金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

プライベートバンカーもワールドインデックスには勝てず

2010年07月08日 | 金融

昨夜大学の同窓生と御徒町の金魚本店という店で飲んだ。私はこの店に初めて行ったが、同窓生の中にはしばしば行く人もいるということ。何故ならここの店長も同窓生なのである。店長に聞いてみると学部は違うと何と私の同級生だった!

隣に座った人は住友信託でプライベートバンキングをやっている人だった。正確にいうと「すみしんウェルスパートナーズ」という子会社に出向(あるいは転籍?)しているそうだ。「この株式相場ではプライベートバンキングも大変だね」と聞くと「投信は大変ですけど、保険で頑張っています」という返事が返ってきた。融資や不動産業務が低迷する中、銀行は勢い個人業務に力を入れているが、これはこれで中々大変なはずである。

プライベートバンキングというと世界的にも苦戦しているという話がファイナンシャル・タイムズに出ていた。

記事によると、金融危機で痛手を蒙った富裕層から信頼を取り戻すことができず、昨年1年間で富裕層からの投資は6割方減少したということだ。全世界230のウェルスマネジメント会社の調査を行った英国のコンサルタントScorpio Partnershipによると、2009年度に1社平均9億ドルのニューマネーを顧客から預かったが、これはその前の年の約3分の2である。

Scorpioによると、市場で資産価格が回復する兆候はあったものの、個人顧客は引き続き神経質になっていた。また同社は業界平均で顧客資産の価値は17%上昇したが、世界の株価(MSCI World Index)の27%上昇に較べると低かった。

ウェルスマネジメント会社の経費率は、72.4%から78.2%に増加し利益は35%減少した。

このように逆風が吹いた業界だが、業界順位は目立った変化はなかった。因みに世界一のウェルスマネジメント会社はメリルを買収したバンカメで管理資産は1兆7400億ドル。2位はUBSで3位はモルガンスタンレーだ。

逆風が吹くとはいえ世界のトップクラスのウェルスマネジメント会社の管理資産は150兆円を越える。米国の大手金融機関は自己勘定取引の制限等規制強化を見越して、プライベートバンキング業務の再強化に乗り出した。

このような動きは邦銀にも起きるだろう(あるいは起きているか?)。住友信託の某氏にはまた様子を聞いてみたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする