「コロナ後の世界」はコストパフォーマンスの高い本です。その中で私が一番示唆を受けたのはリンダ・グラットン教授の「ロックダウンで生まれた新しい働き方」です。
グラットン教授は短いエッセーの中で二つのことを語っています。
一つはコロナによって変わる生き方の話であり、もう一つはコロナに影響を受けない「人生百年時代」の話です。
グラットン教授は長寿化が顕著になる前の人生は「教育・仕事・引退」という「三ステージ」が一般的だったけれど、これからの私たちの人生は「マルチステージ」化していくと述べます。
コロナウイルス感染拡大防止のための在宅勤務は、「新しい生活規範」を生み出しつつあり、それが「マルチステージ」化の輪郭を鮮明にしていく、というのがグラットン教授の趣旨だと私は理解しました。
教授の話はシニア層を大変勇気づけるものです。気に入った言葉をいくつか紹介しておきましょう。
- 60歳はもはや「年寄り」ではなく、70代半ばまで働けない理由はありません。「年寄り」と言っていいのは80歳以上のことです。
- まずは長寿をポジティブに捉える。それこそが高齢化社会の問題を打破する鍵です。
- たとえ60歳を超えていても、新しいスキルを学ぶのに決して遅すぎる年齢ではありません。
- マルチステージになると、仕事は人生の「一部」に過ぎません。
- テクノロジーが発達した未来では、我々の仕事にはより”人間らしい力”が求められるということです。