金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【数字は語る】米国人の55%、仕事面で不況のあおりを受ける

2010年07月01日 | 社会・経済

PewResearchの調査によると、30ヶ月にわたる今回の不況(The Great Recessionと表現されていた)で、米国人の55%が仕事面で不況のあおりを受けていることが分かった。

内訳を見ると現在職についている人の「28%が勤務時間の短縮」を経験し、「23%が賃金の切り下げ」を受け、「12%が無給休暇」を取らされ、「11%がパート・タイム」に切り替えられた。失業者を含む全労働者ベースでは「32%が今も職に就けないか、不況中に職を失った経験を持っている」。また「6%の人が不完全雇用の状態」である。不完全雇用Underemployedとは「正規雇用を希望するにも関わらずパートタイムに就いている」状態や「職歴等に較べて低い条件で就職している」状態を指す。因みに労働局の調査によると、不完全雇用者を含めた失業率は16.6%になる。なお内訳の合計が55%を越えるのは一人で複数の経験をした人がいるからだろう。

だが明るい兆しがない訳ではない。54%の米国人は米国経済はまだ不況の中にいるというが、41%の米国人は不況から脱しつつあるといい、3%の人は不況は終わったといっている。

もっとも不況が終わっても以前のような消費ブームが戻るかどうかは疑問だ。62%の米国人は不況が始まった2007年12月以降支出を抑制しているといい、30%の人は同じ消費レベルを保っているという(増やしたというひとは6%)。不況が終わった後も31%の人は不況前より支出を減らすといい、12%の人が増やすという。残りの人は不況前の水準を保つと予想している。

自宅の価値については、48%の自宅保有者が不況の間に価値が下落したといい、その47%の人が元の水準に戻るのに、3年から5年かかるだろうと信じている。また39%の人は価格が戻るのに6年以上かかると予想している。それにも関わらず8割の米国人は自宅を保有することが最良の長期投資だと信じている。

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中国人がワールドカップに出場できない理由

2010年07月01日 | スポーツ

中国の新聞は日本のワールドカップ決勝トーナメント敗退について、好意的な報道を行っていた。例えば京華時報は「日本チームの戦いぶりは尊敬に値する」と持ち上げていた。日中関係が悪化し、日本チームにブーイングが起きた2004年のアジア・カップに較べると様変わりだ。

中国の好意的な反応は素直に喜ばしいが、一方「北朝鮮でさえワールド・カップに出場していたのにどうして中国はワールドカップに出場できないのだろう?」という素朴な疑問が起きていた。

29日のニューヨーク・タイムズは中国のサッカーの問題についてWhere are China's stars?というタイトルで、4名の識者(人類学者他)のコメントを寄せていた。

彼等彼女等のコメントに追加情報を加えながら、ざっとまとめると次のような話になる。

・中国サッカー協会は国営企業である。3月1日の新華社報道によると中国プロサッカーリーグの八百長事件に関連して幹部が逮捕されている。FIFA憲章は各国のサッカー連盟は国から独立した団体であることを求めているが、中国サッカー協会は憲章に違反している。

・中国は旧ソ連型のスポーツ選手養成システム、つまり才能のありそうな子供にエリート教育を行うことでオリンピックのメダルを取ってきた。しかしサッカーのように才能が10代後半になって開花する競技では、町のサッカークラブのような選手育成組織が必要だ。中国にはこのようなクラブはない。恐らく中国政府はサッカークラブのような組織が全国に広がるとそれが共産党にとって脅威となると感じているのではないか?

・中国人はサッカーを観戦するのは好きだ(韓国・ギリシア戦を24百万人の中国人がテレビ観戦していたという話だ)が、本当にサッカーをしようとする子供はほとんどいないし、子供にサッカーをさせようとする親もほとんどいない。

以上の話から私は次のようなことを感じた。

中国人は古来文を重んじ武を軽んじる。貴人は体を動かすことをいやしむ。その伝統が強い限り「サッカークラブ」が盛んになる可能性は少ない。

国がスポーツのスポンサーになると腐敗を招く可能性が高い。これは日本の大相撲にも共通する話。ある記事によると北朝鮮のサッカー選手たちは引き締まった体つきだが、中国人のサッカー選手はぽってりしているということだった。

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