投資の教科書は個別株投資よりインデックス投資を勧める。リスクが分散されているし、運用報酬が低いのでアクティブファンドより、費用を控除した後ではパフォーマンスが良いことが多いからだ。
米国株にはS&P500、ダウ、ナスダックという代表的な指数がある。日本のマスコミではダウが有名だが、投資家が一番関心を払っているのは、市場の約8割をカバーするS&P500だ。
ところで今年はダウとS&P500のパフォーマンスがナスダックに較べて相当見劣りしている。年初来のパフォーマンスはダウがマイナス8.3%、ナスダックがプラス13%、S&P500が3.1%のプラスだ。
ナスダックが好調なのはアマゾン、アルファベット、フェイスブックなどハイテク銘柄が値を上げているからだ。これらの銘柄はダウには採用されていない。ダウが採用しているハイテク銘柄はアップルとマイクロソフトだが、ダウの構成銘柄の中にはボーイングやユナイテッド・テクノロジーズといった大きく値を下げている銘柄が多いので全体としてダウの成績は悪い。
S&P500の産業セクターでプラスのパフォーマンスを上げているのは、マイクロソフトとアップルが入っているハイテク、アマゾンが入っている選択的消費材、アルファベット(グーグル)とフェイスブックが入っているコミュニケーションサービスの3つだけだ。
つまり現在の米国株式市場を牽引しているのは、FAANG銘柄なのだ。FAANG銘柄だけが値を飛ばしていることの裏には、コロナウイルス騒動が長引き、第2・第3の波が起きることを警戒している(つまりまたロックダウンが起きる)からだ。
通常株式市場が上向いていく時はセクターローテーションといって、出遅れ株まで買われて、日の目を見ることが多い。しかし現在はむしろ銘柄間の格差拡大進行中である。この時期パフォーマンスを上げている人はFAANGの個別株投資を行っている人かナスダック指数投資のウエイトを高めている人だ。
現在の環境に限って言うと市場全般に投資するS&P500や大型産業株を含むダウよりナスダックの方が好調だ。教科書どおりにいかないのが投資の面白いところである。