金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

庭に紫蘭咲く

2006年05月19日 | 写真

庭に紫色の可愛い花が咲いた。

Siran1

ワイフに聞くと「紫蘭(しらん)」と言う。

ワイフが植えた花ではなく、小鳥のフンの中にタネが入っていて自生したらしい。

蘭の仲間は皆栽培が難しいそうだが、紫蘭だけは例外的に簡単に育つらしい。そうだろう。実際何も手入れをしていないのにきれいな花を咲かせているのだから。

上から見るとわからないのだが、花びらの中は官能的なまでに複雑な形をしている。今回は三脚をおもいっきり低くセットして、マクロレンズで撮ってみた。

Shiran2 小雨が降っていたが、雨の中の緑の葉は実に美しい。雨の日は雨の日で中々の撮影日和なのだ。

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監査法人にもっと独立性を

2006年05月18日 | 金融

中央青山監査法人が2ヶ月の業務停止を受けた問題は、会計スキャンダルの元祖である米国でも関心が高い出来事らしい。ウオール・ストリート・ジャーナルがこの問題について記事を書いている。まずはポイントを紹介してからコメントを述べよう。

  • エンロンとワールドコムの会計スキャンダル問題を修復することは、それまで監査対象企業に寄り過ぎていた米国の監査法人を金融・財務の監視人という監査法人の伝統的業務に戻すことを強いることになった。今日本の当局は世界第二の経済大国で同様の変革を試みている。
  • 先週金融庁は、プライスウオーターハウスの関連会社である中央青山監査法人について、先例のない2ヶ月の業務停止を命じた。
  • 日本の法律と企業統治の専門家であるコロンビア・ロースクールのミルハウプト教授は「過去において日本では監査法人と企業トップとの関係は金融・財務の完全な正確性よりもはるかに重要だった」「しかし今日本の当局は監査法人にもっと独立性を持つことが必要というメッセージを送ろうとしている」と言う。
  • 金融庁の中央青山に対するアクションは、金融市場に一層の透明性を持ち込み、排他的な企業社会において企業統治を改善し、馴れ合い気味の日本の会計業界を強化しようとする金融庁のより広い努力の一部である。
  • 実際中央青山に対する制裁は、他社に影響を与えるという懸念を招き日本の株式市場に圧力を与えたが、市場はその後回復している(注:その後円高や米国株式の大幅下落等で株式相場は大きく下げている。市場が中央青山問題をすんなりと消化したかどうかは不明だと私は思っている)
  • 中央青山の顧客の中には大京の様に監査法人を変えるところもでているが、プライスウオーターハウスの上部組織のスポークスマンは「多くの顧客はプライスウオーターハウスを選び続けてくれることに引き続き自信がある」と語っている。プライスウオーターハウスは他の世界的な会計法人と同様に単一の企業体ではない。各々の国の会計法人は法的には独立したパートナーシップであり、世界的な傘(アンブレラ)組織がネットワークを調整している。
  • 情報筋によれば、プライスウオーターハウスは中央青山と競合する新たな監査法人を日本に7月までに設立する計画である。これは中央青山の問題に呼応するもので、「国際的なオペレーションを持つ日本の企業がプライスウオーターハウスの他の部門と仕事をしたいと望むかもしれない」という懸念を反映している。
  • 昨年9月以降、金融庁の公認会計士・監査審査会は世界の4大監査法人(プライスウオーターハウス・デロイト&トッシュ・KPMG・アーンス&トヤング)の日本の提携先を検査してきている。金融庁は6月後半に監査法人の監査の強化と独立性に関するレポートを発表すると予想されている。日本のメディアに対して当局は「4大監査法人の提携先を含む日本の監査法人は企業の詐欺に対して準備不足かもしれない」という当初の検査の印象を伝えている。
  • 2004年に法改正が行なわれているが、日本では監査人が仕事をする方法を変えることは中々難しい様である。日本の丸橋弁護士は「日本では監査法人は顧客の求めに合わせて仕事をする」「法律で禁じられていることでも顧客企業が求めると、監査法人はやってしまうことがある」と言う。またコンプライアンス問題のコンサルをするコンプライアンス・アジア社の責任者は「4大監査法人関係以外の監査法人は相対的に小さく、彼等の中の幾つかの顧客は監査法人の収益に極めて重要な影響を持っている」と言う。
  • しかし観察者達は日本の監査法人を強化する動きはやがて実を結ぶと希望的な観測をもっている。

