金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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福田首相では経済も株もだめだ

2008年01月26日 | 政治

昨日の株式市場は米国の財政政策や世界的な株の戻りに引っ張られ、日経平均が536.38円上昇し、13,629円16銭でまで回復した。しかしエコノミスト誌を読むと構造改革の遅れに対する強い批判が述べられている。あたかも日本は米英の努力で底の見えない株式相場から救われていると言わんばかりの論調だ。
日本経済は未だに米国への輸出に強く依存しており、独自回復には程遠いと批判する。日本から中国に輸出される商品のエンドユーザーは米国なので、米国の景気動向が日本の景気に大きな影響を与える。セミコンダクターや鉄鋼の輸出が減少していることは良い兆候ではない。

エコノミスト誌は政府の規制強化に警鐘を鳴らしている。この論調はFTなども同じだ。政府は1年前悪徳サラ金の取り締まりをおこなったがその結果、消費者金融業界を破壊してしまった。また建築データの偽造に対応するべく建築基準法を改正したが、建築許可手順の遅れから、経済成長を0.6%低下させた。(経済財政諮問会議の伊藤東大教授による)

政府が経済成長見通しを2.1%から1.3%に引き下げたことで、何人かのエコノミストは日本はリセッションに差し掛かっていると考えている。だが長期的な予想はもっと悪い。伊藤教授は経済財政諮問会議が提案する供給サイドと税制改革を行うならば、日本は2%の経済成長を達成できるがさもないと経済成長率は1%から1.4%に低下すると主張する。参院選で民主党が多数を獲得してから福田政権は改革の度胸を失った。

日銀が経済実態を直視していないことも不確実性を増加させている。福井総裁はフォワード・ルッキングな金融政策を取ると言い、各国が金利引き下げに動いているのに歩調を合わせようとしていない。

少し前に福田首相は「株価が低迷しているのは政治が悪いからではないか?」という質問に対し、「誰がそんなことを言っているのか?」と気色ばんでいたが、英米のマスコミやエコノミスト達がそのように批判しているのである。株価を引き上げることは政治家の根本的な使命ではないだろう。政治家の根本的な使命は、国民生活を安んじ、生活水準を向上させ、将来に希望を抱かせることで株価を押し上げることではない。しかし株価の低迷は企業年金や国の年金基金、あるいは個人年金や老後資金の財産減少につながり、企業収益を悪化させ、消費マインドを冷やすのである。活力のある資本市場の創設は政治の重要な課題と考えるが如何なものか?

欧米のマスコミが日本に構造改革を緩めるなと迫っているのは、米国が調子が悪い時は頑張ってくれ、さもないと世界的な不況が来るという思いである。 それにしても最近の欧米のマスコミを見ていると福田首相には匙を投げている感じだ。株式市場とは政治と企業の人気投票の場という性質を持っている。これでは日本株の上昇は期待薄かもしれない。

コメント (1)
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