金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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徒然草を読む(17)~鎌倉の海に鰹~

2020年06月05日 | ライフプランニングファイル

新緑の季節だ。昨日は奥多摩・三頭山で緑溢れる森を歩いて新緑を満喫した。

新緑というと「目には青葉山ホトトギス初鰹」という俳句を思い出す人も多いだろう。ホトトギスというと鳴き声が「特許許可局」と聞こえるそうだが、昨日はそんな鳥の声は聞こえなかったのでホトトギスはいなかったのかもしれない。

でも今日は鰹を買ってきて家で一献傾け初夏の風情を楽しみたいと考えている。

ところで「目には青葉」の句は、江戸時代初期の俳人・山口素堂の作で徒然草第百十九段「鎌倉の海に鰹・・」を踏まえているそうだ。

初鰹というと芭蕉に「鎌倉を生きて出でけんはつがつお」という句がある。芭蕉と山口素堂は同門で、素堂は蕉風の確立に貢献したというからこの二つの俳句には密接なつながりがあるのかもしれない。

さて徒然草百十九段である。

「鎌倉の海に、鰹といふ魚(うお)は、かの境には双(そう)なきものにて、このごろもてなすものなり」

鎌倉海岸でとれる鰹をいう魚は近頃この地方で美味としてもてはやされている、ということだ。

徒然草が成立したのは西暦1330年(兼好法師48歳)頃と言われている。また山口素堂が活躍したのは1600年代の終わりごろだから、鰹は3百年にわたって人気を博し今なお初夏の食卓を賑わせている。

徒然草によると「鎌倉に住む年寄りの話では自分達の若い時分は鰹は漁師の食べ物で上流階級の食べ物ではなかった」そうだ。ところが鎌倉に武家文化が花開き、鰹=勝つ男(お)の縁起から鰹が広く武家の間で食べられるようになったのかもしれない。まあ、小難しい解釈は横に置き、脂ののった鰹のタタキで冷酒を飲むのが初夏の楽しみであることは間違いない。乾杯。

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