金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

弱気ムードの中の米株高、インデックスを減らしハイテクを残す

2015年10月17日 | 投資

昨夜(10月16日)は長い付き合いの山仲間のUさんと五反田で酒を飲んだ。Uさんも株式投資をしているようで、「日本株は少し戻してきましたが、まだ上昇するのでしょうか?」と聞いてきた。昨日の日経平均は194円上昇して18,291円で引けていた。

「恐らく18,500円近くまでは戻すだろうね。その先は分らないが」と私。私は仕事でUさんに会う前に手持ちの日本株インデックスを少し売却し現金化していた。帰ってからニューヨークの相場を見ると消費者信頼感指数が前月より上昇したことやGEの決算が良かったことで株価は上昇し、日経平均先物も上昇していたので、週明けに売った方が良かったかもしれない・・・・とは思ったが、これはまあ細かい話。18,500円に近づけばもう少し打っておきたいという気持ちには変わりはない。

CNBCに6 reasons why investors are feeling 'lost and bearish'という記事が出ていた。「投資家が戸惑い弱気になっている6つの理由」という意味でクレディスイスが、欧米アジア諸国の顧客の声をまとめたものである。各地で投資家は戸惑っているとレポートは報じるが、その中で一番弱気なのは米国の投資家ということだった。この3週間米国株は連続して値を上げているから、弱気の中の株価上昇をどう判断するのか迷うところだが。

さてクレディスイスが挙げた6つの理由は次のとおり。

「世界経済の成長鈍化」「中国のハードランディング」「ハイイールド債券のスプレッド上昇」「米連銀の市場との対話の失敗」「量的緩和策の限界」「企業収益の低迷」である。

これらのことは既に語られていることで繰り返すことはないが「量的緩和策の限界」についてちょっと見ておこう。

クレディスイスは「中央銀行はデフレ脱却のために量的緩和を進めてきたが、インフレを起こすことに失敗している。中国からのディスインフレ圧力、破壊的な技術、インターネットは金融政策で対処することはできない」と述べている。

破壊的な技術disruptive technologyが具体的に何を指すのか説明はないが、「シェールガス革命」などを私は想像している。またビッグデータの活用等「人工知能」も破壊的な技術といえるだろう。

「人工知能」の利用が拡大すると多くの人手を介したサービスが自動化され、コスト削減と余剰人員が発生する。今までもIT化でコスト削減は進んでいるが、それはまだ「量的な影響」の段階で「人工知能」は仕事・サービスを「質的」に変える可能性が高い。

金融機関の窓口業務のみならず、コンサル業務(資産アローけーしょんなど)も早晩人工知能を持ったロボットに置き換わる可能性がある(日本の消費者がそれを受け入れるかどうかは別としてだが)。

もしクレディスイスの金融政策に対する見立てが正しくかつ日銀を含む中央銀行がその見立てを斟酌するなら、近い将来の更なる金融緩和は起きないかもしれない・・・などという想像も起きる。

と仮定すればこの時期は金融緩和期待相場を追い続けるよりも、デフレの原因の一つの原因を作っていると思われるIT企業に着目した方が良いのではないか?というのが今の私の考えだ。

IT企業で高いパフォーマンスを上げているのはアマゾンだが、私はアマゾンの投資先行・低収益体質が好きになれず同社の株は買い損ねてきた。IT企業でポートフォリオを入っている代表的な銘柄はグーグル(アルファベット)だ。

グーグルの株価にはアマゾンの派手さはないが、米株全体のパフォーマンスがさえない中で確実に値を上げている。

私は当面日米のインデックス投資を減らしながら、IT大手の株はホールドしようと考えている。

もっとも「株価全体が低迷する中で一部のセクターだけが値上がりするのは相場末期の典型」という見方もあるので、これが正しい判断かどうかは分らないが。

その一つの試金石は来週発表されるグーグルの四半期決算とそれに対する市場の反応だ。

 

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