金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【コメントへのご回答】日本の税収の割合

2010年07月12日 | 社会・経済

池田さんという方からコメント欄にご質問を頂きました。

「巷の話では全税収の割合が日本の場合5%で諸外国(欧米)とほぼ同じ割合と聞きます。これは、日本のデフレ状態が一番問題では、ないでしょうか?」

ご質問の100%正しく把握しているとは思わないのですが、わかる範囲でお答えします。

日本人が諸外国に比べてどれ位税金を負担しているか?ということについては財務省のホームページに資料があります。→ http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/020.htm

この資料は税金に社会保険料を加えた「国民負担率」について日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデンの比較を行ったものです。

それによりますと日本の国民負担率(対国民所得比)は39.5%、アメリカは34.9%、イギリスは48.3%、ドイツは52.4%、フランスは61.2%、スウェーデンは64.8%です。

つまり日本人は国民所得の4割を税金+社会保険料の形で国に納めています(法人所得税も入っています)。江戸時代風にいうと四公六民ですね。

アメリカ以外の先進国は日本より国民負担率は高くなっています。これらの国は「高負担高福祉国」と呼ばれ日本は「中負担中福祉国」といわれています。

日本の税金が高いかどうかという問題は国のサービス(社会福祉など)のレベルとの比較において論じるしかありません。国民負担が高くても高福祉であれば国民の納得度は高いのです。一方アメリカのように自助努力が国と社会の共通原則になっている国では低負担低福祉で多くの国民は納得してきました(健康保険の皆保険化では議論が続いていますが)。

日本の場合は「高負担高福祉」か「低負担低福祉」で行くのか?という国民のコンセンサスが形成されないまま、高齢化社会に突入してしまったということが問題だと私は考えています。

私は消費税の引き上げはやむを得ないと思っているのですが、値上げした税金の使い道(いままでの制度の見直しを含めて)について多数の国民が納得することが大事だと思いますね。

コメント (6)
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【数字は語る】ニューヨークの証券会社新規採用2千人

2010年07月12日 | 社会・経済

証券会社は景気の先読みを仕事の一つにしている。その証券会社が従業員を増やし始めるということは景気回復の先行指標になるかもしれない。ニューヨーク・タイムズは「この国の雇用情勢は厳しいが、不況を引き起こしたウオールストリート(証券会社)で雇用が上向き始めている」と皮肉をこめて書き出す。

ニューヨーク証券業界の雇用者数は、ボトムの今年2月の158,500人から5月には160,400人と2千人近く増えた。2千人という数は業界の規模から見ると小さなものだが、業界関係者やヘッドハンターは雇用増加は暫く続くと予想している。

ニューヨーク連銀の地域エコノミストRosen氏は「典型的に証券業界は景気回復を予想して採用を始める。景気は底を打ち緩やかに回復するという予感がする」と述べている。

証券会社の雇用が増えているのは、ニューヨークだけの現象ではない。ゴールドマンザックスは第一四半期に全世界ベースで600人の採用を行い、JPモルガンの投資銀行部門は今年初めから全世界で2千人以上の採用を行った。

証券業界は好不況の波が激しい業界で、景気が上向き始めると急に雇用を拡大し、景気が悪化し始めると急速に解雇を進める。ただ今回の採用振りを見ていると非常に慎重で、ある業界幹部は今週から始まる第2四半期の企業決算状況が悪い場合は採用計画を中止または逆行することもありうると述べている。また新規採用者の多くをトレーディングデスクではなく、プライベートバンキングなどセールス部門に振り向けているのも今回の採用の特徴だ。

☆   ☆  ☆

景気回復と株価回復が待ち遠しい。荒れ相場でも着実に利益を上げてきた米国証券会社の「先読み」に期待したいところである。

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高揚感のない参院選挙結果

2010年07月12日 | 政治

昨日(7月11日)行われた参院選挙は「民主党が改選議席54を10議席下回る44議席と大敗、自民党は13議席上回る51議席、みんなの党は10議席獲得」という結果となった。自民党に投票した私としては、自民党が改選第一党になったことを喜ぶべきなのだが高揚感はまったくない。比例代表区の得票数を見ると民主党が18.4百万票、自民党が14百万票、みんなの党が8百万票位だ。前回の総選挙で民主党は29百万票程取っているので、大雑把にいうと、今回減った得票数の大部分がみんなの党に流れたことになる。

何故高揚感がわかないかというと、今回の選挙はいわば民主党のオウンゴールで自民党が勝ちを拾ったという感が強いからだ。

では何故民主党が負けたか?というと、私は東工大准教授の谷口尚子氏がニューヨークタイムズのインタビューで述べた「リーダーシップの欠如に選挙民が危機を感じた」という説明がしっくりくると感じている。

菅首相は選挙前に「消費税」の引き上げを打ち上げ、その後内閣支持率の急落をみてトーンダウンする迷走振りを見せた。私はかねてから消費税の引き上げは不可避であると判断しているので、菅首相の消費税引き上げ案そのものには反対ではない。だがいかにも唐突感があった。

消費税問題に限れば今回消費税引き上げに強く反対する人は、民主党でも自民党でもでもなく、みんなの党やその他の野党に投票したはずだ。民主党や自民党に投票した人の総てが消費税引き上げを肯定しているとは思わないが、やむをえないと考えている人は多いだろう。

であるとすれば、消費税引き上げ問題は選挙の主たるテーマではなく、政権党としても民主党のリーダーシップが問われた選挙だったのだろう。

一体いつまで日本はリーダーシップに疑問符がつく首相が続くのだろうか?政権党に国民の人気がないのは、雇用問題等難問を抱える先進国の一般的傾向とはいえ、日本の政治状況は悪すぎる。

コメント (2)
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