだろう。

今回の選挙結果を見て改めてそう感じた次第だ。

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電力自由化、私は東京ガスを選択。保守的ですが。

2016年07月09日 | ライフプランニングファイル

今年4月から始まった電力自由化。マスコミによるとまだ全国ベースでは大手電力から切り替えた人は少ないようです(4月末では1.3%)。

我が家はそれ程電気を使っていないので、切り替えメリットは少ないと思い、放っておいたのですが、先週東京ガスのセールスマンが熱心にセールスに来たので東京ガスに切り替えることにしました。

インターネットで調べると料金面ではもっと良い条件がでる切り替え先もあるようですが、我が家の場合、優遇条件にあう項目があまりない(インターネット接続を切り替え先に変えると料金が安くなるなど)ので、無難な東京ガスにしました。

無難という意味は「元に戻したい(東京電力に戻す)時、ペナルティなどがかからずすぐ戻すことができる」ということです。

無難ということは割引額が少ないということです。しかし元々夫婦二人所帯ですので、そんなに電力は使いません。電力の使用が少ないと実は東京電力の方が割安な場合もあるのです。従って年間の電力料金削減額は精々2千円程度だと思います。

もっともその他セット割引・ポイント還元など多少のおまけはあるようですが。

そんな中で、東京ガスへの切り替えの背中を押したのが、「生活まわり駆けつけサービス」でした。

これは「水まわり(水漏れ・配管詰まり)」「玄関鍵」「窓ガラス(ヒビ・割れ・破損)」について24時間365日受付・出張費と30分以内の作業費が無料というサービスです(ただし2018年3月まで)。

過去数年間で玄関まわりや窓ガラスのトラブルはありませんが、水回りは一二度トラブルにあっています。

だから無料相談に魅力を感じた次第です。

電力供給先の変更についてそれ程詳しく研究した訳ではありませんが、概ね「安くなる先には解約制限などの縛りがある」「安さが大きい先は大災害等の場合の電力供給能力に懸念が残る」というtrade offの関係があると私は感じています。

そして料金引き下げ幅よりは「エネルギー供給会社という同質性」「東京電力への戻し易さ(東京電力だってその内もっと安い料金体系に変えるかもしれませんしね))」「駆けつけサービスというおまけ」で変更先を選択しました。

それにしても面白い時代になりましたね。自分の価値基準で配電先を選択することができるなんて。ついでにいえば、色々な分野でもっともっと選択肢が広がれば楽しいことが多くなると思います。

 

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雇用統計好調でS&P500一時高値を更新

2016年07月09日 | ライフプランニングファイル

昨日(7月8日)発表された米国の雇用統計では、6月の非農業部門の雇用増は287千人と市場予想を上回る強い数字だった。これは過去8カ月で一番強い数字。

失業率は5月の4.7%から4.9%に増加したものの、その理由の一部は労働市場への新規参入者が増えたことによるもので、市場はプラスに受け止めた。この時期は新卒者が労働市場に参入するので、雇用統計のブレが大きくなる。第2四半期平均の非農業部門雇用者増は147千人で第1四半期平均の196千人に較べると減速しているが、WSJがエコノミストに調査をかけたところ、毎月145千人の雇用増が持続すると新規参入者を吸収できるということだった。

民間部門の平均時間給は前月比0.1%上昇、前年比では2.6%上昇した。エコノミスト達によると連銀がターゲットにしているインフレ率2%を達成するには賃金が3%~3.5%上昇する必要があるので、先月の賃金上昇率はまだ連銀が金利引上げに動く水準ではなさそうだ。

先月の雇用統計はイギリスのユーロ離脱国民投票の影響を織り込んだものではないが、投資家に当面の安心感を与える上では十分な数字だった。

S&P500は日中一時新高値を更新し、記録更新まであと一歩と迫った。一方10年米国債利回りは1.366%に下落して、こちらは低利回りの記録を更新した。米国金利の低下は円高を呼び、一時は100円を切るレベルまで円が買われたが、100円台半ばまで戻した。

