金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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サブプライムで顔見知りに被害がでた

2008年01月05日 | 金融

サブプライムローンに関連してちょっと顔見知りのアメリカ人にも被害がでた。そのアメリカ人とはステート・ストリート銀行(以下ステート)のウイリアム・ハント氏だ。ハント氏は資産運部門の責任者だが、サブプライム問題に関連してステートを辞職することになった。この話をFTで読んだ時はある種の懐かしさと人生の難しさのようなものをふっと感じだ。

ハント氏とは7,8年前に彼がステートの日本法人のトップをしていた時、仕事の関係で何度か会い食事をしたこともある。その後彼はステートの本社に戻り運用部門(子会社State Street Global Advisors)のトップになった。ハント氏が資産運用の名人であるかどうかは知らないが、彼が日本にいた時巧みな日本語を操り、日本の機関投資家達の心をつかまえ、ステートの商売を伸ばしたことは間違いない。

新聞記事とステートのHPによると、世界有数の証券管理・資産運用会社であるステートは、オフバランスシートの投資スキームを通じて292億ドルの資産担保コマーシャル・ペーパーに投資をしている。ステートのローグ社長によると「資産運用委託者から、ステートのサブプライム関連証券への投資が委託者の投資意図にかなっていたかどうか幾つかの委託者から疑問が呈されている」ということだ。そこでステートは将来発生する訴訟等リーガル費用として279百万ドルの引当金を積んだ。

資産運用とは必ず儲かるものではなく、損をすることもある。従ってステートが顧客のためにサブプライム関連商品に投資して損失を発生させても、そのこと自体で損失を補填する義務はない。しかしサブプライム投資が顧客の指定した運用方針と異なる場合は責任問題が発生する。ローグ社長はその可能性を示唆しているのだ。

ちなみに先月(12月)半ば現在、米国ではサブプライムに関連して38件の集団訴訟(クラスアクション)が起こされている。

さてハント氏だがFTによると昨年はボーナスを貰えなかったが、14百万ドルの退職金と5百万ドルのストックオプションを貰うということだ。14百万ドルというと約15億円だ。悠々と暮らすにたるお金だろうが、仕事熱心なハント氏だからまたビジネスの世界に戻るかもしれない。

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