金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

国会議員の皆さん、少しは若田さんを見習っては?

2011年02月17日 | 政治

お昼のニュースを見ていると小沢元代表を支持する民主党の16名が衆院会派「民主党・無所属クラブ」から離脱する届を出したというニュースが流れた。会派離脱には党の承認が必要で民主党の岡田幹事長は承認しないという。民主党からは脱退しないが会派は離脱するという政治の素人には訳のわからない話だ。次のニュースでは社民党の福島党首が写り、公債発行(赤字国債発行)法案に反対を示唆していた。社民党のような無責任政党の発言に一々腹を立てる必要もないが、赤字国債を発行しないでどうして予算の帳尻をあわすことができるのだろう?反対するなら対案を出すべきだろう。

この一連の政治ニュースや昨今問題になっている鳩山前首相の「米軍方便発言」などを見ると、国会議員という連中は「国民のことを第一に考えている」という方便の下、自分や仲間の議席を確保することや「ええ格好」をすることしか考えていないことに改めてうんざりする。

でも次に流れたニュースは良かった。宇宙飛行士の若田さんが、国際宇宙ステーションのコマンダー(船長)に選ばれたという話題。アジア人で始めてコマンダーになる。「船長としてどのように船員をまとめていくのか?」という質問に若田さんは「和の精神でまとめていく」と答えていた。

この「和」の精神とは何だろう。それは単なる妥協ではない。共通の目的のため、相互理解を深め、ベストの解決策を探る精神ではないだろうか?だが今の政治家にはまったく「和」の精神が見えない。

コマンダー(船長)もそれを支える責任あるクルー(船員)も失ったかのように見える日本の国会船。赤字国債の発行など含めた予算関連法案どころか予算案の可決も怪しくなってきた。予算案が成立しないと大きな混乱が起きるのではないか?と思うが市場は平静だ。先を読むといわれる相場は政局をどう読んでいるのだろうか?

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮への兵糧攻め、結果はどう出る?

2011年02月17日 | 国際・政治

FTによると、ここ数週間北朝鮮の外交筋は世界中に直接的な食糧支援を要請しているが、西側諸国は北朝鮮の相対的食糧支援要請をきっぱりと謝絶した。

ある西側外交官によると、北朝鮮は10万トン援助を求めている。1月に北朝鮮は国連世界食糧計画に「冬の悪天候と野菜の収穫不足から食糧供給が予想外に減少した」として特別調査を依頼した。また北朝鮮は口蹄疫foot-and-mouth diseaseに苦闘しているとも述べている。ただし昨年11月の国連食糧調査官の報告では、北朝鮮の食糧生産は2010年-11年に若干増加するという予想なので、西側諸国は北朝鮮が援助を受けた食糧を2012年に向けて備蓄するのではないか?と疑っている。

何故2012年に向けて備蓄するのか?というと2012年は金日成の生誕100年に当るからだ。

果たして今の北朝鮮に食糧を備蓄する余裕があるのかどうかは私には疑わしい。国連の査察官は北朝鮮では国民の20%約5百万人が栄養失調で、慢性的に年間100万トンの食糧が不足していると推定いているからだ。いや金政権ならやりかねないかもしれない。彼等は国民の生活よりも自分の政権の延命を優先しているからだ。

仮に3月に発表される世界食糧計画の特別レポートが、食糧援助の必要性を認めても、西側諸国は食糧援助は多国籍協議の一環として国連経由で行なわれるべきで、援助した食糧が軍隊ではなく、国民に配分されるかどうかを詳細に調査するべきだと主張している。

だが北朝鮮側は韓国語を話すことができる査察官が入国することを拒否している。

西側外交官の中には、西側諸国の援助拒否に対して北朝鮮が威嚇攻撃等の瀬戸際政策を再開する懸念を表明しているものもいる。

☆   ☆   ☆

記事には書いていないが、中国の旱魃による穀物生産の減少や食糧価格の高騰を考えると中国からの北朝鮮支援に相当影響がでているのかもしれない。

チュニジアから始まり、エジプトに及びさらにアラブ諸国に広がりつつある独裁政権への民衆の抗議活動が北朝鮮まで広がる可能性はあるのだろうか?可能性がないとはいえないが、国民は腹が減ってとても抗議活動に出られる状態ではないだろうと私は考えている。また国民監視網も比較にならないほど、発達しているだろう。

