金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本ではテレワークは特権?

2021年03月16日 | ニュース
 派遣社員がテレワークを認められず、裁判発展するケースが出ているというニュースがあった。
 こんなニュースを見ると現在の日本ではテレワークができることは正社員の特権なのかもしれない、という気がしてくる。
 ニュースの中で派遣社員にテレワークをさせない理由の一つに「情報漏洩対策が難しい」と述べていた会社があったが、正社員にはテレワークで情報漏洩が起きない対策を構築していたのだろうか?という疑問がわく。恐らく正社員は長期勤続を前提に勤務しているので会社に対する忠誠心が高いという性善説をベースに判断しているのだろうと私は考えている。
 だがそろそろ出社型勤務vsテレワークという二者択一的発想は止めた方が良いだろう。テレワーク先進国アメリカの状況を見ると、これからは出社型勤務とテレワークの中間系つまりハイブリッド型勤務がかなり増えることが予想される。つまり週の内2,3日出社し残りは在宅勤務という働き方だ。
 在宅勤務をHome officeと呼び、出社勤務をOffice officeという呼び方も出ているようだ。これに伴って会社の席の在り方も変わってくる。以前のように一人一人に一つの机と椅子が与えられていたオフィスから、フリーアドレス型に変わっていく。ところでこのフリーアドレスは和製英語なので、おそらく外国人には通じない。アメリカでは一つの机をシェアするオフィス形態をHot deskingと呼ぶようだ。
 これは会社にとってオフィススペースの削減につながる。ミーティングや会議はMicrosoftのTeamsやGoogleのWorkspaceを使うので、出社しても在宅でも同じように参加できるので効率は変わらない。ちゃんと運用すればだが。
 つまり出社勤務であれ、在宅勤務であれ、ちゃんと成果を上げるならばどこから勤務しても良いという時代が近づいているのだ。
 派遣社員がテレワークになじむかどうかは、その仕事が頻繁に対面での指示を受けないと遂行できないものなのかどうかにかかっているというべきだろう。頻繁な指示はテレワークになじまないが、ある程度任せることができる仕事はテレワークで対応可能なはずである。
 もっとも人に仕事を任せてその成果を管理するにはマネジメントスキルが必要なので問題は派遣先のマネジメント能力にあるのかもしれないが。

 

 
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dヘルスケア、使い方によっては有料プランもOK

2021年03月14日 | うんちく・小ネタ
私はドコモが提供しているdヘルスケアの有料版を使っています。有料版の料金は300円ですが、ミッション達成(1日の目標歩数達成など)やクイズ正解でドコモポイントが貰えるので小まめにポイントを稼いでいる場合は実質の月間料金は100円~150円程度だと思います。
有料版の一番のメリットはチャット方式でお医者さんに健康相談できることです。私も3回ほどチャットでお医者さんに相談してみました。
割と丁寧に診断結果を教えてくれたことには感謝していますが、最後に「専門医の診断を受けることをお奨めします」と結ばれていたのが紋切り型で少し寂しい気がしました。
 しかし自分の症状を文章にしてチャットと伝える訓練は今後役に立つことがあると思います。そのうちロボットがオンラインで診断、という時代が来るかもしれませんから。
 dヘルスケアの他のメリットは、歩数・体重・血圧などを時系列で記録していることでしょうね。もちろんこの程度のことをこなすアプリは他にもありますから、これはdヘルスケアだけの加点項目ではありません。
 今日は奥多摩の三頭山を歩いて、奥多摩の名峰大岳山を眺めました。
大岳山の特徴のある頂きは江戸時代に江戸湾を航行する船が目印にしたそうです。
 昨日は雨のため家の中でゴロゴロしていて運動不足でしたが、今日はその分も取り返して1.6万歩弱歩きました。山を歩いたので運動量としては平地の歩行より相当大きいと思うのですが、dヘルスケアではそこまでは対応していないようです。何にしろ運動や健康管理にはアプリを使うのが長続きする方法の一つだと思います。




