2週間後に迫った米国大統領選挙。最近のフィナンシャルタイムズの調査によると、民主党のバイデン氏が当選に必要な270名の選挙人(選挙人全体は538名)をほぼ確実にした状態だ。
同調査によるとバイデン氏はカリフォルニア州55名の選挙人を筆頭に207名の選挙人確保を固めている。また優勢が伝えられているのはペンシルバニア州の20名など合計72名だ。つまり207+72=272名で余程のことがないと当選確実圏内にいる。
一方トランプ氏が確実にしている選挙人の数はテネシー州の11名など83名で、インディアナ州11名などの優勢が伝えられる州42名を加えても125名である。
Toss-upと呼ばれるテキサス・フロリダなど激戦州の選挙人の数は134名なので仮に全部の激戦州を抑えても、当選数には届かない。なお実際には大票田のテキサス州でバイデン氏の優勢が伝えらえるなどバイデン氏の勝利は固いように見える。もっとも選挙は水物であり、バイデン氏の勝利を確信した支持者が投票に行かないことが起きたりすると大逆転があるかもしれないが。
劣勢のトランプ陣営が選挙間際に実施しようとする政策は国民の評判が悪いようだ。たとえば欠員となる最高裁の判事に保守系のエイミー・バレット氏を任命して議会の承認を得ようとしているが、民主党の反発を招いている。民主党は新型コロナウイルス対策の予算案を人質にして揺さぶりをかけているのだ。これに対して世論調査によると2/3の人は「最高裁の判事の承認よりもコロナ対策を優先して欲しい」と述べている。
さてバイデン氏が勝利すると経済や株式相場にはどのような影響があるのだろうか?
専門的な分析はそれを専門にしている人に任せるとして、米中の関税戦争は一段落するだろう。バイデン氏は関税は米国の消費者のためにならないという立場を取っているからだ。
ただしこのことは必ずしもバイデン氏が中国に宥和的な政策を取ることは意味しない。民主党は中国の人権問題について共和党よりも敏感だからだ。
従って中国が人権問題で虎の尾を踏まないことを前提に考えると米中貿易摩擦の緩和とそれに伴う日本の景気回復の加速あたりを視野に入れて良いかもしれない。