ここから先は私見であり、別のブログでも述べているところなのだが、市場型資本主義というものは結構人手とコストがかかる資源の配分方法なのである。人手とコストだけを見れば、旧大蔵省主導の日本型資本主義の方が安上がりだったかもしれない。市場型資本主義では、企業の業績が正確にかつ他社と公平に比較できる形でタイムリーにかつ公平に投資家に伝達されることが極めて大切である。そのために企業も監査法人も緊張を保ち、それなりのコストも負担していかなくてはならないということである。

ここ暫くは日本株市場はぱっとしないだろうが、これもまた長い発展のための地固めだと思う。

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がんばれ、さわかみ投信(その2)

2006年05月18日 | 株式

私のブログへは「さわかみ投信」を検索して、辿り着かれる方が結構おありなので、さわかみ投信について新しいところをコメントしておこう。

先日さわかみ投信から我々ファンドの購入者に手紙が来ていた。より正確にいうと、手紙はさわかみ投信の公式文書というより、澤上社長の私心といった形を取っていた。手紙のポイントは次のようなところだ。

  • 今後社内の検査・監査体制に十分な予算を投入する
  • 運用面で優秀な人材を採用して教育していく
  • 長期運用スタイルを世界に問いたい
  • 各地で生まれつつある「長期保有型投信」を支援したい

以上ごもっともなことなので、大いに頑張って頂きたい。なお送られてきた手紙も余りに体裁をかまっていない様だし、紙や印刷も極めて安上がりのものだ。これは悪く言っているのではない。ある意味では誉めている。ベストはこんな手紙を書かなくて済む様にコンプライアンス面をちゃんとやっておいって欲しかったが、済んだことを言っても始まらない。だとすればお詫びなどにかけるコストは最小にして、運用のリサーチ等投資家の利益に直結するところにコストをかけて欲しいと思っている。

さて日米のインフレ懸念→金利上昇懸念から株式相場の雲行きが少しおかしくなってきた。私は中期的に見れば、後4,5年位は日本経済の勢いは持続するので、日本株ロングで良いと判断している。しかし目先は調整局面が続くかもしれない。さわかみ投信の様に下げ相場に強い投信が力を見せるチャンスが来ると思う。

澤上社長の手紙が本物であるかどうかは、これから数ヶ月の相場の中で見てみよう。さわかみ投信が「疾風に勁草(けいそう)を知る」の勁草かどうかが問われる時があるような気がしている。

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5月は天気も株も雨続き・・・

2006年05月18日 | 株式

今年の5月はゴールデンウイークの数日を除いて殆ど雨模様の様だ。ただし降水量は少ない。つまり細かい雨が続いているのだ。株式市場もぱっとしない。いや、こちらは相当荒れている。昨日(18日)米国のダウ平均は今年最大級の214ドルの下落だし、シカゴの先物市場では日経平均が3百円以上下落しているので、このまま行くと日本株ももう少し下落しそうだ。

本日の日経新聞(朝刊)の「やさしい経済学」というコラムに「人間が損と得に抱く感情は対称ではなく、人間は利益よりも損失に対して敏感になる」と書いてあった。また人間は損失の確定を嫌う傾向があり、この現象は損失回避と呼ばれるそうだ。

自分のことに置き換えて考えてみても、株式相場が上昇基調で含み益が膨らむ時の楽しみや安心感と相場が急落して含み益が減ったり、含み損が発生する時の失望感を較べると後者の方が大きい様だ。この失望感や危機感が時として、人の合理的な経済行動の妨げになることは往々にしてあることだろう。

私は投資信託等を運用するファンドマネージャーをある程度信頼しているが、それは優秀なファンドマネージャーは、職業人としてかかるバイアス(非合理的な投資行動)から自由であると判断するからだ。これは裁判官が感情に左右されることなく、冷徹に法の適用を判断しることと同じことである。また優秀な資産運用会社は、個々のファンドマネージャーが陥る可能性がある色々なバイアスを組織として回避する手段を講じているはずである。以上のようなことから私は良い投資信託は資産形成の良きパートナーであると考えている。

しかし我々も又、人間には色々なバイアスがあるということを理解するだけでも、ある程度非合理的な投資行動を思いとどまることができる可能性が高まると思う。そういう意味で簡単な行動ファイナンスの本を読んでおくことはお勧めである。

