野川の岸を散歩していると、風が吹くたびに綿のかたまりのようなものが飛んできます。ガマの種です。
ススキが銀色の穂からパラシュートつきの種を飛ばすように、この時期、ガマも種を飛ばしています。ガマの種子についた糸は細くて長く、互いにウジャウジャと絡まり合っています。「蒲の穂綿」と呼ばれるそうです。
中にはかなり大きなかたまりになることもあり、地面に落ちていると、「誰か犬の毛をブラッシングしてそのままにしていったのだろうか」と思うこともあります。
ガマはイネ科の多年草。日本全国に分布していますが、なぜか私の田舎では見かけず、絵本や図鑑で見て、面白い穂だなあと思い、一度、本物を見たいと憧れたものでした。
この土地に暮らすようになり、岸辺にガマはありふれているのですが、子供の頃に憧れた気分がどこかに残っているのか、アメリカンドッグのような穂を見ると、いつも嬉しくなります。
ただ、そのなれの果てがこんなにグジャグジャボサボサしたものだとは、思ってもみませんでした。草の茎に襤褸が引っかかっているようにも見えます。
風で遠くまで飛んだ種も、水辺の、生育に適した場所でなければ芽生えることもできないわけですから、考えれば非効率的な生存戦略ではありますね。