金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

シニア5カ条(やるべき編)~その3 健康に気を使うべし

2021年03月21日 | ライフプランニングファイル
 シニアの関心事はお金と健康と生きがいと言われることが多い。
 政府が行っている国民生活基礎調査の「悩みやストレスの原因分析」を見ると、60歳以降の人の4割がなんらかの悩みやストレスを持っている。
 もっとも25歳以降59歳に至るまで押しなべて5割以上の人が悩みやストレスを持っているので、60歳になって人は多少なりとも悩みやストレスから解放されると見るのが正しいだろう。
 60歳以降で悩みやストレスが一番低下するのは70歳~74歳だ。つまり前期高齢者の終わりが一番悩みとストレスが少ない時期のようだ。
 75歳以上になると自分の健康や介護の問題が悩みやストレスの最大原因になる。
 75歳~79歳の階層でファイナンス(収入・家計など)が悩みとストレスの原因になっている人は16.7%だが病気・介護が悩みとストレスの原因となっている人は41.3%だ(複数回答あり)。つまり高年齢になっていくとお金より健康が一番の関心事になってくるのだ。
 ところで健康な体は一朝一夕にはできない。〇〇に効くサプリメントを飲めばすぐ健康になるというのはテレビのコマーシャルの世界だ。健康な体とは自然治癒力を持った体で免疫力が高いので疫病の感染リスクも他の人に較べると低い。
 自然治癒力の高い健康体は「適度な運動」「バランスの取れた食事」「十分な睡眠」を続けることによって得られる。またストレスは健康を悪化させる要因なのでできるだけストレスを減らす方が良い。ストレスは人間関係など悩みごとに端を発する場合が多いので、悩みごとを減らす方が良い。
 人間関係(家族および家族以外)が悩みやストレスの原因になっている割合は20代30代が高く年を取るとともに減少する傾向にある。
 家族との関係が悩みやストレスの原因になっている割合は全年齢階層を通じてそれほど差がないが、家族以外の人間関係が悩みやストレスの原因になっている割合は若い年齢層が高い。これは職場の人間関係や恋愛・性に関する悩みやストレスが高いことに起因するようだ。
 以上のようなことを踏まえてシニアは健康維持のためにどのようなことに気を使うべきか?
 第一は適度な運動である。散歩・サイクリングなどは有酸素運動であり、気分転換にもなるので悩みやストレスを減らす上でも効果が期待できる。
 第二はバランスの取れた食事である。筋肉の衰えを防止するには質の良いたんぱく質の摂取が必要だ。第三に睡眠である。寝ている間に傷んだ筋肉などが修復されるのでしっかりした睡眠が必要だ。熟睡の妨げになる夜遅い時間のPCやスマートフォンは控えた方が良さそうだ。
 健康は手段であって目的ではない、と私は思う。だが結果として健康であることは医療費や介護費用の圧縮につながり、家族の負担を減らし、後に続く人に生きる喜びを伝えることができるので、手段とはいえそのステータスは高いことは間違いない。
 健康のためなら死んでも良い、などというのは本末転倒だと思うが、健康を目指す生き方が良い生き方の代理指標であることは間違いないだろう。
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シニア5か条(やるべき編)~その2 楽しみは極めるべし

2021年03月21日 | ライフプランニングファイル
 中国の古典(礼記)に「楽しみは極むべからず」という言葉があることは知っている。また別の古典菜根譚には「花は半開を看、酒は微酔に飲む」という言葉があることも知っている。
 これらの言葉は「楽しみを追求しては際限がないから程々にしておきなさい」という教訓だ。
 だが敢えて楽しみは極めるべしと言おう。
 その理由は極めると言ったところで我々凡人の限界は知れている。すぐに経済力の限界が来る。いやその前に体力の限界が来るだろう。一種の自動ブレーキが働くのだ。それなのにその手前でブレーキばっかり踏んでいては面白くないではないか?
 我々は長い間組織人として家庭人として柵(しがらみ)の中で生きてきた。
 シニアになったらそんな柵を飛び出してみたい。極める楽しみといってもささやかなものだと私は思う。
 好きなジャズを聴いて半日のんびり過ごす。美術館を2つ梯子して明るいうちからワインバーでグラスワインを頂く、などささやかなものである。
 お金があまりかからない楽しみも多いから極めるつもりでやってみたいと思う。極めることはできなくても、仲間から頼りにされるほどになると励みになる。もっとも程々にしておいた方が良い楽しみもある。
 それは酒だ。若い時は本当に良く飲んだが、最近は週2回程度休肝日を設けるよう心掛けるようになった。これはこれから先酒と長く付き合っていくコツだと思う。楽しみは極めるべし。ただし一時に舞い上がるのではなく、時間をかけて極める方法を求めるべし、である。
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シニア5か条(やるべき編)~その1

