昨日(1月28日)浜田防衛相は「海賊被害が頻発するソマリア沖に海上自衛隊を派遣する準備を指示した」。このニュースは日本のマスコミのみならず、英米の新聞も取り上げている。ファイナンシャル・タイムズはTokyo prepares to take on African piratesという表題で記事を載せている。Take onは「攻撃する」というイディオムでPirateは海賊だ。「東京はアフリカの海賊を攻撃する準備をしている」という表題。だが実際のところは積極的なTake onではなく、相手が攻撃してきて始めて防衛できる正当防衛・緊急避難のみが現行法規では可能だ。
FTは日本政府は先月中国がソマリア沖に軍艦を送ったことにあせりを感じて重い腰を上げたと述べる。中国は駆逐艦2艘を送っている。中国の比較的早い動きに較べて日本の対応が遅すぎると国際社会での日本の発言力が低下するからだ。
アジア諸国の状況を見ると、韓国、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドが既に艦隊を派遣している。
ニューヨーク・タイムズは「国際商工会議所によると、ソマリア沖では111艘の船が攻撃され、42艘がハイジャックされた。そしてまだ10艘を超える船が身代金目当てに未だ捕虜になっている」と報じている。ニューヨーク・タイムズは表立って日本の遅い対応を批判している訳ではないが、「米国についで世界第2位の石油の純輸入国の日本は9割の原油を中東から輸入している」と書き加えている。
FTは「日本政府の高官は海軍であれば合法的に海賊を攻撃できるのだが、海軍でない日本の海上自衛隊には別の法律的根拠が必要だ」と報じている。
日本の国防予算はGDPの0.8%約4兆円だ。これだけの予算を使いながら、自国の商船や自国に輸入される商品ルートを守るために使えない「軍隊」を「自衛隊」の看板の元で抱えていることはバカバカしいような気がするが如何なものだろうか?
また危機に対してこのように遅い対応をしていると、アジア諸国の信頼を失うどころか全くナメられるのではないだろうかと心配になる。