金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

腰が入っていない政府の「デジタル化」政策

2020年09月25日 | ライフプランニングファイル
 鳴り物入りの感がある菅内閣のデジタル化政策だが具体的プランを見ると手緩いと感じる。非常に。
 手緩いというのは預金口座とマイナンバーの紐づけを「選択制」にするという点だ。選択制にすると事務処理が二系統に分かれる。つまり将来、現金給付金を支給するような事態が発生する場合、「電子的申請⇒マイナンバーに紐づけされた口座への送金というデジタルな流れ」と「紙ベースの申請⇒マイナンバーに紐づけされていない預金口座の確認と手作業による起票」という二系統の事務処理が発生する。仮に大多数の人が預金口座とマイナンバーの紐づけを選択したとしても、一部に紐づけしない人が残るといつまでも事務処理の合理化は進まない。
 では何故預金口座とマイナンバーを紐づけすることに政府は躊躇するのか?
 日経新聞によると「すべてのマイナンバーを口座と連携させる案も検討したが「国が資産を把握するためではないか」との懸念が広がる恐れがあるため見送る方針だ。 」という。
 ここで私が疑問に思うことは「世界の先進国で預金口座と納税者番号のような個人番号を紐づけしていない国はどれ位あるのか?」ということだ。
 総ての国について調べた訳ではないが、実際に暮らした経験などを合わせて考えると米国、カナダ、北欧諸国、韓国などで預金口座と個人番号の紐づけが行われている。
 これらの国に較べて日本の国や行政機関が個人情報の収集や個人の資産額の把握に熱心だとは思わないが如何なものだろうか?
 もちろん一部の公務員の中に信用のおけない行動を取る人がいることは間違いないが、それは人間社会であればどのような社会でも起きうることだ。 
 そのような可能性を持って国全体の事務処理の合理化や社会保障の公平性を担保しないのは本末転倒である。菅内閣には腰の入ったデジタル化政策を推進して欲しいものだ。
 
コメント
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