2021年03月21日 | ライフプランニングファイル
 来月から相続学会が連載しているメルマガに数回投稿することになっている。1回3,4千字の原稿なので大した作業ではないが「相続」という外枠が少し重石になっている。相続学会のメンバーには税理士さん、司法書士さん、弁護士さん、保険屋さんなど相続を飯のタネにしている人が多い。飯のタネにしているといっても大部分の人は相続争いそのものを商売にしている訳ではなく、相続争いや無駄な相続税の支払いを抑えるためのアドバイスを商売にしているのである。
 相続は財産を次世代に引き継ぐイベントなので重要なことではあるが人生の主役ではない、と私は考えている。人生の主役は充実して生きるということだ。
充実した生き方は家族や周りの人に良い思い出を残す。それが結果として円滑な財産の引継ぎにつながるのではないか?と私は考えている。
 良い生き方をしておれば最後にちょっと細工をすれば円滑が相続ができるはずだ。一方良い生き方をしていないで最後に遺言書などで円滑な相続を行おうと思ってもどこか無理があると私は考えている。
 ということで「相続を飯のタネ」にしている人には不満は残るだろうが、私は充実した人生は円滑な相続の元であるという持論を展開することになる。
 健康問題にたとえて言うと「相続を飯のタネ」にしている人は、サプリメントをセールスしている会社であり、私は「健康は自然治癒力を高めることで維持できます」といっているジェロントロジスト(老齢学者)である。
 サプリメントの効用を一概に否定する訳ではないが、人間の健康により重要なのは「バランスの良い食事」「適度な運動」「睡眠」である。これらにより血行を良くして疲労物質を体外に排出し、傷んだ組織を自ら修復していくことで健康は維持されるのだ。
 前置きが長くなったが、メルマガでは「シニアがやるべき5つのこと」をベースにしながら充実した人生を送るアドバイスを申し上げる予定だ。
 私が今考えている5か条は次のとおりだ。
  1.  楽しむべし。楽しみを極めるべし。
  2.  健康に気を遣うべし。楽しみを極めるには健康が第一だ。
  3.  金を生かして使うべし。金はあの世に持っていけない。お金を有効に使えるのは元気な時だ。楽しみにかけるお金を惜しむべきではない。だが我々庶民のお金には限りがある。その限りのあるお金をできるだけ有効に使おう。またお金にもタンスから出て働いてもらおう。
  4.  金だけでなく気も遣うべし。昔ゴルフ場でキャディーさんに「金だけでなく木も使ってください」と言われたことから思いついたフレーズ。キャディーさんはアイアンだけでボールを打とうとせず、(まだまだグリーンは遠いから)ウッドで打ってくださいと言いたかったのだ。洒落たジイイサン・洒落たバアサンになるのは金遣いの良さだけではない。気遣いも重要だ。
  5. 少しは人の役にも立つべし。人生の幕を引く前にはすっかり人のお世話になることが多いだろう。でもそんなとき「俺も多少は世の中のためになることをしたからこれ位甘えていいか?」という気持ちになれるように少しは人のためになることをしておこう。
ということでメルマガのバックボーンは出来てきた。