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日本でテレワークの生産性が上がらない三番目の理由

2021年03月13日 | デジタル・インターネット
 これは鴻上尚史さんの意見に触発されたところが大きいのだけれど、日本の企業が「世間」をベースにして成り立っていることにテレワークの生産性が上がらない三番目の理由があると私は考えている。
 「世間」とは鴻上さんの言葉を借りると「あなたと利害・人間関係があるか、将来、その関係が生まれる可能性が高い人」だ。「世間」の外側には「社会」がある。「社会」とは「今現在あなたと関係がなく、将来も関係が生まれる可能性が低い人達」のことだ。
鴻上さんは欧米では「世間」は存在せずすべてが「社会」だという。
 本当に欧米で「世間」が存在しないのかどうか私は断言できない。
 ただし日本の企業の中には「仕事が終わった後よく飲みに行く課の集まり」のような「世間」が存在し、その「世間」に入っていないと仕事がやりにくい状況にあるというのは広くみられる現象だ。より正確にいうと最近の若い人の中には「世間」知らずの人も多いので、広く見られた現象と過去形で言う方が良いかもしれない。
 いずれにせよ組織内にインフォーマルでかつ強力なつながりができるとオープンなプラットフォームで情報や意見を交換することをベースにしたリモートワークは進め難い。
 「世間」というのは「社会」という外界から自分たちの小さな世界を守る精神的な絆で結ばれた世界だから感情の共有や時間の共有が求められる。時間の共有という意味では会社が終わった後の飲み会が典型的な例だ。
 それはお互いが課なら課、部なら部という「世間」にいることを確認する場であり、その場に参加しない人間は変わった奴と思われる。
 世間は本質的にテレワークとなじまない。だからテレワークから早く脱却して元の「世間」の付き合いに戻りたいという気持ちが強くなり、それがテレワークへの抵抗勢力となっているのだ。
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日本でテレワークの生産性が上がらない二番目の理由

2021年03月12日 | ヒューマンスキル
 先日「日本でテレワークの生産性が上がらない一番の理由は会社が従業員を信用していないことにある」と書いた。それは誠にそう通りなのだが、モノゴトには複数の理由がある場合が多い。私はプレゼンテーションの講習会なのでは「断るにしろ受けるにしろ、モノゴトは理由を3つ上げて説明するのが良い」と言ってきた。なぜなら我々がモノゴトを判断する場合、3方面から見ることが多いからだ。例えば投融資先を判断する場合は、収益性・成長性・安定性の3方面から見るという具合にだ。
 また通常3つ以上の理由をあげるのもやり過ぎだ。なぜなら聞いた方が覚えていることができないからだ。ということで日本でテレワークの生産性が上がらないことについても3つの理由で説明しようと思う。
 今日は2番目の理由についてだが、それは「コミュニケーション技術が未熟」ということだ。コミュニケーションとは意見と情報と感情をお互いに伝え合い、何かを成し遂げていく技術の総称で広い意味ではネゴシエーションやファシリテーションの一部を含む。
ポイントは2つある。一つは技術ということだ。技術は先人たちが積み上げ体系化したものなので、学ぶことで効率よく成果を得ることができる。逆に学ばずに我流でやっていると良い結果はでない。
 もう一つのポイントは「お互いに伝え合い」という点だ。コミュニケーションでは意見や情報の出し手と受け手が対等でなくてはならない。対等という意味はお互いの時間やスケジュールを尊重しあうというところから始まる。
 たとえば上司が自分の都合で知りたいことがあるからといって、思いつくままに部下を呼びつけて質問するというのは完全にコミュニケーションの基本ルールを無視していると私は考えている。部下には部下の仕事の段取りがあるからだ。
 現在多くの企業でリモートワーク環境の構築が進み、従来の固定電話と電子メールに加えて、スマートフォン、ZOOMなどのテレビ電話・テレビ会議システム、Slackなどのチャットツール、SharePointのような情報共有ツール、あるいはBasecampのようなプレジェクトマネジメントツールなどを並行的に導入している企業も増えているのではないか?と思う。
 そしてツールは増えているけれど、効率的な使い方をして企業内のコミュニケーション効果を高めている企業は多くないと私は見ている。
 ここが2番目の問題なのだ。まずコミュニケーションとは何かということを全従業員に徹底する。そして相手の生産性を一番妨げない方法でコミュニケーションを行うことを考える。つまり全社的にコミュニケーションの生産性を高めることを考える訳だ。そうすると同時性を求められるZOOM会議などは極力減らして、メールやチャットで要件を伝え合おうということになってくるはずだ。メールとチャットでは前置きがなく、スレッドのあるチャットの方が効率的だから極力チャットを使おうという具合になるはずだ。
 だが多くの企業はそこに至っていない。だからテレワークで生産性をあげることができないのである。
 テレワークの生産性を上げようと思うのであれば、まずコミュニケーションの基礎を全社員が学ぶことであり、ITCリーダーがコミュニケーションツールの使い分けについてガイドラインを設けることが次のステップになるということだ。
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金利高、ドル高、アメリカ市場は世の中の動きに反応する健全さがある

