WSJによると、景気と雇用環境が良いので、良い雇用条件を求めて転職する人が増えている。
労働省の統計によると、4月に離職した人は340万人でITブームに沸いた2001年のピークに迫るものだった。
アトランタ連銀によると転職者の5月のサラリーは同じ職に留まっていた人に比べ約3割増加した。
610万人の失業者(5月)の内、1/7以上はより条件の良い仕事を求めて自発的に離職した人だった。
より良い雇用条件を求めて仕事を変える人のことを英語ではJob-hopperという。またJob-switcherともいう。同じ記事の中にJob-hopperやjob-switcherという言葉が混ざるが、
これは英語の特性で気にすることはない。英語では同意語を多用するのが、洒落た文章とされているからこのようなことが起きる。
ジョブホッピングは若い世代ほど活発だ。昨年第1四半期に35歳以下の人の6.5%が転職したが、35歳~54歳の層では転職者は3.1%だった。
転職は業種を超えて進んでいる。
建設業・工業・ヘルスケアなど人手不足が目立つ業界が高いサラリーで労働力を小売業や飲食店から吸い上げているのだ。
好景気を受けて求人難に陥った企業が高いサラリーを払って、雇用を確保していく。その結果じわじわと全体の給与水準が上昇していくメカニズムがアメリカで本格的に動き始めたのではないだろうか?
もっともこれをもって「一つの仕事に長くとどまる」長期的な傾向に方向転換が起きたかどうかはわからないが・・・
日本では「会社に入る」がアメリカでは「会社のあるポジションに就職する」。あるポジションを会計事務の係長としようか、日本であれば勤怠順当であればやがて彼は会計課長に昇進する可能性があるが、アメリカでは同じ会社の中で昇進するとは限らない。むしろ課長や部長に相当するポジションは外部から採用される可能性が強い。
だから転職=より高いポジションになる可能性が高いといえる。
日米の転職問題を論じる場合はこのような背景をよく考えておく必要があるが、景気が良い時はアメリカ流のダイナミックさが目立つ。逆に不景気になると苛烈さが目立つのだが・・・