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外為市場を変える個人の勢い

2006年05月15日 | 金融

最近のエコノミスト誌によれば、日本の個人の外貨取引の勢いは機関投資家を上回るということだ。これからの外為市場の予想には内外機関投資家の動きだけでなく個人投資家の動きもチェックする必要があるということだ。まず記事のポイントを見てみよう。

  • 従来日本人は銀行か郵便局に貯金するかまたはたんす預金をしていた。しかし長年にわたるゼロ金利は日本人の習慣を変えた。日本人は今や外為リスクという大きなリスクを求めている。日本人は外貨預金からスタートし、外貨建て投信へ動いたが、更に通貨先物市場に向かっている。このため日本人の個人投資家は外為取引の上で重要な役割を担う様になっている。
  • 多くの仲介業者が金融先物取引業協会に昨年加わったことで、個人の外貨先物取引の実態が明らかになってきた。昨年12月までの3ヶ月間で、協会参加者による店頭の秋物取引額33兆円に達した。専門家は今やクリック365という東京先物取引所が運営する新しい取引システムのお陰で非会員メンバーまで含むと総取引高は今や40兆円になると信じている。
  • 日本の外為市場のサイズを測ることは難しいが、専門家は130兆円から200兆円と推定する。となると個人取引のシェアは2割から3割になる。為替取引を行う個人投資家はミニ・ヘッジファンドの様に振舞っている。個人投資家は米ドルやオーストラリア・ドルといった高金利通貨を買うことでキャリートレードを行っているのである。
  • 最近の円高で取引量は低下している。しかしトレーダー達の中にはこの傾向は長続きしないと考えるものもいる。個人投資家の内ある人達はロスカットを行っているが、ある人達は外貨が安くなったことで外貨投資を進めている。
  • ゼロ金利だけが、外貨投資が活発なった理由ではない。東京都民銀行の上級外為アドヴァイザーによれば、まもなく退職するベビーブーマー達は、住宅ローンを完済しており自己資金でリスクを取ると言う。更にその上の年代もそれ程遅れてはいない。銀行でも販売される様になった(グローバル・ソブリンの様な)外国債券投信ももう一つの原因である。昨年の外国債券投信に対する資金流入は19.8兆円でこれは2000年の6倍である。
  • アナリスト達はかって日本の通貨は銀行とブローカーによって動かされると信じていた。しかし個人投資家はもっとパワフルになってきている。金融先物取引業協会によれば、個人投資家は15兆円のロング(買い持ち)ポジションを持っているが、これは日本の経常黒字幅と同じサイズで、外国人投資家の日本株に対する投資額よりも大きい。円高にも関わらず、個人投資家は円を売っている。東京都民銀行のアドヴァイザーによれば、日銀が金利を3%に引き上げるまで~これは直ぐには起こりそうもないが~このトレンドは続くということである。

今朝の日経新聞に出ていたが、株式投信の残高が新記録を更新して伸びたそうである。記事に注釈はなかったが、統計上の株式投信という分類は追加設定が可能な外国債券投信等を含む。従って統計上株式投信が伸びていることが即ち投信で日本株が買われていることを意味しない。事実は株式投信では国内株よりも外国債券の伸びの方が大きい。ここは市場を分析する上で極めて大切なところだから、日経新聞もしっかりと要因分析を行って読者に伝えて貰いたい。

ところで個人投資家の強みは、銀行やファンドの様に決算や時価評価がないところだ。つまり含み損が発生していても、それに耐えて投資を継続することが出来る。とは言うものの、先物取引には期日決済とロスカット・ルールがある。期日決済とは約1年以内には総ての先物のポジションを手仕舞う必要があるということだ。ロスカット・ルールというのは、先物取引で損失が5割~8割に達した時、仲介業者が自動的にポジションをクローズし、清算するというルールだ。

以上のようなことを観てくると、最終的にはドル高を予測する個人が外貨ロングポジションを保つことで利益を得られるか?あるいはロスカット・ルール等でその外貨ロング・ポジションが締め上げられるか?ということが円相場を占うポイントかもしれない。もし市場で2-3割の力を持つ個人投資家のロングポジションが潰されると、一気に円高が加速する可能性があることは頭に入れておいて良いだろう。

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