ウクライナ侵攻に関する複数の記事から次のことがうかがえる。
英国のベン・ウォレス国防長官は英国放送協会の番組で「ロシア軍全体の97%がウクライナにいると推定している」と述べた。
ロシアは侵略1周年を前に全面的な攻勢を仕掛けているが、ウクライナ軍はなんとかその攻撃に耐えて時間稼ぎを行い、春の大反撃の準備をしているというのが大まかな構図だろう。
戦闘が特に激しいのが東部の都市バフムートだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドネツクとルハンスク両地域の状況は依然として極めて困難な状況にあるとしながらも、ロシアが攻撃能力を消耗していると述べている。
激しい戦闘を通じて、武器弾薬が不足しているのは、ロシアもウクライナも同じ状況だろう。
米国のオースティン国防長官は「戦闘訓練を通じてウクライナの戦術を向上させ無駄な弾丸の発射を抑えることを望んでいる」と述べている。
オースティン長官はまた「ロシアは大量の兵士を先頭に投入し続けているが、訓練不足のため多くの死傷者をだしている」と述べている。
イギリスの国際戦略研究所は、ロシア軍の死傷者数を10万人~15万人と推定し、ウクライナ軍の死傷者数もこれを大きく下回るのもではないと推計している。
また同研究所はロシア軍は既に戦車の半数を失い、現在戦闘可能な戦車の台数は1,800台と推計している。ロシアには他に5千台の戦車があるそうだが、古くて使い物にならないそうだ。
一方現在ウクライナが持っている戦車台数950台である。
これは先月西側諸国が提供を約束した新型戦車は含まれていない。ウクライナは新型戦車の到着と搭乗する兵士の運用訓練のための時間稼ぎを行っている状況だろう。
戦闘の帰趨を決めるのは、兵員や戦車の数だけではない。その質が大きな意味を持っているのだ。
ウクライナが冬の間のロシアの攻撃を耐え忍べば春の反転攻勢で大きな成果を上げる可能性が高いと私は考えている。多分に希望的観測が入っていることは間違いないだろうが。