金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

海賊をTake on

2009年01月29日 | 政治

昨日(1月28日)浜田防衛相は「海賊被害が頻発するソマリア沖に海上自衛隊を派遣する準備を指示した」。このニュースは日本のマスコミのみならず、英米の新聞も取り上げている。ファイナンシャル・タイムズはTokyo prepares to take on African piratesという表題で記事を載せている。Take onは「攻撃する」というイディオムでPirateは海賊だ。「東京はアフリカの海賊を攻撃する準備をしている」という表題。だが実際のところは積極的なTake onではなく、相手が攻撃してきて始めて防衛できる正当防衛・緊急避難のみが現行法規では可能だ。

FTは日本政府は先月中国がソマリア沖に軍艦を送ったことにあせりを感じて重い腰を上げたと述べる。中国は駆逐艦2艘を送っている。中国の比較的早い動きに較べて日本の対応が遅すぎると国際社会での日本の発言力が低下するからだ。

アジア諸国の状況を見ると、韓国、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドが既に艦隊を派遣している。

ニューヨーク・タイムズは「国際商工会議所によると、ソマリア沖では111艘の船が攻撃され、42艘がハイジャックされた。そしてまだ10艘を超える船が身代金目当てに未だ捕虜になっている」と報じている。ニューヨーク・タイムズは表立って日本の遅い対応を批判している訳ではないが、「米国についで世界第2位の石油の純輸入国の日本は9割の原油を中東から輸入している」と書き加えている。

FTは「日本政府の高官は海軍であれば合法的に海賊を攻撃できるのだが、海軍でない日本の海上自衛隊には別の法律的根拠が必要だ」と報じている。

日本の国防予算はGDPの0.8%約4兆円だ。これだけの予算を使いながら、自国の商船や自国に輸入される商品ルートを守るために使えない「軍隊」を「自衛隊」の看板の元で抱えていることはバカバカしいような気がするが如何なものだろうか?

また危機に対してこのように遅い対応をしていると、アジア諸国の信頼を失うどころか全くナメられるのではないだろうかと心配になる。

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超薄型スクリーンが近づく

2009年01月29日 | デジタル・インターネット

昨今の経済・金融面は暗いニュースが多いので、読んでいて気が重たくなる。そこで明るいニュースを探して、科学技術面を読むことが多い。技術面の素養がないので骨が折れるが、多少の脳の刺激効果はある。最近のエコノミスト誌に「紙のように薄い電子スクリーンがまもなくやって来る」Electronic screens as thin as paper are coming soonという記事が出ていた。

超薄型スクリーンは紙のように丸めてポケットに入れることも可能だ。夢のような話だが私がこの記事に現実性を感じたのは、米国陸軍がスポンサーになっている点だ。軍は経済性よりも機能を重視するので開発が加速するのではないか?記事によると、画期的な技術革新はアリゾナ大学のFlexible Display Centerで起きている。同センターではヒューレッド・パッカードの技術と電子インキ会社E Inkの技術を活用している。エコノミスト誌はこのスクリーンを「電子遊泳」Electrophoreticスクリーンと呼んでいる。これは透明なカプセルの中に帯電した白と黒の粒子を入れ、電圧をかけることで顔料粒子を移動させて、表示を行うものだ。

このプロジェクトに資金援助する米国陸軍は、この張薄型スクリーンを兵士に携帯させ、「電子地図」を表示させたり、情報を受信することを期待している。エコノミスト誌は消費者向けのトライアル版は数年の内に登場するだろうと予測している。

「電子遊泳」スクリーンのメリットは軽くて、丸めることが可能な上に、LDC(液晶スクリーン)のように背面からの光がいらない、製造コストが安い、使用時の電力消費量が少ないというメリットがある。

「電子遊泳」スクリーン自体は既に商品化されているが、それはLDCと同じようにガラスの上で動いている。エコノミスト誌によると「電子遊泳」スクリーンが実用に使われている例はアマゾンの電子書籍を読むツールのキンドルKindleだ(2007年11月発売)。キンドルはペーパーブックサイズのディスプレイで、ワイヤレスに書籍や新聞画面をダウンロードして読むことができる。米国では大変な人気で相当待たないと入手できないようだ。又私がざっと見たところでは、セイコーエプソンがE Ink社スクリーン専用のコントローラを開発している。

電子インクにはまだ弱点はある。それはカラー対応していないことだ。だがやがてカラー版が登場することは間違いないと考えてよいだろう。

もしカラー版の超薄型スクリーンが実用可能になると、日常の生活や経済に大きな影響を与えそうだ。まず新聞を電子スクリーンで読めると紙版の新聞は駆逐されるだろう。雑誌や文庫本などもしかり。これらのことは「省エネ・省資源」の観点から消費者や政府から支持される時代が来るだろう。

電子遊泳スクリーンが実用化されると、経済的にかなり大きなインパクトがあることは間違いない。

個人的にいえば山に行く時も超薄型スクリーンがあると、2万五千分の1地図も案内書もいらない。天気図もダウンロードできるので大変便利だ。

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