世界中で多くの人を苦しめたコロナだが、多少は社会に良い効果も及ぼしている。その一つが勤務方法の多様化を考え実験する場を提供したことだと思う。
リモートワークはその典型だが、WSJによるとイギリスでは「週4日勤務制」(月~木勤務とか火~金勤務など)のかなり大きな実験が行われた。
実験には昨年6月から11月にかけて、銀行、ファストフードレストラン、マーケッティング会社など61企業2,900名の従業員が参加して行われた。
テストの当初の意図は、勤務時間を短縮することで、コロナ下の勤務による燃え尽き症候群の解消だったが、週4日勤務で離職率等が改善することが分かってきた。
週4日勤務制に対する会社側の評価は10点満点で7.5点だった。生産性の改善については46%の会社がほぼ同じと評価し、34%は若干改善したと評価し、15%は顕著に改善したと評価している。
従業員側は、39%の従業員が以前よりストレスが減少したと評価したが、約半分の従業員は変化なしと評価した。半数近くの従業員は精神的な健康が改善したと述べ、37%の従業員は肉体的にも健康が改善したと述べている。
実験に参加した企業の9割以上が実験を続けたいと述べ、18企業は週休4日制の恒久化を計画していると述べている。
週の勤務日数を1日短縮しても、生産性が落ちないどころか平均的には生産性が改善した理由は、不必要な会議や出張の取りやめなど効率性を改善したことにある。
もっとも今回の実験に参加した企業は平均すると従業員が50名以下の比較的小規模の会社である。
記事によると「多くの大企業は週4日勤務というコンセプトを受け容れておらず、週4日制を導入している企業では時間内にすべて終わらせることに苦労しているという報告もある」ということだ。
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世界的にみて直ちに週4日勤務制が主流になるとは考えないが、対話型人工知能の活用など生産性の改善が進むと週4日勤務制を採用する会社が増えることは間違いない。
だが日本で週4日制が進むかどうかというと私はかなり懐疑的である。
なぜ懐疑的か?というと週に3日も自由時間があっても持て余すという人が多いのではないかと思うからだ。
またあまりにも無駄な会議や出張が多くそのために週5日でも仕事が終わらず残業や休日に自宅で仕事をする人もいるはずだ。
日本の会社では週4日制の実験をする前にまず週5日勤務の中で総て終わらるという先進国スタンダードまで持って行くことから始める必要がある。