7月に入っていよいよ暑くなってきた。通勤や外出は大変だが、クールビズのお陰でかなり助かっている。もし何らかの理由でクールビズが廃止になると大騒ぎになるだろう。
暑さで大騒ぎというと、中国のホンダの工場でストライキ騒ぎがあったが、ストライキの要求の一つにエアコンの設定温度を下げろ!ということがあったそうだ。一世代前の中国の低賃金労働者は、扇風機だけの寮や工場に甘んじていたが、今の若い中国人労働者は100平方フィートのエアコン付の個室アパートやエアコンの効いた工場設備を求めている(といっても約9平米の個室なのだが)。このような中国人の快適な生活環境要望が地球温暖化を加速するという記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。
中国政府は地球温暖化ガス問題には神経を尖らせている。政府は既に9月までに非効率な工場の閉鎖を命じている。中国では過去3年間の間に一千以上の古いタイプの火力発電所(米国ではまだ一般的なタイプだ)が閉鎖された。
中国政府は世界で一番厳しいエネルギー政策を展開しているが、消費者の生活レベル向上要求が強く、全体としてはエネルギー消費は地球温暖化ガスの排出は増加の一途をたどっている。実際今年の冬から春にかけて、一国としては半年間で最大の温暖化ガスの増加を見ている。
中国政府の目標は今年の経済単位当りのエネルギーの消費量を2005年に比べ20%減少させ、2020年には2005年比45%から50%削減するというものだ。しかし国際エネルギー機構は、中国が仮にこの約束を果たしたとしても、2020年までに中国の温暖化ガスの排出量の伸びはそれ以外の全世界の国の伸びを上回ると予測する。
中国経済が輸出依存から内需依存に軸足を移すようになると~つまり玩具や衣料品などの軽工業から鉄鋼やセメントなどの重工業にシフトすると~、温暖化ガスの排出量はますます増える。
中国でもエアコンの温度設定ガイドラインはある。タイムズによると大部分の場所で華氏79度(摂氏26.1度)以上に設定されているが、大型ショッピングモールは長い間例外扱いにされている。消費経済へのシフトで大型モールは中国全土に広がりつつあるが、エネルギー消費の観点からは頭の痛い問題だろう。
世界経済の回復は中国の内需に依存するところが大きくなってきた。温暖化ガス排出量の伸びを抑えながら、経済発展を続ける・・・ということは中国のみならず世界の課題になりつつある。