あるとすれば軍部のクーデターだ。私は昨年末に「勝手な予想」として「北朝鮮に激変が起きる?」というエントリーを書いた。https://app.blog.ocn.ne.jp/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=36448166&blog_id=30644

食糧を求めて北朝鮮が韓国に向けて三度軍事活動を再開する場合、激変が起きる可能性はあるかもしれない。

危険な隣国を抱える日本の首相が「在沖米軍の抑止力は方便だった」などと寝ぼけたことを言っていてはいけないのである。東アジアに爆発的噴火のマグマが貯まっていることを知覚できないような政治家は失格である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デフレ「リヤ王の悲劇」論、いくつかの補足

2011年02月16日 | 社会・経済

先日エントリーした「日本のデフレは『リヤ王の悲劇』と同根」については色々と貴重なコメントを頂きました。ありがとうございます。デフレ、老後の不安あるいはチチェスター的な生き方への共感等改めて大きなテーマだと思いました。ということで幾つか私見を追加したいと思います。

【老後の医療費問題について】

老後の医療費がどれだけかかるか不明なので勢いお金を貯めることになるという主旨のご意見がありました。

この問題について私は特別研究している訳ではありませんが、多少の自分の経験も踏まえて話をしますと通常の医療を受けるのであればそれ程医療費はいらないと思います。一般的にいうと医療費として2百万円程あればよいという意見が日経新聞に示されていたことがあります。https://app.blog.ocn.ne.jp/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=13353531&blog_id=30644

その根拠は「高額医療費制度」という国の制度で、一ヶ月約15万円を超える医療費については国が負担するからです(自己負担範囲は所得により変わります。15万円は一番所得が高い場合)。ただし健康保険外の負担は対象外です。

高齢化とともに国全体の医療費が急増していますが、これは延命治療にかかわるものがかなりの部分を占めていると言われています。延命技術としては「胃ろう」などが上げられます。

私は「ある程度の健康レベルを回復することのない単なる延命治療は自分は受けない」と思っているのですが、自分の両親(幸いまだ健在です)に同じことを求めるかどうかは分かりません。延命治療の問題は非常にtouchy(微妙、扱いにくい)問題なのですが、どこかで線を引くべき問題なのだと思います。

53歳で亡くなられた道元禅師に「病を直そうと一生懸命努力しないのは命を粗末にすることで仏法に反するが、生に執着し過ぎることも仏法に反する」という主旨の言葉があります。もし道元禅師が現在生きておられるなら、「心の健康を回復できる治療には努めるべきだが、脳死に近い状態でも遷延を望むことは仏法に反する」と言われるのではないか?と私は思いますが如何なものでしょうか?

なお「海外で臓器移植を受ける」などとなると、数千万円のお金があっても足りるかどうか分かりません。医療費の問題は結局「腹のくくり方」の問題だと私は考えています。つまり人間いずれは死ぬ。幾らお金をかけても永遠の命はない。中年を過ぎると寿命の違いは長くて20年短ければ数年です。それを長いと見るか短いと見るか?

いつ起きるか分からない寿命の問題を思い悩むより、今をいかに充実して生きるか?ということを考えた方が良いと私は考えています。また功利的な言い方をすると、今を充実して生きると体の免疫系の機能が高まり結果的には健康を維持できるということになります。

【納得する生き方をするということ】

生に執着し過ぎることなく、往生を迎えるためには「納得のいく生き方をする」必要があると私は思っています。納得は人それぞれです。欲望五段階説で有名なアメリカの心理学者マズローはpeak experience(至高体験)が自己実現の先にある人生最高の喜びだと述べています。納得の一つの頂点でしょう。なお至高体験は必ずしも「ヨットによる世界一周」とか「エベレスト登頂」といったエクストリームな経験のみ生まれるものではないと私は思います。

