シニアの関心事はお金と健康と生きがいと言われることが多い。
政府が行っている国民生活基礎調査の「悩みやストレスの原因分析」を見ると、60歳以降の人の4割がなんらかの悩みやストレスを持っている。
もっとも25歳以降59歳に至るまで押しなべて5割以上の人が悩みやストレスを持っているので、60歳になって人は多少なりとも悩みやストレスから解放されると見るのが正しいだろう。
60歳以降で悩みやストレスが一番低下するのは70歳~74歳だ。つまり前期高齢者の終わりが一番悩みとストレスが少ない時期のようだ。
75歳以上になると自分の健康や介護の問題が悩みやストレスの最大原因になる。
75歳~79歳の階層でファイナンス(収入・家計など)が悩みとストレスの原因になっている人は16.7%だが病気・介護が悩みとストレスの原因となっている人は41.3%だ(複数回答あり)。つまり高年齢になっていくとお金より健康が一番の関心事になってくるのだ。
ところで健康な体は一朝一夕にはできない。〇〇に効くサプリメントを飲めばすぐ健康になるというのはテレビのコマーシャルの世界だ。健康な体とは自然治癒力を持った体で免疫力が高いので疫病の感染リスクも他の人に較べると低い。
自然治癒力の高い健康体は「適度な運動」「バランスの取れた食事」「十分な睡眠」を続けることによって得られる。またストレスは健康を悪化させる要因なのでできるだけストレスを減らす方が良い。ストレスは人間関係など悩みごとに端を発する場合が多いので、悩みごとを減らす方が良い。
人間関係(家族および家族以外)が悩みやストレスの原因になっている割合は20代30代が高く年を取るとともに減少する傾向にある。
家族との関係が悩みやストレスの原因になっている割合は全年齢階層を通じてそれほど差がないが、家族以外の人間関係が悩みやストレスの原因になっている割合は若い年齢層が高い。これは職場の人間関係や恋愛・性に関する悩みやストレスが高いことに起因するようだ。
以上のようなことを踏まえてシニアは健康維持のためにどのようなことに気を使うべきか?
第一は適度な運動である。散歩・サイクリングなどは有酸素運動であり、気分転換にもなるので悩みやストレスを減らす上でも効果が期待できる。
第二はバランスの取れた食事である。筋肉の衰えを防止するには質の良いたんぱく質の摂取が必要だ。第三に睡眠である。寝ている間に傷んだ筋肉などが修復されるのでしっかりした睡眠が必要だ。熟睡の妨げになる夜遅い時間のPCやスマートフォンは控えた方が良さそうだ。
健康は手段であって目的ではない、と私は思う。だが結果として健康であることは医療費や介護費用の圧縮につながり、家族の負担を減らし、後に続く人に生きる喜びを伝えることができるので、手段とはいえそのステータスは高いことは間違いない。
健康のためなら死んでも良い、などというのは本末転倒だと思うが、健康を目指す生き方が良い生き方の代理指標であることは間違いないだろう。