2021年03月11日 | 投資
 新型コロナ対策で世界中の国は金融緩和に動き凄まじいお金が家計に流れ込んでいる。流れ込んでいるお金の源流は借金である。誰からの借金か?というと将来の自分たちの家計や企業利益からの借金である。つまりTax payer's moneyからの借金だ。この借金を国が真面目に返済しようとするとインフレ政策を取るしかない。仮に10年にわたって物価が毎年2%上昇すると、今100円だった商品は10年後には122円弱になっている。つまりお金の価値は約82%に減っている訳だ。物価や給料が上昇すると税収はそれに伴って増えるが、借金の額は額面なので増えない。だから実質的には物価上昇によって借金を2割減らしたことになる。インフレは資産の実質価値を減らす。だから欧米の人はインフレに敏感なのだ。
 インフレに敏感だからインフレ兆候に対して中央銀行の動きが鈍かったり、政府がさらに借金を重ねようとするとマーケットが拒否反応を示すことがある。
 特にアメリカのマーケットは景気や物価動向に素直を反応していると私は思う。人間の体でいうと体調が悪い時には熱が出るようなものだ。熱が出るから、体調が良くないことがわかり休息する。だから元気が戻ってくる。
 だがどうも日本のマーケットは日銀のETF買いなどの薬漬けになり、体調が悪くても熱すらでないような体になっているのではないか?と私は懸念している。
 さて為替についてだが、大統領選後昨年末まではドル安傾向だったが、ここにきてドルは円やユーロに対して強含んでいる。その理由の一つは米国の長期金利の上昇だ。さらに金利上昇の背景には景気の回復兆候とインフレ懸念がある。これはワクチンの積極的接種活動など米国のコロナ封じ込めが効果を出し始めたことが大きい。
 
 私はアメリカの債券・株式・為替などのマーケットは景気の予兆に敏感に反応する健全さがあると感じている。今の日本の株式相場はアメリカ相場の調整弁のようなものなのでどうも分かり難い。つまりアメリカの相場が熱くなり過ぎて、出遅れいてるマーケットを探したら日本が出遅れていたので買うとか、アメリカの相場で損失がでたので穴埋めに日本株を売るとかだ。
 為替も結局のところ日本発の材料で動くのではなく、アメリカの材料で動いている。
 当面ドル円為替は少しドル高基調が続くかもしれないが、アメリカのインフレ傾向が顕著になってくれば、ドルの価値が下がるので少しドル安になるだろう。結果としては円高になるのだが、それで良いのかどうかは甚だ疑問だ。
 実力を伴わない円高が続くとするとその後は何が起きるのだろうか・・・
 

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