コロナウイルス騒動が一段落し、通勤者が増えている。とはいえ緊急事態宣言前に較べると半分以下という感じだ。多くの人は交代で在宅勤務を続けている状況だろう。
在宅勤務というと多くの人が利用したのが、ビデオミーティングのZoomやチャットのSlackだった。中にはマイクロソフトのTeamsやGoogle Meetを利用した人もいるだろう。ZoomやSlackとマイクロソフト・Googleの違いは、前者がビデオ会議サービスやチャットサービスを単体で提供するのに対し、マイクロソフトやGoogleがワープロソフトや表計算ソフトなど他の商品をまとめて、つまりバンドルして提供するところにある。
つまりソフトウエアにおけるスタンドアローンとバンドルの競争である。もしコロナウイルス騒動が起きなければ、二つの陣営はお互いの領域に踏み込まずにしばらく共存を続けただろう。
ところがコロナウイルス騒動はビデオ会議システムの需要に火をつけた。
昨年末のZoomのユーザは1千万人だったが今年の4月には3億人に急増している。またマイクロソフトのディリーユーザーは3月から4月にかけて倍以上に拡大し75百万人にのぼるという。
マイクロソフトとSlackの競争は6年前の2014年にさかのぼる。サンフランシスコでビデオゲーム制作会社としてスタートしたSlackはゲームソフトではうまくいかなかったものの、社員の間のコミュニケーションツールとして開発したチャットシステムが当たった。
セレンディピティのような話だが、この創業間もない会社にマイクロソフトは買収しようとしてアプローチしたが、創業者は拒絶した。
そして2016年にマイクロソフトはTeamsというチャット・ビデオ会議を統合したコミュニケーションソフトの販売を始めた。
もしコロナウイルス騒動がなければ、SlackのTeamsも猛烈に角突き合わせることなくお互いの領域で共存を楽しむことができただろう。
個人的な好みだが私はSlackというツールが好きである。何故かというとSlackはポータルとして他のソフトウエア~マイクロソフトのOne driveを含めて~との連携面で優れているからだ。またslackbotという一種のヘルプ機能も機敏に機能して気持ちが良いからだ。
だがシステムアドバイザーとして会社にコミュニケーションツールをアドバイスする場合は、個人的な好き嫌いを言っている訳にはいかない。Slackは使い易いが若干オタク的なところがある。また社員がドンドン他のソフトウエアに手を広げるのもセキュリティ上問題である。
ということで私は一般の企業ユーザーにはバンドルサービスつまりTeamsを含むマイクロソフト365を推薦することになる。もちろんシステム開発会社などパワーユーザーの場合はSlackを使う方が良いと思うし、繋がりが緩やかな団体の場合はZoomを使ってよいと思う。
いずれにせよ、コロナウイルス騒動は二つの陣営の真っ向勝負の時期を早めたようだ。