昨日から名実ともに新年度入りしたが、日本の株式市場は堅調だ。さすがに今日は利食いに押されTOPIXは5ポイント弱下げたた下値は固そうだ。もっとも皆強気の時こそ冷静に回りを見ておく必要はあるだろう。
皆が皆強気の時こそ 危なけれ 株の世界も 山の世界も (北の旅人)
2006年の第1四半期を終わって世界の株高は続いている。ウオール・ストリート・ジャーナル紙は「金利は上がっても世界の株高は続いている」という記事を書いているが、その中で忍び寄るリスクにも言及している。まずポイントだけさっと見てみよう。
- 第1四半期に米国連銀・欧州中央銀行が利上げし、日銀も5年来の利上げを示唆しているにもかかわらず、ダウ・ジョーンズ世界株価指数はこの四半期に米国抜きベースで8.8%上昇した。米国ダウは3.7%の上昇。
- 日本の日経平均は1,2月と下落したものの、3月は上昇に転じ年初から5.9%の上昇である。欧州は昨年の好調が続き6四半期連続で上昇した。
- 主な国別の上昇率(ダウ・ジョーンズ指数ベース、第1四半期。現地通貨ベース)
ベネズェラ 43.8%、ノルウエー 19.2%、ドイツ 11.6%、フランス 11.5%、英国 6.6% 日本 5.3% 米国 4.5% 韓国 -0.3%
- しかし全世界で金利が上昇する見通しなので、この強い相場がそう長くは続かないという懸念が増えている。第1四半期に大きく下落した市場はアイルランド、サウジアラビア、エジプトである。これは借入環境が悪化し、世界的な株高を助長した資金パイプが細るという懸念が嵩じたもの。
- シティグループの株式リサーチグループは先月向う6ヶ月から1年の世界の株式リターン予想を8-12%から4-8%に引き下げた。
- 特に懸念されるのは新興市場の株価である。2月にモルガンスタンレーは「株高は続かない」として、投資家に新興市場への投資を少しづつ減らすことを推奨した。
余談だがこの部分原文ではrecommended investors pare back their betsとなっているが、pear back(皮を少しづつむく=少しづつ減らす)という言い方が洒落ていると感じがした。
- アナリスト達が新興市場株について懸念するもう一つの理由は、新興国は米国への輸出依存度が高いことで、米国の消費支出低下の影響を強く受けるからである。ワコビア証券のストラテジストは、第2四半期の米国の消費者のスローダウンにより新興市場で最初のコレクションが起こるかもしれないと言う。
- 米国では住宅ローンを借り替える時、不動産の値上り分を借り増しして消費に回すが住宅市場の低迷と高金利の結果、借換が減速しその結果消費がスローダウンするとアナリストは見ている。
- アナリストは欧州市場については楽天的であるが、リスクは欧州中銀が金利を引き上げすぎて経済成長を止めることだ。
- 日本株は日銀の「超緩和政策の終了」に抵抗力を示した。メリルリンチは経済データが強いままで行けば、6月から8月の間に日銀は0.25%金利を上げると予想しているが、他の多くのアナリストは日銀の利上げはもっと後になると見ている。ワコビアのアナリストによれば「日本は15年にわたるアンダーパフォームの時代から抜け出したので、良好な相場は持続する」ということだ。
今日の日経金融新聞によると、時期に若干の違いはあるものの日本のアナリスト達は4,5月頃に日経平均が18,000円をつけてその後下落があると見ている様だ。
以上の様な見方を総合すると、米国の個人消費のスローダウンが引き金になり新興市場の株価が下落する。その影響で日本株にも第2四半期には下落する局面がある。ただし日本株のファンダメンタルはしっかりしているので余り神経質になることはない・・・・というのが第2四半期のシナリオだろうか。