★   ★   ★

さて自分のポートフォリオを見ると、ドコモなど堅調な銘柄はあるものの日本株は総じて下落。米国株は円高の影響は受けているもののそれを跳ね返すアマゾンなどのハイテク株の高いパフォーマンスに支えられて全体としては堅調というのが現状だ。

来月の雇用統計でBrixistに対し、米国企業が雇用面でどれ程防御姿勢を取ったかということは注目点でが、恐らくそれ程影響はないだろう。ただし連銀は慎重姿勢を崩さないだろうから、金利引上げは先延ばしされる可能性が高いと思われる。

連銀がハト派姿勢を維持することは米国株にプラス要因だが、ドル円為替は円高に振れやすい。しばらくは米国株高と円高ドル安の綱引きが続くのだろうか?

★   ★   ★

出版した電子本

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

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夏の北海道登山はちょっとしたミスからスタート

2016年07月07日 | うんちく・小ネタ

来週後半に北海道の山々を登りに行く計画です。

この計画はかなり前に固まりましたので、早割で安い航空券を予約していました。いや正確にいうと予約していたと思いこんでいました。

ANAを利用する往路は問題ないのですが、復路の旭川・羽田便は「予約のみで購入手続きを忘れていた」のです。予約と決済の間に1カ月のズレがあったため、つい決済を失念してしまったのです。

出発前に予約状況を確認してたところこのミスを発見し、航空券を手配したので旅行そのもに支障はありませんが、早割料金は使えません。当然ですが。

まさに「時は金なり」です。

今日の教訓

・払うべきお金は早めに払おう。「期日ギリギリに」と考えているとかえって損をすることがある。

・スケジュール管理に使っているGoogleカレンダーからtodoリスト機能が消えたので、他のツールで期日管理を行うようにしていたが、切り替え時の隙間に航空券購入が落ちてしまい失念した。

なおGoogleカレンダーにtodoリスト機能を復活させることはインターネットで調べてできました。

しかし期日管理の要諦は「今できることはすぐ実行して管理するタスクを減らすことだ」と改めて認識した次第です。少々高い授業料でしたが。

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次の危機はイタリアから~Italexitと不良債権問題

2016年07月05日 | 国際・政治

世界の株式市場は概ね英国のユーロ離脱国民投票の前の水準に戻りつつある。Brexitのプロセスと影響を落ち着いて見極めようということだろう。

だがBrexitは欧州各国のユーロ離脱の動きに影響を与えている。今懸念されているのはイタリアだ。市場では早くもItalexitという言葉がささやかれている。イタリアのレンツィ首相は「上院議員の数を315から100に減らし、行政府への影響力を削減する」等といった政権基盤強化策について10月にも国民投票を行うと予想されている。レンツィ首相は構造改革に国民の支持が得られないなら辞職すると背水の陣の構えだ。

だが先週の世論調査では、反対派の五つ星グループ支持者が首相の民主党支持者を上回った。五つ星グループは「ユーロ離脱について国民投票を行う」と言っているので、同グループの勝利はItalexitを現実味を帯びた話にするだろう。

イタリアの問題はユーロ離脱の可能性だけではない。いやもっと喫緊かつ大きな問題は銀行の不良債権問題だろう。

WSJによるとイタリアの不良債権比率は17%でこれは米国の10倍の水準だ。欧州の上場銀行の不良債権の半分はイタリアの銀行が保有していると言われている。

イタリアの銀行が不良債権の処理を進められない理由は「低収益性」と「中小企業融資の担保がオーナーの自宅」という点にあるようだ。この構造は日本によく似ていると思う(ただし日本では今不良債権は大きな問題ではないが)。

低収益性は「銀行の過剰人員と過剰店舗」「伝統的な貸出業務に固執して、資産運用や投資銀行業務といった手数料部門が弱い」ということに起因する。

イタリア政府は昨年の秋から「不良債権市場の創設」「破産手続きの短縮化」「400強の信用金庫Cooperative bankの合併」といった金融改革を掲げているがほとんど成果を挙げていない。

英国のユーロ離脱懸念で欧州の経済成長が減速することは間違いないが、その影響は英国よりもイタリアあるいはポルトガルなどといった南欧諸国に一層強く出てくるのだろう。マーケットはひと時安堵しているに過ぎないのかもしれない。

 

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