(仮題)「お金の心理学」The Psychology of Moneyはようやく半分読んだ。
私はこの本をKindleで読んでいる。現在はKindle専用の端末を使わずにスマートフォンで読んでいるが、電車の中でも簡単に読めるので便利だ。また辞書にあたりたい単語も指で長押しするだけで簡単に訳が出るので電子本は便利である。
一方電子本の内容はサラリと頭に入るのだが定着度合いが悪いと思う時がある。その理由について最近偶々読んだ「反射光」と「透過光」の違いについてリコーの研究員の人が書いた記事を見かけたが、「反射光」つまり紙に書かれた文章を読むとき、人間の脳は分析モードに切り替わることと関係しているようだ。
「お金の心理学」は示唆に富んだ本なので一度で定着しなければ二度読めばよいと考えているのでKindleで押すつもりだが、次の同種の本を読むときは再考するだろう。
さてこの本の丁度真ん中あたりにある教訓は「過去を学んでも将来は予想できない」というものだ。筆者はHistory can be a misleading guide to the future of the economy and stock marketと述べている。
何故なら過去と現在の間には構造的な変化があり、その違いを解き明かすことなく、過去の事例で将来を判断しようとすると人を誤った方向に導く可能性があるからだ。
筆者はお金を考える時に歴史を無視しなさいと言っている訳ではない。歴史に学ぶことがあるとすれば、「貪欲と恐怖」とか「ストレスの下で人々が如何に行動したか」といった人間の一般的な傾向を知っておくことに意味があると述べている。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ドイツの初代宰相ビスマルク)という言葉がある。この言葉を愚者は自分が経験した前例をもって現在の問題を捉えようとするが、賢者はもっと多くの歴史的事例から人間の行動パターンを抽出して現在の問題を分析しようとする解釈すると筆者モルガン・ハウゼル氏とビスマルクは同じようなことを言っていると思われる。