金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

膠着のロシアによるウクライナ侵攻、しかし春には大きな決着を見る可能性あり

2023年02月16日 | ニュース
 ウクライナ侵攻に関する複数の記事から次のことがうかがえる。
 英国のベン・ウォレス国防長官は英国放送協会の番組で「ロシア軍全体の97%がウクライナにいると推定している」と述べた。
 ロシアは侵略1周年を前に全面的な攻勢を仕掛けているが、ウクライナ軍はなんとかその攻撃に耐えて時間稼ぎを行い、春の大反撃の準備をしているというのが大まかな構図だろう。
 戦闘が特に激しいのが東部の都市バフムートだ。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドネツクとルハンスク両地域の状況は依然として極めて困難な状況にあるとしながらも、ロシアが攻撃能力を消耗していると述べている。
 激しい戦闘を通じて、武器弾薬が不足しているのは、ロシアもウクライナも同じ状況だろう。
 米国のオースティン国防長官は「戦闘訓練を通じてウクライナの戦術を向上させ無駄な弾丸の発射を抑えることを望んでいる」と述べている。
 オースティン長官はまた「ロシアは大量の兵士を先頭に投入し続けているが、訓練不足のため多くの死傷者をだしている」と述べている。
 
 イギリスの国際戦略研究所は、ロシア軍の死傷者数を10万人~15万人と推定し、ウクライナ軍の死傷者数もこれを大きく下回るのもではないと推計している。
 また同研究所はロシア軍は既に戦車の半数を失い、現在戦闘可能な戦車の台数は1,800台と推計している。ロシアには他に5千台の戦車があるそうだが、古くて使い物にならないそうだ。
 一方現在ウクライナが持っている戦車台数950台である。
 これは先月西側諸国が提供を約束した新型戦車は含まれていない。ウクライナは新型戦車の到着と搭乗する兵士の運用訓練のための時間稼ぎを行っている状況だろう。
 戦闘の帰趨を決めるのは、兵員や戦車の数だけではない。その質が大きな意味を持っているのだ。
 ウクライナが冬の間のロシアの攻撃を耐え忍べば春の反転攻勢で大きな成果を上げる可能性が高いと私は考えている。多分に希望的観測が入っていることは間違いないだろうが。
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米国1月の小売売上高3%増、ナスダック続伸

2023年02月16日 | 投資
 昨日(2月15日)発表された米国1月小売売上高は事前予想2%を上回る3%だった。これは過去2年間で一番強い数字だった。
 小売売上高は昨年11月、12月と2カ月連続で前月比マイナスだったが、1月は自動車、家具、外食など裁量的支出が伸びた。
 消費支出の伸び、特に裁量的支出の伸びは、好調な雇用環境を反映している。消費者は仕事に満足していると消費を増やすからだ。
 日本の公的年金に相当するソーシャルセキュリティーが年初から8.7%増額したことも約7千万人の年金受給者の消費を押し上げる点で効果があった。
 余談だかマクロスライド制を導入している日本では、物価上昇をカバーできない年金受給者は消費を抑制する(あるいは貯蓄を費消して消費を維持する)ことになるから、物価上昇が消費を抑制する効果は米国より大きいといえる。
 
 昨年末の消費支出が前月比マイナスになり、1月の消費支出が大幅に増加した要因の一つはギフトカードにあるとみるアナリストもいる。百貨店などのギフトカードは、カードが販売された時に小売売上高にカウントされず、実際にカードを使って商品が購入された時に売上高にカウントされるからだ。従って1月の小売売上高は12月のマイナス分が先送りされた分を含んでいるという訳だ。

 経済の成長エンジンの一つである小売売上高が堅調なことは経済全体としてはプラスの話だが、インフレ抑制の旗を振る連銀としては、政策金利の引き上げを持続せざるを得なくなるだろう。
 これは株価にマイナス材料だが、昨日のところ株価は引けにかけて反発し、高値で引けた。
 特に今年に入って好調なペースを維持するナスダックは、S&P500が0.28%、ダウが0.11%の上昇にとどまる中、0.92%上昇した。
 今年に入ってナスダックの健闘が目立っている。


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