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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

早くもでたマイナンバー詐欺

2015年10月07日 | ニュース

昨日(10月6日)消費者庁はマイナンバー詐欺で関東在住の70代女性が現金数百万円をだまし取られたと発表した。

発表によると、公的な相談窓口を名乗る者から女性にニセのマイナンバーを告げる電話があり、その後、別の男性から「公的機関に寄付をしたいのでマイナンバーを貸して欲しい」という電話があり、女性はマイナンバーを教えた。翌日、寄付を受けた機関機関を名乗る者から「マイナンバーを教えたことは犯罪に当たる。記録を改ざんするから」と金銭を要求され郵送と手渡しで現金を渡したというものだった。

私はマイナンバー制度実施により個人情報が漏えいするリスクよりも、マインアンバー詐欺で金銭をだまし取られるリスクの方が大きいと思っていたし、そのことはシニア層向けの講習会でも強調している。

「心配は情報漏れより尿の漏れ」という川柳がある。女性参加者も多かったので最近実施した講習会では話をしなかったが、マイナンバー漏えいのリスクは、尾籠な話ながら尿の漏れより低い程度の話なのだ。

一般の多くの人は恐らく法律でいうところの「個人情報」と「プライバシー情報」を明確に分けて考えていないだろうが、個人情報というのはいわば封書の表書きである。個人情報にマイナンバーがついたものを「特定個人情報」と法律上呼ぶがそれとても実は封書の表書きに12桁の数字が並んだものに過ぎない。

本当に表にでると好ましくないのは封筒の表書きではなく、封書の中身である。封書の中身には個人の資産状況や健康状態が書かれている。場合によっては尿漏れの話が書かれているかもしれない。そんな情報は他人に見られたくないのは当然だ。

法とシステムは表書きが分っても封書の中身は分らないように相当な工夫をしている。

マイナンバーが他人に知られても平気だ、ということについて内閣府特命補佐官の福田峰之さんは週間エコノミスト(9月15日号)で「(個人)番号はただの「名前」。私が「福田峰之」と知られて、まずいことは何もないということと同じだ。私は自分のマイナンバーが入ったTシャツを作ろうと思っている」と述べている。

福田さんの手元にもまだマイナンバーは届いていないと思う。だからまだマイナンバー入りのTシャツは作っていないだろう。あるいは勇み足をとがめられておふざけは止めているかもしれないが。

福田さんの話は個人番号の安全性を訴えるために誇張として割り引く必要はあるが、ある意味ではマイナンバーの本質を突いている。マイナンバーが他人に分ったところで、プライバシー情報が直ちに覗かれる訳ではないのだ。とはいえマイナンバーは不用意に公開するものではないと思うが。

マイナンバーは書留で住民票に記載されている住所に送られてくる。市区町村の人がご丁寧に電話で教えてくれることは絶対にない。またマイナンバーを取り扱う人が他人のマイナンバーを漏えいした場合には罰則があるが、個人がマイナンバーを他人に告げたからといって罰則がある訳ではない。

「マイナンバー 詐欺師にとっては良いナンバー」

詐欺師はあの手この手で個人を脅かしてお金を取ろうとしている。気をつけたいし気を付けて欲しいと思う。

詐欺師に狙われるような人は私のこのブログを読むことはないだろうが、色々な機会を通じて、マイナンバー詐欺防止を訴えたいと切に思う。

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巻機山を目指す日

2015年10月07日 | 

今度の連休(10月10-12日)は巻機(まきはた)山に登った後、清水峠を越えて谷川岳の表門というべき土合まで歩く予定だ。

巻機山は私の好みの山である。私が好む山には幾つか条件がある。まず「彫の深い山」というのが第一の条件だ。彫が深いというのは、尾根と谷が発達し、山容がどっしりした山である。日本で彫が深い山といえばまず剣岳だろう。源次郎尾根・八峰・剣尾根・早月尾根が主稜線から東西に伸びその間を雪に埋まった平蔵谷や長次郎谷が広がっている。尾根とその側壁は岩登りの格好の舞台だ。豪雪と雪解け水が深い谷を刻んだ巻機山もまた彫の深い山であり、尾根と谷は山スキーや沢登りの舞台になっている。

第二の条件は無雪期・積雪期とも登山が楽しめる山である。特に積雪期は山スキーを駆使できる豊かな積雪と広大な斜面がある山が望ましい。巻機山の頂上から広がる無立木の大斜面は山スキーには絶好の斜面だ。

第三の好みの条件は大分水嶺に位置する山ということだ。大分水嶺とは太平洋と日本海を分ける分水嶺のことだ。分水嶺に立ち、足元の谷の水が一方は太平洋に流れ、一方は日本海に流れいると思うと心が雄大になる。

