金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国、環境汚染の根の深さ

2008年01月28日 | 国際・政治

統計上中国の順調な経済成長が続いていいるが、私は早晩~恐らくオリンピックを屈曲点にして~ 成長は鈍化せざるを得ないと考えている。その理由は経済格差問題と公害問題に対処する投資を余儀なくされ成長速度が鈍るということだ。

エコノミスト誌は最近「水を飲むな 空気を吸うな」Don't drink the water and don't breathe the airという題で中国の環境汚染問題を取り上げた。記事によると楽観主義者は3月の全国人民大会で環境保護局が省に格上げされ本格的に環境問題に手が着くと主張するがこれは楽天的過ぎるようだ。

今中国で大きな問題になっているのは中国で三番目に大きい淡水湖・太湖Taihuの汚染問題である。長江デルタ地帯にある太湖は3千万人以上の人の水瓶になっていたが、工場、農耕地、住宅地からの下水で汚染され有毒な藻が発生し、水が飲めなくなってしまった。近隣ではペットボトルの水の値段は6倍に跳ね上がっている。中国政府はこれを天災だといっているが、下水の野放図な流れ込みを防がなかったなど明らかに人災である。

太湖の汚染では農民で環境保護運動を行ったWu Lihong氏が環境汚染を起こしている企業に「ゆすり」を行ったとして、3年の禁固刑を言い渡されている。この話を読んで昨日観た映画「母(かあ)べえ」を思い出した。「母(かあ)べえ」では、日支事変を批判した夫が治安維持法違反で警察に逮捕され獄死してしまう。中国は戦前・戦中の日本のように言論の自由がない危険な国であると改めて思った。

中国政府は昨年世銀にレポートから中国における公害による推定死亡者数を取り除く求めた。しかし共同研究を行った中国環境保護局のウェッブサイトには中国の2百万人を越えるガン死亡者の内7割は公害に関係しているとガンの専門家は信じていると小さく掲載している。世銀は75万人が公害関係で死亡していると発表する計画だ。
中国政府はこれらの数字が社会不安を引き起こすと懸念している。ともあれ、国民の環境意識と怒りは増加している。

環境保護局はかって「グリーンGDP」(GDPから環境ダメージコストを差し引いたもの)を調査し、2004年における環境ダメージコストはGDPの3.05%に相当するという数字を出した。(昨年7月統計局は「グリーンGDP」という概念は国際的に受け入れられていないので政府首脳が使わないと決めたと発表した)
中国のGDPは20兆元だからその3%は6千億元だ。中国政府は06年から10年の5年間に1.3兆元の環境対策費を使うといっている。1.3兆元を5年に
割ると年2千6百億元だ。もっともこの予算は砂漠化防止等にも使われるので、公害対策に使われる予算は相当少ないようだ。これでは環境保護はかなりおぼつかないようだ。

中国の環境問題は国民生活を直撃し、社会不安を引き起こし、政府に対する信頼を揺るがしかねないだけに眼を離すことのできない問題である。特にオリンピック開催時期は外国のマスコミや活動家達の目が厳しくて、中国政府も環境活動等に対して高圧的な取締が行いにくいので、目を凝らしていると色々なことが見えそうである。


コメント
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