惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

南スーダン

2013-12-26 20:37:51 | 日記・エッセイ・コラム

 クーデター未遂以降、内戦状態になった南スーダンですが、今では政府系のディンカ族と反政府系のヌエル族との民族闘争の様相を呈しているといいます。聞くだにつらい。

 ヌエル族は「ヌアー族」ともいい、私は英国の社会人類学者エヴァンズ=プリチャード(1902―1973)の古典的名著『ヌアー族の親族と結婚』および『ヌア─族の宗教』(ともに岩波書店)で親しみを覚えたことでした。

 彼らは牛を飼う牧畜民族で、若者は牛と自分とをほとんど同一視している。生活のすべては牛を中心にまわり、時間の観念さえも、たとえば「牛が草を食べに出る時」などというように、牛を基準に組み立てられている、と書かれていました。
 その生活はまるで地上の楽園のように思えたものです。

 報告されるエピソードにディンカの牛を盗みに行くことが紹介されていましたが、それも紛争とは程遠い、どこか牧歌的なイニシエーション儀式のように感じられました。

 エヴァンズ=プリチャードがアフリカ調査を行ったのは、80年程も前のこと。その後、アフリカには近代国家制度が取り入れられ、石油資源開発や都市化などで、生活もずいぶんと変化したことでしょう。
 それにしても、銃をもって大量殺戮が繰り広げられるようになるとは。文明とはいったい何なのか……暗澹たる気分にならざるを得ません。
 エヴァンズ=プリチャードの著書に描かれたような、平和で牧歌的な日常を取り戻すすべはないものでしょうか。


韓国版

2013-12-25 20:38:12 | インポート

 3年半前にゴブリン書房から出た拙著『「希望」という名の船にのって』の韓国版が出て、今日、見本が届きました。向こうのタイトルは「希望号の新世界探検」だったかな。
 よくわからないのですが、奥付を見ると、今年、春に出ていたような……。

Mihon  イラストも日本版と同じ、きたむらさとしさん。ハングルは横書きなので、本は左開き。イラストも多くは左右逆転されています。
 判型は日本のもの(写真左側)より、やや大きい。

 私が理解している範囲での出版に至る経緯は、東アジアでの児童書の国際見本市があって、そこで韓国の出版社の方が目をつけてくださったみたいです。それから版権のエージェントによる仲介で話が進み、翻訳、出版へ。ありがたいことです。

 似たような形で台湾での出版の話も決まっています。
 隣国の子どもたちがどんなふうに読んでくれるのか。楽しみです。


穂綿

2013-12-24 20:41:18 | 草花

 野川の岸を散歩していると、風が吹くたびに綿のかたまりのようなものが飛んできます。ガマの種です。

Gama1312  ススキが銀色の穂からパラシュートつきの種を飛ばすように、この時期、ガマも種を飛ばしています。ガマの種子についた糸は細くて長く、互いにウジャウジャと絡まり合っています。「蒲の穂綿」と呼ばれるそうです。

 中にはかなり大きなかたまりになることもあり、地面に落ちていると、「誰か犬の毛をブラッシングしてそのままにしていったのだろうか」と思うこともあります。

 ガマはイネ科の多年草。日本全国に分布していますが、なぜか私の田舎では見かけず、絵本や図鑑で見て、面白い穂だなあと思い、一度、本物を見たいと憧れたものでした。
 この土地に暮らすようになり、岸辺にガマはありふれているのですが、子供の頃に憧れた気分がどこかに残っているのか、アメリカンドッグのような穂を見ると、いつも嬉しくなります。
 ただ、そのなれの果てがこんなにグジャグジャボサボサしたものだとは、思ってもみませんでした。草の茎に襤褸が引っかかっているようにも見えます。

 風で遠くまで飛んだ種も、水辺の、生育に適した場所でなければ芽生えることもできないわけですから、考えれば非効率的な生存戦略ではありますね。


金細工師

2013-12-22 19:58:42 | ギャンブル

 競馬の有馬記念はオルフェーヴル(フランス語で「金細工師」)が2着に8馬身の差をつけて圧勝。素晴らしい強さを見せつけて現役生活を締め括りました。

 個性の強い馬でした。圧倒的に強いのに、気まぐれというか、やんちゃというか。レースで走りに専念できなかったり、騎手を振り落したり。調教も騎乗も大変だったでしょうね。

 3歳馬の時はダービーや菊花賞で儲けさせてもらい、ありがたかったのですが、最初のフランス遠征の失敗など、色々なエピソードが忘れられず、本当に印象深いものがあります。今後は種牡馬として励むようですが、実戦では対決することのなかったディープインパクトとの、仔同士の争いなども今後の興味の的です。

 レース後の勝利ジョッキーインタビューで池添謙一騎手が長口舌をふるったのにも驚きました。
 「馬も騎手も厩舎も死にものぐるいで頑張っています。日本の競馬をよろしくお願いします」というような意味だったと思いますが、凱旋門賞でフランス人ジョッキーに乗り換わられたことなども含め、この馬への思い入れが大きいことをうかがわせました。

 ともあれ、ひとつの時代が終わり、新たな伝説が誕生したことを感じるレースでした。


2013-12-21 20:48:17 | 季節

 朝はたいそう冷え込みました。最低気温-0.9℃(隣町アメダス)。
 向かいの空き地にびっしりと霜が降りていただけでなく、小さな水たまりに氷が張っていたのには驚きました。白菜やホウレン草の葉が傷んでしまうかもしれません。

 というわけで、白菜の葉を束ねて縛ってみました。こうすれば寒い季節にも植えたままで置けるらしいのです。
 ためしに、そのまま束ねないのも置いてみることに。比較すればどういう効果があるか、わかるかと思います。

 チッパー車に粉砕してもらった剪定枝もようやく庭の隅に盛りました。
 晩秋から置いてある枯葉はまだ腐らず、そのまま。改めて土と混ぜ合わせ、盛りなおしました。うまく腐葉土になりますように。

 ムーンライダーズのドラマーだった、かしぶち哲郎さんが亡くなられたとか。
 もっぱらムーンライダーズのアルバムで触れるのみだったのですが、おおらかで明るいメロディーのかしぶちさんの楽曲が好きでした。もっとたくさん曲を書いていただきたかった。ご冥福をお祈りします。