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美味しい蕎麦屋が少なくなった町は寂しい

2021年03月20日 | うんちく・小ネタ
 私が住んでいる田無界隈は僅かながら住民数が増えている町で、建売住宅の建設販売も盛んである。
 ただし増えているのは我々より若い層の人のようでファストフードの店やチェーン店は賑わっているが中高年が好む蕎麦屋は減っている。
 ひばりが丘駅近くにあった田中という蕎麦屋は少し前に閉店したし、田無駅に近いSという店は営業しているが、1年ほど前に行ったとき、つゆの味がすっかり落ちていたのでそれ以来足を運んでいない。
 居酒屋評論家の太田和彦氏にこんな言葉がある。
「中高年に蕎麦=そばが人気という。食べるのみならず、道具一式を買い込んで自ら打つ人も多い。しかし男ばかりで、女にあまりそば好きのいないのは、単純素朴ゆえに奥深い世界が男の求道性に合うのだろう。女はもっと享楽的だ。」
(太田和彦の東京散歩、そして居酒屋 河出書房新社)
 5年程前に書かれた本で、今ならgender discriminationで批判を浴びるかもしれないが、蕎麦が中高年の男性に人気があることは間違いない。
 もっとも私は中高年の男が蕎麦を好む理由は、求道性にあるのではなく、夜飲み過ぎ食い過ぎでカロリー過多になることが多いので、昼はあっさりざる蕎麦で、という人が多いことによると考えている。
 若い人が増えファストフードの店が増えることは歓迎するべきなのだが、蕎麦好きの中高年には少し寂しい現象である。
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対比際立つ日米金融政策

2021年03月20日 | ニュース
 日銀は昨日(3月19日)金融政策の修正を決めた。デフレに悩む日銀は現在マイナス0.1%の金利をマイナス0.2%まで引き下げることを視野に一層の緩和策を固めた。なおマイナス金利は金融機関の収益悪化を招くので、金融機関に上乗せ金利をつける制度を構築する予定だ。
 実際2月の生鮮食料品を除く物価上昇率は前年比0.4%下落した。
 アメリカではインフレ懸念が長期金利の上昇を招き、連銀が長期金利の上昇を抑えるため、政策金利の引き上げに動くのではないか?という懸念が出始めているのに比べれば(2023年頃まで政策金利が引き上げられる可能性は低いが)、日米の物価と金融政策の状況の差を際立っている。
 その背景にあるのは、企業の賃金政策と価格政策だ。
 WSJはIn Japan, they're still worried about deflation,not inflation(日本ではインフレではなくまだデフレに悩まされている)という記事で、ユニクロや無印良品が値下げをしたというニュースを流している。もっとのこの記事の内容に関心を示すアメリカ人読者はほとんどいないだろうが。
 同じ日にWSJはEconomy revs up as Americans spend on flight,dining out(アメリカ人はエアチケット、外食にお金を使うので経済エンジンの回転数が上がっている)という記事で、コロナワクチン接種を終えた81歳の女性が家族と会うために国内旅行のチケットを予約し、更には来年2つの海外旅行を予約したというエピソードを紹介していた。
 国民性の違い、と言ってしまえばそれまでだが、アフターコロナの反発力は随分違うと思う。アメリカではロックダウンという強硬手段やワクチンの早期普及という力業でコロナに立ち向かった。それだけにコロナを抑え込んだ後、人々のノーマルな生活への復帰意欲は強いと思う。
 一方日本では緊急事態宣言だとかその延長だとか宣言解除だとか言っているが、実態にどれほど差があるのか判然としない。解除はするけど不要不急の外出は止めてくれ、などと言っている。そもそもレジャーや楽しみを不要不急とする考え方が日本では強すぎるのだ。アメリカの論調を見るとそのような考え方はない。旅行や外食がもっと人生の重要事項として居場所を与えられていると私は感じる。つまり人は何のために働き、何のために生きているのか?ということを考えると人は楽しむために働き、生きているという自明の理に至る。
 日銀が政策金利をさらに下げたところで、物価は簡単には上昇しない。人口減少でパイが縮む消費市場を企業が取り合ってレッドオーシャンの中で価格競争が繰り返されるからだ。
 デフレの泥沼を抜け出すには、消費者にお金をドンドン使ってもらうことだ。今お金を使う余裕があるのは、シニア層だからシニア層にお金を使ってもらうことをもっと考えた方が良い。
 ワクチンを打ち終わったシニアはドンドン旅に出るべし。元気でいる時間はそう長くはない。今を楽しむべしと官民あげていうべきなのだろう。本当は。
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