今日は町田市民文学館「ことばらんど」へ出かけ、「尾辻克彦×赤瀬川原平」展を見てきました。
いうまでもなく、尾辻さんと赤瀬川さんは同一人物。芥川賞作家としての尾辻さんと、美術家・エッセイストとしての赤瀬川さん、両方の活動を紹介する「文学と美術の多面体展」です。
私が赤瀬川さんの仕事に触れたのは、〈朝日ジャーナル〉の「櫻画報」でだったでしょうか。大学生の頃。でも、その時、初めてだとは感じなかったように思うので、それまでに何らかの形でこの人のことを知っていたのかもしれません。
以後、雑誌〈終末から〉での活動、尾辻さんとしての小説、「老人力」なる言葉の発明、『新解さんの謎』での辞書作家発掘……など、ずっと興味の範囲内にいる人なのです。
今回の展示は、まず、ご当地在住のよしみからか、藤森照信さん設計の赤瀬川邸「ニラハウス」の紹介がドーンとあります。
それから、千円札事件、「櫻画報」、美学校、小説、カメラ、超芸術トマソンなど、こだわりを示しながらも軽やかに新しい局面を切り拓きつづけた赤瀬川さんの活動を、コンパクトかつ明快に報告してくれています。
私がもっとも強く惹かれるのは、尾辻克彦さんの小説。言葉がオブジェのように扱われて、ひどく新鮮。それでいて親しみやすい。素晴らしい文章です。宮沢賢治や深沢七郎などに連なる異能作家として日本文学史に輝く存在だと思います。
芥川賞受賞挨拶の原稿には「あのぅ」とか、言葉に詰まる部分まできっちり書かれているのが可笑しかった。
「原稿執筆記録ノート」――ジャポニカ学習帳が使われていました――には、執筆依頼、締切、枚数、などがきちんと書かれ、原稿を渡すごとに赤線で終了の印がつけられているのに、びっくり。どこまでも律儀な人なんだと感心しました。12月21日まで。