金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「組織の階段を登っても成功者にはならない」半沢直樹で溜飲を下げる理由?

2020年09月14日 | ライフプランニングファイル
日曜日の午後9時からの「半沢直樹」を観ている仲間は多い。そんな仲間から時々「銀行ってあんなものなのですか?」と聞かれることがある。「話を面白くするため誇張はあるけれど、本質をついているところはあると思うよ」と私は答える。何が本質か?というと、多くの銀行員は少し組織の階段を登ると階段を登ることが目的と化する。組織の階段を登ることを「偉くなる」という人がいるが、これはもちろん間違いだ。偉い=greatとは人間的に立派になることを指す。組織の上の方にいる人が人間的に偉い人であることは理想論だ。本当に偉い人は組織の階段を登ることを目的とは考えずに「自分の信じるところを実現する手段」と考える。この理想論の頂点にはプラトンの哲人王の考え方があるが、実際の社会ではそのような事例は稀だ。
 
 「半沢直樹」は娯楽番組なので、そこから小難しい人生論を学ぶ必要はない。だけど多くの人がチャンネルを回すには理由があると思う。私はその一つは組織の階段を汚い手段を使いながら登って行った人間が、半沢直樹に指弾され、結局組織を去らざるを得なくなることに観る人が溜飲を下げることにあると感じている。だがそれは単なる勧善懲悪ではない。
 むしろ「自分の信じる夢を実現する」という本質を見失い、組織の階段を登ることを目的化した人間に対する複雑な想いがある、と考えた方が良いだろう。 それは「組織の言いなり、上司のいいなりにならざるを得ない(自分を含む)サラリーマンに対する同情」も含まれるだろう。
 「自分の信じる理想を実現する」ために敢然と組織に立ち向かう半沢直樹はなりたくてもなれないヒーローなのだ。だからカタルシスを覚える。
 だけど原作者池井戸潤の「悪者」に対する視線の中に、私は「そういう風しか生きることができなかった弱いもの」に対するある種の理解を感じる。
 弱い人間であった我々は、しかし、ドラマの中の悪役ほどは悪いことをしなかったことにほっとしながらひと時を過ごすのである。


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富を得るよりも富を保つ方が難しい~「お金の心理学」を読んで(2)

2020年09月14日 | ライフプランニングファイル
 少し前に読み始めた「お金の心理学」(仮題The Psychology of Money まだ邦訳はありませんが、その内出ると思います)は1/4ほど読み進みました。
 1/4ほど読み進んだところで、印象に残った教訓が「富を得るよりも富を保つ方が難しい」ということです。

 筆者は「富を得るには、リスクテイク・楽観性・努力が求められる」「しかし富を保つにはリスクテイクの反対のことが要求される。それは謙虚さと富はあっという間に失うかもしれないという恐怖心である。」と述べています。
 筆者は相場で大儲けをした投機家たちがあっという間に大損をして破綻、最悪の場合は自殺に追い込まれた例をあげながら、一時的に大金を得ることは運が向くと可能な場合があるが、富を維持し続けるには謙虚さという特性が必要だと述べています。
 これに加えて私は「富を維持するにはある種の志が必要だ」と考えています。
 つまりお金持ちになっていく段階では、貪欲さが推進力になるが、お金を得た後はそのお金を何に使うか?という目的が必要だということです。そのお金をビル・ゲーツやウォーレン・バフェットのように慈善活動に使うという場合は志と呼んで良いでしょう。
 志のない金儲けは金のために金を儲けることになり際限のない賭けを強いられることになります。そして際限のない賭けに勝ち続けることは不可能であり、行く手には滅びのみがある、ということでしょう。


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しっかりしているTransferWiseの本人確認システム

2020年09月14日 | ライフプランニングファイル
 ドコモ口座の不正事件がキャッシュレス事業に冷や水を指す懸念がでている、という記事があった。
 ドコモも問題は、ドコモが口座数獲得を優先し、本人確認を怠ったためだ。キャッシュレスやフィンテックによる安い送金手数料による送金を拡大するためにはフィンテック企業による口座開設を認め、金融業務の裾野を広げる必要がある。
 だが本人確認を軽視した口座開設は詐欺やマネーロンダリングの温床になりかねない。
 私は金融取引にかかわるすべての口座開設にマイナンバーの登録と写真による本人確認を義務付けるべきだ、と考えている。
 その具体的手法は次のようなものだ。これは最近外貨送金取扱大手のTransferWiseで口座開設を行った時経験したものだ。
①口座開設には「マイナンバーカード」「運転免許証」「パスポート」の表面・裏面および側面(厚さを確認)の写真を撮り、TransferWiseのHPからアップロードする。表面の写真については、TransferWiseから送られてくる4桁の番号を紙に書き、その番号を入れた写真を撮る必要がある。
②次に上記4桁の番号を書いた紙を胸のあたりにおいて自撮りする。そして自撮りした写真をTransferWiseのHPからアップロードする。
③口座開設にマイナンバーカードを利用する場合は、これで終わりだが「運転免許証」「パスポート」を利用する場合は「マイナンバーカード」または「マイナンバー通知書」の表裏の写真をHPからアップロードする。
④以上の作業を30分以内に終了する。
つまり口座開設には「写真付きの公的証明書」「その写真と照合するセルフィ―画像(自撮り写真)」「マイナンバー」が必要な訳だ。
 
 これだけの作業をNGなしにスマートにこなすには、かなりスマートフォンの操作に慣れている必要があると思う。実際私は「マイナンバーカードの側面(厚み)を撮る」写真でNGを食らった。
 家内は別の取引でマイナンバーカードの側面写真を求められうまく行かず断念したことがあるようだ。
 つまり「インターネットによる本人確認は手間がかかる」のである。だがその手間をかけないと安全な取引が行えないことをサービスを提供するフィンテック企業もユーザも理解する必要があるのだ。
 
 
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