今日(7月2日)米国の雇用統計が発表される。雇用統計は常に重要な経済指標だが、特に今回の統計は市場関係者が注目しているだろう。雇用統計の結果が、米国の経済政策に大きな影響を与えるからだ。
ニューヨーク・タイムズはOn edge, Awaiting Jobs data「緊張して雇用統計を待つ」というタイトルでデータの予想と分析を行っていた。一番注目されるのは民間の新規雇用者数の伸びだ。人口統計のために政府が臨時採用していた人23.5万人が解雇されるので、全体としては雇用は減少すると予想されているので、注目点は民間セクターの数字だ。民間の雇用増の予想レンジは2.2万人から20万人で中間値は11万人だ。
今年に入って民間雇用は伸びていて4月にピークの21.8万人になったが、5月は4.1万人と期待を裏切る数値だった。アナリストは6月の雇用者数を見て、5月の弱い数値が一時的なものか、それとも景気後退のサインかを解釈するだろう。
新規雇用者数は7.5万人と予想するRDQ EconomicsのRyding氏は「景気は後退し二番底に向かう懸念を生むのではないか?」と述べている。ただし同氏は「企業は需要に応えるため現在の雇用者を長く働かせるので、勤務時間が伸びているのではないか?」と注意を促している。一方強気の見方をするCapital EconomicsのDales氏は「歴史的に見て景気回復サイクルに入ると雇用拡大は通常持続する」と述べている。
失業率については大方の予想は9.8%で変わらずというものだ。
2007年12月に「大不況」が始まってから740万人の人が職を失った。仮に毎月10万人の新規雇用が続いたとしても失業率は直ぐには低下しない。多くのエコノミストは今年一杯失業率はほとんど変わらないと予想している。
私見では二番底のリスクを過大視する必要はないが、非常に一歩後退二歩前進的な非常にスローペースな景気回復が続き、フラストレーションがたまるだろうなぁと考えている。