WSJにHere Comes the 60-Year Careerという1.2万字程の長めの記事がでていました。タイトルは「60年キャリアの時代になる」という意味でしょう。
キャリアという言葉は奥行きの深い言葉ですが、ここではさらりと「職業を主軸とした人生経験」ととらえて記事を読むことにしました。
まず「60年キャリアの時代になる」その前は何だったのか?というと伝統的な40年キャリアの時代です。つまり20代の初めから仕事を始めて60代の始めに仕事を終えて退職し、シニアライフを迎えるというキャリアモデルが、米国でも日本でも社会のデフォルトモデルになっていたのですね。
それが60年キャリアになるというと80歳位までキャリアが続く時代になるということです。ここではキャリアという言葉を職業を中心とした人生経験から、世の中と関わり続ける人生経験という位に読み替えた方が良いでしょう。
つまりキャリアという言葉を「簡単に」かつ「包括的」に説明するのはそれ程簡単ではありません。
恐らく学校で勉強したり、職業に従事したり、仕事を休んで放浪の旅をしたり、また復職したり、家族を育んだりしながら、長い人生を旅する道のりをキャリアと呼ぶのが正しいのでしょう。
記事を書いたHymowitzさんという人は、「60年キャリアの時代では、40年キャリアの時代のように梯子を登るといった直線的感覚でキャリア形成を行うのではなく、ジャングルジムを登るように横に動いたり、段を飛び越えたりするようなキャリア形成が必要」でそのためには「長い人生を通してペース配分を行うこと」や「生涯学習」が必要で、「柔軟性」が非常に大事だと述べています。
日本の社会や経済は長い停滞期の中にあります。その大きな原因の一つが職業の流動性が低いことにあると言われています。
WSJの記事をベースに考えると日本の社会は40年キャリアモデルで動いてきたのですね。
本来であれば最も早く超高齢化社会を迎えた日本こそ60年キャリア型の社会を目指さないといけなかったのに。
どうして日本の社会がそのように変われなかったのか?というと「梯子を登る」ことを重視した社会だったからです。梯子ではなく、ジャングルジムを渡るようなキャリアパスを是認する社会であれば、もっと早く60年キャリア時代に対応できたかもしれませんね。
中々変わることができない日本の社会ですが、世の中が変わるのを待っていると自分の人生が終わってしまいます。
一人一人が60年キャリアの時代をどう生きるか?を考え行動する必要があるのでしょうね。