尾瀬の至仏山から大水上山を経て、巻機山に至り、谷川岳に続く稜線は太平洋に流れる利根川と日本海に流れる魚野川の分水嶺なのだ。

巻機山はこの3つの条件を満たしている名峰である。私は11年前の4月に巻機山に山麓の清水からスキーで日帰り登山をしたことがある。(写真はその時のもの)

下部の井戸の壁は苦しい登りが続いたが、そこを抜けると広大な雪の斜面が広がる別世界が待っていた。ニセ巻機ピークでラーメンを作りながら遅れて登ってくる仲間を待っていたことを思い出す。そして降りはスキーを履くと喘ぎながら登ってきた斜面を一呼吸のうちに下ってしまったことを昨日のことのように思い出した。越後の春山ほど楽しい山も少ないだろう。

巻機山に登ったのはこの時が最初だったが、次は紅葉の時に登りたいと思っていた。その思いが11年の歳月を経て実現しそうだ。

11年前は山スキーと沢登りが山登りの中心だったが、シニアになってからは沢からは足が遠のき始めた。寂しいことだがそれが人間の定(さだめ)というものだろう。

冒頭で「私は彫が深い山が好きだ」と書いたが、それは彫が深い山が美渓を持ち、その美渓が沢登りの舞台となるからだ。巻機山とその周辺には米子沢を始め幾つかの名渓がある。谷川岳周辺の沢には何度も足を運びながら、トンネルの先の巻機山の谷に足を踏み入れることを怠ってきたことは微かな悔悟になっている。

今回の登山ルートは純粋な沢登ではないが、ヌクビ沢沿いを歩くヌクビ沢ルートを選んでみた。腰までつかる渡渉や飛沫を浴びるシャワークライムはないだろうが、多少なりとも沢の息吹きを感じられるのではないか?と期待しているのである。

山登りではこのように期待に胸を膨らましているひと時が楽しいものである。

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【イディオム】Pop the champagne TPP銘柄買いは剥げる? 

2015年10月07日 | 英語・経済

今週月曜日に大筋合意が行われた環太平洋経済関連協定(TPP)。昨日(10月6日)の東京株式市場ではクボタなど農業関連の株や食品、自動車などTPP関連と思われる株価が続伸した。

国内農業が活性化するという読みや関税廃止で原材料の調達コストの低下は食品業界にプラスに働き、自動車の関税撤廃は輸出を伸ばすという読みだ。

だがこれは一種のお祭り騒ぎだ、と私は見ている。仮にTPPが各国で批准されてもその経済的な効果がでるのはかなり先の話だからだ。

CNBCにWhy it's too early to pop the champagneという記事が出ていた。Pop the champagneは「シャンパンの栓を抜く」という意味だが、転じて「大成功を祝う」というイディオムとして使われている。

記事のタイトルは「なぜ(TPPの)成功を祝うのは早過ぎるか」という意味だ。

何故早いか?というと、第一の問題は条約に調印しても各国の議会が承認するかどうかという問題があると記事は指摘する。

なお記事は指摘していないが、私は大筋合意した内容を条文化するところでも細かい交渉があると考えている。

議会の承認が難航すると見られているのは米国だ。米国では大統領の支持基盤である民主党議員の多くがTPPに反対していることが懸念材料だ。

米国国民全体の世論調査では、TPPを支持する世論の方が強い。TPPが米国の消費者に輸入物価の低下を通じて利益をもたらすし、知的財産権・取引ルール・雇用ルールなど多くの点でアメリカの主張が通っているからだ。長期的にはTPPが米国に大きな利益をもたらすことは間違いない。一部の業界は痛手を被り、産業構造の転換が起きる可能性があるが、米国にはそれを受け入れる柔軟なシステムがある。

TPP反対派は国内の賛成派からより多くの譲歩を引き出すために、反対の声を高めているのだろう、と私は考えている。ただし大統領選挙が絡むので議会の承認は長引くかもしれない。

日本の場合は米国議会と違い、党議拘束があるから時間はかかってもTPP法案が批准されることは間違いないだろう。ただしTPPでマイナスの影響を受ける農業分野等への対策を立法化するには時間を要するだろう。

次の仮にTPPが参加各国で批准されたとしても、関税引き下げは相当な時間をかけて段階的に行われるので、消費者や企業がメリットを具体化するには相当時間がかかるという問題がある。

TPPの象徴的な意味は大きいが、具体的な経済メリットは当面それ程大きくはない。

TPPを材料に買われた銘柄でも実力以上に評価された銘柄は早い時期に下落すると私は考えている。

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