今日(10月5日)世銀は中国の経済成長見通しについて今年は7%で、来年は6.7%に減速するという見通しを示した。
世銀は「経済成長鈍化に対して、中国政府は比較的国債依存度が低く、金融システムに対し国が非常に強い力を持っているので、対応する十分な政策的なバッファーを持っている」という見方を示した。
また持続的な構造改革は投資から消費へのリバランスをサポートするという見方を示した。
今年の夏の人民元の切り下げやその後の株価暴落にも関わらず、中国人の日本での買い物の勢いは衰えていないようだ(「爆買い」という表現があるが、好きでないので使わない)。
中国の景気減速や株価急落に引きずられて、日本株も夏以降急落した(多少このところ反発しているが)が、その中で堅調なのは「小売セクター」だ。
日本の小売セクターは過去1年で4割株価が上昇している。小売セクターより株価が上昇しているのは「空運」位だろう。
また過去半年でみても、小売セクターは9%上昇。これは空運(13%上昇)、電気・ガス(10%上昇)に次ぐ上昇率だ。
「中国の株価急落や経済成長の鈍化で日本での買い物ブームに陰りが見えるだろういう見方もあるが、私は結構ブームは持続するのではないか?と考えている。
一つは大きなトレンドだ。大部分の中国人は過去5年の間に彼等の家計は改善し、親たちが経験できなかった高い生活水準を享受していると考えているからだ。国民全体が高い生活水準を目指そうと考える勢いは多少の景気の悪化による影響は受けないだろうと思われる。高い生活水準を「ぜいたく品」と考えると、景気に対する感応度は高いが、「必需品」と考えると感応度は低いはずだ。
今の中国人にとって大きな懸念は「公務員の汚職」「大気汚染」「水資源汚染」「食品や薬品の安全性への懸念」「工業製品の質への懸念」などだ。公務員の汚職問題以外に対する解決策は短期的には日本に来て買い物をすることで得られるだろう。
中国の株式市場暴落で個人投資家が痛手を被ったという話はエピソードとしてはよく聞くが大部分の国民がそれほど株に手を染めていないとすれば、株価下落も日本でのお買い物にそれ程影響はないのかもしれない。
それらの疑問に対する答はまもなく発表される小売業界の決算の中から読み取れるかもしれない。