私は概してモノに拘らない方であり、特段の収集癖など持っていない。ただ多少の例外があるとすればそれはバッグである。というとエルメスだとかハンティングワールドのバッグを持っているのか?とお思いの方がいるかもしれないが、そのようなブランド品はほとんど持っていない。ただカバンやショルダーバックについては時としてその場の思いつきで買ってしまう悪い性癖が私にはある。今回京都に帰省した時もその悪い癖が出てしまった。というのは今相続問題で話題になっている一澤信三郎帆布http://www.ichizawashinzaburohanpu.co.jp/にふらふらと寄ってしまったのだ。
今回はある事情からワイフとマイカーで帰省していたが、東京に帰るため朝9時過ぎに南禅寺の手前まで来た時ふと「一澤信三郎氏の店は午前9時から開いているということだ。今日はウイークディだし、こんな早い時間なら空いているだろうから落ち着いてバックを選べるかもしれない。とにかくちょっと覗くだけ覗いて見よう」という気が起きたのである。このことをワイフに話すとOKというので、早速車を東山三条を少し下ったお店に車を向けた。
ところがである。午前九時半というのに何とお店の前には既にお客さんの行列が出来ているではないか?
「こりゃ、大変だ。何時入れるのか?」と思ったが東山通りをはさんで向かい側の駐車場に車を止めて、とりあえず行列を整理しているお店の人に様子を聞いた。すると混雑をさけるため、入場制限をしているが20分程で入れますよということなので列の後について待つことにする。
思ったより早く15分程待って入店。店の中は20代、30代の女性に加えて年配の男性もちらほら見える。バッグ等の商品は毎日工場からこのお店に搬入しているそうで、売り切れたらその日はお仕舞いということだ。入り口には「お一人2点まで」という張り紙もある。店の中はある種の熱気に包まれ、何か買わないとおさまらないような感じなのだ。
ということで例の悪い癖がでて写真のショルダーを買ってしまう。
大きさは32cm×25cm×12cmで結構容量があるので、本や一眼レフと交換レンズ一本位を入れて待ち歩きをするに持ってこいの様だ。ただしチャックや留め具等は付いておらず、作成の手間が少ない様で値段は1万円だった。
実は私のもう一つの悪いところは思い切って高いものを買うことが出来ないというところである。「安いから買っちゃおう」ということでついつい色々なバッグに手を出すが、最初に徹底吟味していないので機能的な不満が後で出てしまうのである。ワイフからは「それ程文句をいうなら、オーダーで作れば!」などと言われるのだが、そこまでの気合も入っていないのである。果たして今回は前車の轍を踏まないだろうか・・・
さてワイフはというと「私は買わないわよ。3,4千円でトートバッグがあったけれど、伊勢丹で貰った粗品と変わらないから買わないわ」と言う。世事全般はさて置き、ことバッグ類に関する限り私は到底ワイフの賢明さには及ばないのである。しかし世間には私の様な人間が多いことも事実なのだ。バッグというものには、並の人間の判断力を狂わせる何かが潜んでいるとしか言いようがない。そうでないと多くの人がクラクラする真夏の京都の街角で並んでまで、一昔前の素材である帆布のバッグを買うということの説明が付かないのである。