個人的な経験ですが、私は昨年夏松島に近い塩釜神社で一種の神霊を感じたことがありました。塩釜神社には義経に共に討ち死にした藤原忠衡(秀衡の三男)が奉納した鉄の灯篭があります。500年後にここを訪れた芭蕉は「かれ(忠衡のこと)は勇義忠孝の士なり。佳名今に至りて、したわずということなし」と深い感動を示しました。

私は奥の細道の一説を思い出しながら、忠衡奉納の灯篭を拝み、塩釜神社の長い石段を下り始めました。その時暑い午後の日差しの下激しく風が吹き、参道の旗を激しく揺さぶりました。私はこの時忠衡かあるいは塩釜神社の神様が参拝を嘉してくれたのだと感じました。これは私にとってある種の至高体験でした。

個人的な話を長々と書きましたが、この世の中には深く感動するような出来事があるものです。

次にまたこのような体験ができるかどうか分かりません。だが自然に親しんだり、清らかな生き方をした先人を慕っているとまたこのような体験ができるのではないか?と思っています。

ただしその先に道元禅師の境地が開けているという保証はありませんが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国の1月インフレ率4.9%、だが実際は?

2011年02月15日 | 社会・経済

今日(2月15日)中国は1月のインフレ率を前年同月比4.9%と発表した。この物価上率は市場予想を下回るものだったが、エコノミスト達はその理由を物価指数の構成要素の中の食品ウエイトを下げたことによるものだと解釈している。

新華社通信によると、中国の正月準備で食品コストは10.3%上昇した。

ニューヨーク・タイムズは多くのエコノミスト達は中国の物価上昇は向こう2,3ヶ月ではピークに達さないので、政府は一層の景気引締策を取るだろうと予想している。

中国政府が物価指数の中の食品ウェイトを落したこと自体、食品価格の高騰ぶりを告げている。気になるのは河南省などの旱魃問題。目下のところ降水は少なく、小麦価格は2008年8月以降の高値をつけている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム・シリーズ】Some college

2011年02月15日 | 英語

Some college?「ある大学」?文脈によってはそんな意味で使われるかもしれない。だが次のように並べられた場合はどうだろう。

High school or less, some college, college graduate 高卒またはそれ以下、?、大卒

ご推察のとおりsome collegeは「大学中退」という意味である。調査機関ギャラップは、2010年1月から11年1月の1年間の学歴別失業率の変化を発表しているが、その中にsome collegeという表現が出ていた。それによると、「高卒またはそれ以下」の完全失業率は15.4%(10年)から13.6%(11年)と1.8%改善。「大学中退」は10.9%で変わらず。大卒は6.4%から5.8%に0.6%改善。大学院卒は5.0%から3.8%に1.2%改善。

また不完全失業率(フルタイム雇用を希望しながらパートタイムに従事している人などを失業者に加えた失業率)を見ると、「高卒またはそれ以下」は26.7%から24.7%に2%改善。「大学中退」は20.9%から21.9%へ1.0%悪化。大卒は12.2%から11.5%に0.7%改善し、大学院卒は10.2%から8.8%に1.4%改善している。

この調査結果について、ギャラップは「高卒以下の失業率が改善しているのは、輸出・工業振興策がある程度成功していることを示唆している。しかし絶対的な失業率の水準で較べると、米国においては教育レベルが高い程失業率は低くなっている。金銭的な理由で大学を中退する人に何らかの支援が必要だ」と述べている。少なくともこの調査を見る限り米国では、就職面から教育にお金をかける意味があるということになる。

日本についてはどうかというと総務省の労働力調査(2009年)から引出した数値を見ると、「15歳から24歳」の階層では、「高卒以下」の失業率は14.2%、「短大・高専」が5.9%、「大卒以上」が8.0%となっている。「労働力調査」は大卒と大学院卒の区別をしていないが、巷の噂では大学院を卒業しても就職面で有利となることは少ないようだ(学部によって違うだろうが)。

なおSome collegeはdropout(中退)よりもずっと響きが良いし、不本意ながら学業を中断した人への思いやりがある。またleave college without a diplomaのようなくどくどしさがない。気の利いた表現だと思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする